マーケティング活動に活きる行動経済学とは?基本や代表理論を紹介

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行動経済学とは、経済学に心理学の理論を応用した学問領域です。

消費者による購買行動は、経済の動きを作る大きな要因の一つですが、伝統的な経済学では人間の心理的な方面からの分析はあまりなされてきませんでした。

消費者心理がどのように実際の購買行動に影響しているのかを分析することは、より的確なマーケティングプロモーションを行える可能性を秘めています。

本記事では行動経済学の概説からマーケティングへの活用意義、行動経済学で用いられている各種理論について紹介します。

行動経済学とは?その基本を解説

行動経済学はこれまでの経済学とは異なり、経済だけを考えるのではなく人間の心理がどのように経済に作用するかを含めて考える分野とされています。

行動経済学の基礎を理解することで、消費者の行動についてより的確にとらえることができると考えられます。

その理解をベースにより商品に魅力を感じてもらい、購入を動機づける施策を展開することで、売上やユーザーの拡大も期待できます。

心理学との違いは?経済活動を科学。2000年代から脚光を浴びる

経済学においては、人間は合理的に動くことが前提とされています。経済学上の理論もこうした基本のうえに組まれていました。それに対して行動経済学は、人間が非合理的に活動することを考慮に入れて理論を説きます。

経済活動において人間が常に合理的であれば取るはずのない行動を取ってしまうことを論理的に導き出そうという試みでもあります。経済学であると同時に、心理学などの領域とも関連があります。

行動経済学では、人間が選択してしまう非合理的な判断が何を原因としているのか、そしてどんな判断を下すのかを解析しようとしています。

2000年代に入ってからアメリカの心理学者であり行動経済学者のダニエル・カーネマンや、同じくアメリカの行動経済学者あるリチャード・セイラーがノーベル経済学賞を受賞するなどの動きがあり、にわかに注目が集まっている分野です。

経済学との違いは?非合理な判断が前提

経済学では人間は常に合理的な選択をする存在とされてきました。

経済活動という常に利益と不利益が発生する状態において、人間や人間によって構成された会社などの組織は誰しもが利益を求めそれにかなう判断を合理的に下すだろうという考え方によるものです。

しかし、実際の生活において人間は必ずしも常に合理的な判断で経済活動を行なっているわけではなく、それは経済学では説明がつきませんでした。こうした点から、経済学は実際の経済活動を的確に表しているとはいえない状況にありました。

行動経済学は人間の心理を研究する心理学と経済学を融合し、経済活動において人間が実際に非合理的な判断を下す理由を心理学の理論を用いて解明します。経済学がこれまで説明しきれなかった領域を補完する研究分野だといえるでしょう。

マーケティングにも応用できる行動経済学

人間は常に状況を認識しその時々に合わせて判断を下しており、その連続で行動が決まっていきます。

人間の判断には、2つのパターンがあるといわれてます。直感的に、瞬時に判断を下すパターンと、時間をかけて判断を下すパターンです。

多くの場合、判断を下すときは直感によるものが多く、常に合理的の利益を最大化できる判断を下せるわけではありません。

特に現代社会は情報通信技術が劇的に進歩したこともあり、1日あたりや一瞬あたりに得られる情報量は膨大になっています。情報が多ければそれだけ考慮するべき要素が増えることになり、事前のリサーチや購入の判断基準を検討するなどの時間や労力をかけることが負担になる傾向にあります。

その結果、直感で短い時間に考えをまとめ決断することが増え、なかには合理的でない決断を下すこともありえます。

消費行動や経済活動でもその可能性は十分にあり、一見すれば合理的でない消費行動をとることも説明がつきます。行動心理学を用いて非合理的な消費行動を検証し、実際のマーケティングに生かす視点が重要です。

行動経済学の代表的理論〜基礎編〜

行動経済学の理論は心理学の理論を引用、応用、発展させたものが多いのが特徴です。

実際のマーケティングで用いられているものから、身近な考え方として馴染みのあるもの、すでによく使用されている理論などがあります。

1. アンカリング効果

アンカリング効果とは先に示された数字や量が基準となり、その後に示される情報を客観的に受け止められなくなる現象です。先に示される数字や量といった情報が人の心の中に固定される様子を、船をつなぎとめるいかりに例えています。

ビジネスにおいては、売り手が販売したい値段よりもあえて高い価格をまず設定し、そこから割り引くなどの方法が考えられます。

その他にもたとえば規定のご飯の量を多めに設定し、減らす場合には20円引きといったサービスを提供すれば、既定のご飯の量と価格が比較対象となり、減らした分量がちょうどよいと感じる顧客の満足度は高まると考えられます。

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2. プロスペクト理論と損失回避性

プロスペクト理論とは、人の損得に対する見積もりは、損をするか得をするかによって、感じ取る価値の大きさが変わることを説明した理論です。

また現在損をしているのか利益を手にしているのかによっても決断が変わることが証明されています。

その根底にはリスクを回避したいという人間心理があり、これは損失回避性と呼ばれます。人は利益が手に入りそうなときは、少額であっても確実に手に入る選択肢をとります。反対に、利益がありつつも確実に損を含む選択肢と、不確実ではあるが損得どちらかの結果が手に入る選択肢を比較した場合、後者を選ぶ人の方が多くなります。

株式の売買で損切りが難しいのはこのためです。

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3. サンクコスト・サンクコスト効果・コンコルド効果

サンクコストは「すでに費やしてしまった時間や支払ってしまった費用」を意味します。それを取り戻したいという心理から、損するとわかっている行動を継続してしまう現象をサンクコスト効果といいます。別名コンコルド効果ともいいます。

近年さまざまな商材で流行したサブスクリプション方式(定期購入、定期購読)は、サンクコスト効果により利用者を確保できます。サブスクリプションの会員となった消費者が、商品に魅力を感じているかどうかにかかわらず、すでに支払った料金があるから利用したいと考えることは自然な流れです。

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4. ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、第三者の評価を信用できるものと感じる心理です。企業の広告よりも、利用者の口コミのほうを参考にしたくなる消費者心理は、この行動経済学の理論から説明できます。

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5. フレーミング効果

フレーミング効果とは、伝達される情報が同じでも、その情報を構成する要素のどの部分を強調するかによって、情報の受け取り手の抱く印象が代わり、判断にも影響を及ぼすという現象です。

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行動経済学の代表的理論〜応用編〜

続いて、行動経済学の代表的理論のうち応用編について紹介します。

1. おとり効果

おとり効果とは、人に何かを選び取ってもらうために、それを引き立てる存在と並べることで、狙った選択肢を選び取ってもらうことができる現象です。

たとえば店舗での雑貨や食品の販売を考えてみると、最も売れてほしい商品と比べて質と価格が高いものと低いものと用意します。消費者はこれら「おとり」と比較検討した結果、販売者が狙った商品を手に取ることになります。

本命と差をつける要素として、価格、品質、量があります

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2. ヒューリスティック

ヒューリスティックは、人間が経験や偏見などの先入観をもとに判断を下すことを指す心理学用語です。

日常生活ではこのような判断により行動を決めているシーンも少なくありません。たとえば翌朝のパンを選ぶ際に、価格と見栄えや栄養バランスとの関係を考慮し購入する人は多くないでしょう。

マーケティングでは、消費者が有している無意識の経験則や固定概念を利用することで、消費者の行動を後押しできます。ブランドのイメージカラーやフレーズによる印象づけなどはその代表です。

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3. ピークエンドの法則

ピークエンドの法則は人間の感情が常に変動することを前提に、人間の経験はその経験の最も盛り上がった部分と終わりの部分の感情によって全体の印象が変わると定義した理論です。

この理論によるとピークの感情と最後の感情を比較して経験の感想を導き出すことこから、最後にポジティブな感情をあたえることが重要です。

ピークの感情が悪かった場合、最後にポジティブな感情を感じればピーク時のネガティブな感情が緩和されます。

またピークの感情が良かった場合、最後にポジティブな感情を再度感じさせることで全体を通して楽しい経験や良い経験をしたと印象づけられます。

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4. カリギュラ効果

カリギュラ効果は「禁止」を呼びかけることで、対象物への関心を掻き立てられる現象です。

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5. バーナム効果

バーナム効果とは、通常多くの人にあてはまるような特徴を指摘された際に、自分に固有の特徴を言い当てられたかのように感じる心理現象です。

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行動の裏の心理「行動経済学」がマーケティングのヒントに

行動経済学はこれまでの経済学とは異なり、人間の心理を解析する心理学の理論を経済学に融合させ、実際の経済活動で見られる人間のありのままの経済活動を論理的に説明しようと試みています。

経済学では、全ての人間は損得の計算に基づく合理的な判断を下すという原理のもとに事象を分析します。こうした観点から出発してしまっては、時として非合理的な決断を下す現実の消費者像を捉えることができません。

マーケティング施策においては、前者の観点を取り入れることが必要です。

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