「車道のド真ん中にレストラン」中国の地図アプリで起きる不思議現象とその笑えないワケ

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中国でGoogleマップを開いて目的地を確認しようとすると、なぜか池の中や車道の真ん中など、ありえないロケーションを示されることがあるのをご存知でしょうか。

この記事では、Googleマップに起きる不思議な現象と、その理由を紹介します。

Googleマップでレストランが車道の真ん中に

下の画像は、北京のあるレストランGoogleマップで検索した結果です。

左に示した道路地図の場合はきちんと建物を示しているはずが、航空写真に切り替えると、まるで車道の真ん中に存在するかのように表示されてしまっています。

北京の「レストラン」を検索した結果。航空写真では道の真ん中に店舗があるように見える
▲Googleマップで北京の「レストラン」を検索した結果。航空写真では道の真ん中に店舗があるように見える:編集部作成



実はこのような現象は中国でGoogleマップを使うときにはよく見られる現象であり、旅行や出張で現地を訪れる日本人を驚かせています。

同様に、上海のあるエリアでレストランを検索すると、車道の脇に位置するはずの店舗が、航空写真で確認すると畑の中にあるように示されています。


上海のあるレストランのGoogleマップでの表示
▲上海のあるレストランのGoogleマップでの表示:編集部作成

なぜずれるのか?中国独自の暗号化された座標システム

中国政府にとって、中国国内の地理情報は外部に知られたくない情報の一つです。中国では、地理的情報は国家の安全保障にかかわるデータとして厳密に管理されています。これまでも、当局の許可を得ずに位置情報を収集したり、地図データを作成したりした個人や組織が罰されてきました。

地図アプリなど位置情報を含むサービスの事業者は政府の認可が必要で、許可された事業者は暗号化された座標系GCJ-02を利用します。この座標系はGPSのように世界で広く使われている座標系(WGS84)を基にしつつ、アルゴリズムを用いて緯度経度にランダムにズレを起こしています。

Googleマップ(google.com/maps)の道路地図と衛星画像がずれる理由は、それぞれで用いている座標系が異なるためです。

道路地図では暗号化された座標系であるGCJ-02が利用されていますが、衛星画像はWGS-84座標系です。ランダムに緯度経度がずらされているため、実際のロケーションとは異なる場所にマーカーが表示されてしまうのです。

衛星画像にGCJ-02座標系によるずれを反映させることができれば、GCJ-02座標系によるマーカーも航空写真の地図に正しく表示されます。実際に、GCJ-02座標系を元にしたBaiduマップの航空写真で先のレストランの位置を見てみると、きちんと店舗の位置に示されていることが確認できます。

中国北京のあるレストランをBaiduマップアプリで表示させたもの
▲中国北京のあるレストラン:Baiduマップ

この座標のズレを起こすGCJ-02座標系のアルゴリズムは非常に複雑なもので、簡単には解読できません。それでも、これを解読しWGS-84座標系に変換する試みも民間では行われているようです。

<参照>
中国のあらゆる地図がちょっとずつ間違っているのは一体なぜか? - GIGAZINE

訪日中国人の旅行時使われるGoogleマップ

実は中国国内では、Googleマップは基本的に使えません。GoogleやFacebookなどの規制対象のサービスに対して、接続を遮断するシステムが働いているからです。代わりに、Baiduマップや高徳マップといった中国企業が提供するサービスが使われています。

では、中国人が日本を旅行する際にも同じく中国製のサービスを使うのでしょうか?答えはNOで、訪日中国人は多くの場合、Googleマップを使っています。

以下の画像は、中国版インスタと呼ばれるRED小紅書)でのあるインフルエンサー投稿です。中国人向けに、日本旅行の際に使うべきアプリとして「Booking.com」「Googleマップ」「乗り換え案内」「食べログ」「ホットペッパービューティ」などをおすすめしています。


日本旅行の際に使うべき9つのアプリを紹介するSNS投稿
▲日本旅行の際に使うべき9つのアプリを紹介するSNS投稿:編集部スクリーンショット

中国では通信規制のあるGoogleマップなど各種サービスも、海外旅行の際には現地のインターネット回線を利用するため、問題なく利用することができます。

Googleマップの位置情報が正確であり、海外旅行において使い勝手が良いということは中国のSNSにおいて広く共有されており、これを使いたいと考える訪日中国人は少なくありません。また中国で普段使っているBaiduマップや高徳マップには、日本の店舗情報などが充実していないため、行き先探しにも不便を感じることは想像に難くありません。

ただし、繰り返しになりますが、中国国内ではGoogleマップは基本的に使えません。訪日中国人が日本に入国してからGoogleマップを利用していると考えられます。Googleマップ上で訪日中国人向けの情報を発信する場合には、“旅ナカ“の消費行動を想定した投稿内容になるよう注意するとよいでしょう。

また上の画像内で取り上げられているアプリについても、訪日中国人にもチェックされているものとして情報発信し集客に生かしていく必要があるといえそうです。

店舗ビジネスあるいは観光施設は、今後のインバウンド市場の回復期を見据え、Googleマップでは訪日中国人の検索やニーズに応じた情報を発信していくとよいでしょう。

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