ウエルシアがコクミンを子会社化、ドラッグストア業界再編進む/無印良品、中食サービスに参入 ほか【小売業界動向まとめ2022年1月】

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1月の小売業界では、ドラッグストア大手のウエルシアがコクミンを子会社化してシェア拡大を拡大したり、ウエルシア無印良品JINSが新しい形態や試みがなされた店舗をオープンしたりなどの動きがありました。

本記事では、1月の小売業界の動向や発表されたデータについてまとめます。

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小売業界動向

1月は新型コロナウイルスの感染拡大が顕著となり、全国の多くの自治体でまん延防止措置が発令されました。人流の増減は小売業界にも大きく影響しています。

計36都道府県にまん延防止等重点措置

2021年末から新型コロナウイルスの感染が再び拡大したため、2022年1月9日には広島県、山口県、沖縄県でまん延防止措置が発令されました。

その後、全国的にも感染者数が増え、1月21日には東京都や埼玉県、千葉県など1都12県が、その後1月27日からは北海道や大阪、兵庫など18道府県が対象となりました。

※なお2月のできごととなりますが、2月5日には和歌山、2月12日には高知でもまん延防止措置が発令され、2月14日現在では36の都道府県が対象となっています。

小売店の営業はどうなる?

飲食店などに対しては時短営業と酒類提供時間の制限、同一テーブルでの会食人数制限などについて自治体から要請されています。

一方、小売店などが集まる商業施設などの事業者に対しては、現時点で時短営業や人数制限、休業などの要請は行われていません。店舗では引き続きアルコール消毒や検温、換気、マスク着用の周知などの基本的な感染対策の徹底が求められます。

小売DXの動き

1月の小売業界では、セブンイレブンとアメリカのアマゾンでDX(デジタルトランスフォーメーション)への試験的な導入や新しいサービスについて発表がありました。

世界初の「空中ディスプレイ」をセルフレジに導入、4年間で2万店へ/セブンイレブン

1月28日にコンビニ大手のセブン‐イレブンは、「空中ディスプレイ」技術を活用したセルフレジの実証実験を都内の6店舗にて行うことを発表しました。

この実証実験はアスカネット、神田工業、東芝テック、三井化学三井物産プラスチックと共同で行われ、コロナ禍での非接触ニーズや人手不足の解消、レジカウンターの省スペース化などの狙いがあります。

実証実験は2月1日から開始され、4年後までには全国で2万店舗にまで無人レジを導入する計画だとのことです。

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アマゾンが「ハイテク」衣料品店オープン ロサンゼルスに

1月20日にアメリカのアマゾン・ドット・コムは、2022年後半にロサンゼルスで衣料品を販売する実店舗を出店することを発表しました。

「Amazon Style(アマゾン スタイル)」という名称でロサンゼルス郊外のショッピングセンター内への出店となります。

併せて公開されたYouTube動画によると、店舗内の商品をアプリを使ってQRコードを読み込むことで試着室に商品が用意されたり試着室内のタッチパネルで他の商品をみることができたり、アプリで電子決済してレジでは商品を袋に入れるだけであったりと、最新のデジタル技術を導入した店舗となるようです。

その他の小売業界ニュース

1月の小売業界では、ウエルシアや無印良品、JINSが新しい試みがなされた店舗をオープンさせています。

また、ミニストップの海外事業がベトナムに注力されたり、ウエルシアが「コクミン」を子会社化したりなど、大規模な変革の動きもありました。

新興コンビニ「さくらみな便利店」が4店舗目オープン

群馬県内でチェーン展開しているローカルコンビニの「さくらみくら便利店」は、1月20日に4店舗目となる「さくらみくら便利店 館林瀬戸谷店」をオープンさせました。

さくらみくら便利店は「すき家」や「はま寿司」などを展開する外食大手のゼンショーHDのグループが運営しており、2021年6月に1号店「さくらみくら便利店 笠懸阿左美店」をオープンしています。

外食業態のイメージが強いゼンショーHDですが北関東ではスーパーマーケットも展開しており、さくらみくら便利店はコロナ禍で外食産業に厳しい状態が続いている中での事業多角化戦略のひとつで、小売業態としての実験段階だとのことです。

ミニストップ、韓国や中国、フィリピンから撤退

コンビニチェーンのミニストップは1月21日に、海外で展開しているミニストップについて韓国や中国、フィリピンからは撤退し、好調なベトナムでの事業に経営資源を集中させることを発表しました。

ミニストップは、連結子会社である韓国ミニストップの保有株式とフィリピンの持分法適用関連会社の保有株式をすべて売却し、中国では遼寧省でのエリアフランチャイズ契約は継続するものの青島ミニストップ有限公司の全店舗を2021年10月15日をもって営業を終了したとのことです。

2021年12月時点で120店舗展開しているベトナムは好調に推移しているため、経営資源を集中させて経営基盤の強化を図るとしています。

「イトーヨーカ堂」売却か/セブン&アイHD

アメリカの投資ファンド「バリューアクト・キャピタル」は1月26日に、自社が約4.4%の株式を保有しているセブン&アイHDに対して、コンビニ事業以外の部門を売却などするよう検討を求める書簡を送ったと発表しました。

バリューアクト・キャピタルは「もの言う株主」として、積極的に投資先の経営に関与する投資スタイルで知られています。

セブン&アイHDの業績不振となっている部門(イトーヨーカ堂、そごう・西武など)の売却検討やコンビニ事業への集中、経営戦略について複数の機関投資家などから意見を聞くことなどを求めています。

検討の結果、そごう・西武は売却される方向で最終調整にはいりました。消費者の嗜好の変化やECの登場で百貨店市場は縮小しています。セブン&アイHDから抜けたそごう・西武が今後どのような方針で立て直しを図るのか注目です。

水素トラック実験は順調/ファミリーマート

ファミリーマートは2021年11月より愛知県にて水素を燃料とした燃料電池小型トラック(以下、FC小型トラック)の実証実験を行なっていました。

走行開始から約2か月が経過し、FC小型トラックの運行にかかる燃費が想定を上回るなど実証実験は順調とのことで、2022年1月24日には、FC小型トラックで使用している水素が愛知県の「低炭素水素認証制度」に認定されたことを発表しました。

この低炭素水素認証制度とは、製造や輸送、利用などに対して二酸化炭素の排出が少ない水素を「低炭素水素」として愛知県が認証するもので、FC小型トラックで使用している東邦ガスが供給する都市ガスから製造した水素は、制度制定されてから6件目の認定となりました。

ファミリーマートの実証実験で使用されているFC小型トラック
▲ファミリーマートの実証実験で使用されているFC小型トラック:ニュースリリースより

スーパー・薬局・カフェがひとつに/ウエルシア

茨城県を中心にスーパーマーケットを展開しているカスミは1月28日に、ドラッグストアウエルシア薬局と一体化した新業態店舗「BLANDE(ブランデ)」を茨城県つくば市にオープンしました。

BLANDEは「食と健康美」をテーマに新たな売り場を展開し、食料品と一緒にウエルシア薬局の日用品や化粧品の決済ができるとのことです(医薬品は除く)。

ウエルシア、買収や業務提携でシェア拡大

ウエルシアHDは1月18日に、完全子会社の「金光薬品」をウエルシア薬局に吸収合併することを発表しました。ウエルシアHDは2019年6月に中国地方の事業基盤強化のため金光薬品を子会社化としていましたが、コロナ禍での調剤専門店の調剤売上が厳しいことから、本部機能や経営資源の効率化などを目的としてウエルシア薬局への合併が進められます。

また、同日に老舗ドラッグストア「コクミン」と薬局経営「フレンチ」を資本業務提携(子会社化)し、経営規模の拡大と経営体質の強化を発表しました。

2021年10月にはマツモトキヨシココカラファインが合併して「マツキヨココカラ&カンパニー」が誕生するなど、ドラッグストア業界の再編の動きが活発となっています。

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中食サービスに参入/無印良品

雑貨や食品などを扱う「無印良品」を運営する良品計画は、本社ビルの1階に地域密着型小型店「MUJIcom 東池袋」を1月14日にオープンさせました。

MUJIcom 東池袋では、無印良品で初となる中食サービス「MUJI Kitchen」を展開し、店内調理のできたてのお弁当や惣菜などを提供します。

MUJI Kitchenの写真
▲新しくオープンした「MUJIcom 東池袋」の「MUJI Kitchen」:プレスリリースより

MUJI Kitchenでは「素の食」をテーマに、野菜中心の健康的で体にやさしい旬の食材を使ったお弁当や惣菜以外にも、米や野菜、卵などの販売もされています。

JINSが店舗で野菜販売

眼鏡を製造、販売する「JINS」は1月14日に、サステナビリティを意識した新しいロードサイド型店舗の「JINS 前橋小島田店」をオープンしました。

JINSは2021年に企業として持続可能な社会への取り組みを推進するため、サステナビリティの共通ビジョンや目標を策定しています。

そのため、JINS 前橋小島田店の建築には木材を使用し、設置した太陽光パネルによって店舗で使用する電力の約70%をまかなうなど、サステナビリティへの取り組みを体現させた店舗づくりがなされています。

また、JINSの関連会社「JINS norma」が群馬県で栽培した野菜を無人販売するなど、環境への配慮や地域との新たな関係構築を目的とした新しい試みです。

各業態 12月の売上動向

ここでは、12月の各業態について売上動向をまとめます。

:チェーンストアでの総販売額は1兆3,010億円、前年同月比1.7%増

:コンビニエンスストアにおける既存店ベースの売上高は9,325億9,600万円、前年同月比3.2%増

:スーパーマーケットにおける総売上高は1兆1,242億円、既存店前年同期比2%減

:ショッピングセンターの売上高は6,064億7,888万円、前年同月比6.0%増

:全国の百貨店の売り上げ総額は約5,920億円、前年同月比8.8%増

ホームセンターの売上高は3,310億円で前年同月比4%減

ドラッグストアの売上高は6,583億円で前年同月比1.2%増


:家電大型専門店の売上高は4,728億円で前年同月比8.3%減

12月分の業種別の売上動向

ここでは、1月に発表された小売業関連の各種データについて紹介します。

総合スーパー

1月に発表された総合スーパーの主要3グループの営業情報によると、12月の既存店売上は前年同月比でイオンリテール0.8%減、パン・パシフィック・インターナショナルHD国内主要4社(ドン・キホーテ、ユニー、長崎屋、UDリテール)1.2%増、イトーヨーカ堂1.1%増となりました。

イオンリテールが微減となったものの、年末年始のイベントに関連した食品の売上が全体的に好調となり、感染拡大第6波以前の帰省需要で、手土産などの銘店部門が売上高で前年比より約4割増となりました。

スーパーマーケット

1月に発表された全国の主要スーパーマーケット10社の営業情報によると、12月の既存店売上は前年同月比でヤオコーが0.6%増、バロー2.0%増となり、この2社以外の8社ではマイナス成長となっていたことがわかりました。

また、売上とともに客数も全体として減少しており、売上高ではプラスとなっていたヤオコーでも客数は1.0%減、バローは1.7%減となっています。

感染拡大の第3波の最中だった2020年12月と比較すると内食化の需要が減少傾向になっていたと考えられます。

家電量販店

1月に発表された家電量販店の大手5社の営業情報によると、12月の既存店売上は前年同月比でケーズHDが9.2%減、エディオン10.1%減、ビックカメラ7.6%減、コジマ4.9%減、上新電機8.6%減となり、5社すべてが前年同月比でマイナス成長となりました。

巣ごもり需要によって2020年が大きく進捗していた反動によりマイナス成長となっていると考えられ、そのため、家電の種類別の売上では前年同月比で増加している科目も見られます。

メガネチェーン

1月に発表された大手メガネチェーン4社の営業情報によると、12月の既存店売上は前年同月比で愛眼が7.3%増、JINS3.5%増、三城HD5.7%増、ビジョナリーHD1.5%増となり、4社すべてで売上が増加しています。

2020年は感染拡大の第3波の最中だったため客足が伸びず、2021年は緊急事態宣言が解除された10月以降売上が回復傾向となっています。また、メガネスーパーを運営するビジョナリーHDではECサイトの売上が好調で、2021年5月以降すべての月で前年を上回っています。

博報堂生活総研 [来月の消費予報・2月]

博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は1月27日、「来月の消費予報・2022年2月」を発表しました。
博報堂生活総研が発表した2022年2月の消費予報
▲来月の消費予報・2022年2月:博報堂生活総研
それによると、2022年2月の消費意欲指数は42.9点で、前月比では8.5点減、前年比では1.2点増となりました。2月は年末年始の消費や支出の反動によって例年最も消費意欲指数が低下する月となっています。

前月の1月から8.5点と大きく消費意欲は減少していますが、前年比よりも1.2点増加した42.9点という数字は、過去5年の2月の中で最も高い意欲指数となっています。

カテゴリー別の消費意向に目を向けると前月比ではほぼすべてでマイナスとなっていますが、前年度比では「ファッション」「旅行」「理美容」などをはじめ6カテゴリーで回答した人が20人以上増えています。

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<参照>
内閣官房新型コロナウイルス感染症対策サイト:基本的対処方針に基づく対応
東京都公式サイト:新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置
埼玉県公式サイト:埼玉県におけるまん延防止等重点措置等に基づく要請
セブン-イレブン・ジャパン:世界初!非接触・空中ディスプレイ技術をPOSレジに採用 『デジPOS』の実証実験をセブン-イレブン店舗にて開始
NHK NEWS WEB:“空中ディスプレー” 非接触技術の無人レジ実証実験 コンビニ
日本経済新聞:Amazon、米で初のアパレル実店舗 22年後半に
毎日新聞:飽和市場のコンビニに新チェーン 「さくらみくら便利店」勝算は
ミニストップ:ミニストップの海外事業展開について
DIAMOND Chain Storeオンライン:週刊コンビニニュース ミニストップ、韓国・フィリピンCVSの株式を売却
読売新聞:セブン&アイに「コンビニ事業への集中」要求、ヨーカ堂やそごう・西武の切り離し念頭か
ファミリーマート:FC小型トラックの走行実証は順調に経過~使用する水素が愛知県の低炭素水素認証制度に認定~
愛知県公式サイト:低炭素水素認証制度
カスミ:新たなスーパーマーケットのカタチ「BLANDEつくば並木店」食と健康をテーマにドラッグと融合した新しい売り場誕生
DIAMOND Chain Storeオンライン:カスミ、ウエルシア薬局と一体型の新店舗、カフェスペースも併設
ウエルシアホールディングス:株式会社コクミン及び株式会社フレンチとの資本業務提携(子会社化)に関するお知らせ
ウエルシアホールディングス:完全子会社間の合併に関するお知らせ
流通ニュース:ウエルシア薬局/子会社再編で金光薬品を吸収合併
良品計画:無印良品で初の中食サービス「MUJI Kitchen」を設置
ジンズホールディングス:サステナビリティ推進を体現した新店舗「JINS前橋小島田店」1月14日(金)オープン
ジンズホールディングス:サステナビリティ
流通ニュース:総合スーパー/12月はイオン0.8%減、PPIH1.2%増、ヨーカドー1.1%増
流通ニュース:スーパーマーケット/12月既存店売上、ヤオコー・バロー前年越えも8社前年割れ
ケーズHD:2021年度 月次速報
エディオン:2021年12月月次売上状況
ビックカメラ:2022年8月期 月次売上速報
コジマ:月次売上速報(2022年8月期)
上新電機:2021年 12 月期 月次売上速報
愛眼:2021年12月 月次速報
JINS:国内JINS月次売上概況
三城HD:月次売上データ
ビジョナリーHD:2022年 4月期 12月度月次売上状況
博報堂:博報堂生活総研[来月の消費予報・2022年2月](消費意欲指数)

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    口コミラボ編集部

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