例年、12月は忘年会シーズンとして賑わいますが、今年は新型コロナウイルスへの懸念から、例年とは異なる忘年会事情が生まれています。
日本フードデリバリーの調査によると、調査対象者の54.1%が忘年会で感染リスクが高まると回答しました。
今回は2020年の忘年会最新事情について、いくつかの調査結果から消費者の忘年会に対する意識を読み取り、飲食店が実施すべき忘年会対策について解説します。
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54.1%が「忘年会で感染リスク増」、調査で見る最新の忘年会事情
法人向けのフードデリバリーサービスを展開する日本フードデリバリーの調査によると、回答者の54.1%が「忘年会への参加により新型コロナウイルスへの感染リスクが高まる」と回答しました。
回答者の24.6%が「忘年会が開催されても参加したくはない」と回答しており、うち88.6%が忘年会に参加したくない理由として「新型コロナウイルスへの感染が不安だから」と回答しています。
感染への不安は、30.0%が選んだ「終業後に時間を割きたくない」や27.1%が選んだ「気疲れして楽しめない」に大きく差を付ける結果となりました。
また、東京商工リサーチの調査では、回答企業の約66.8%が「昨年は忘年会や新年会を開催したが今年は開催しない」と回答しています。
今年は多くの企業が感染拡大防止のため、忘年会を開催しない見通しであることがわかります。
でも「やるなら参加したい」という声が38.5%
しかし、日本フードデリバリーの調査によると、回答者の38.5%が「忘年会が開催されるなら参加したい」「忘年会が開催されるならどちらかといえば参加したい」と回答しました。
このような調査結果から、今年の忘年会需要低迷の主な原因は感染リスクであり、感染リスクさえ制御できれば隠れた忘年会需要が取り込める可能性があると考えられます。
感染リスクを減らした2つの「新しい形の忘年会」とは?
2020年の忘年会は、新型コロナウイルスの感染リスクを減らせるような形態での開催が求められます。
2020年12月1日現在、北海道札幌市、茨城県の一部地域、埼玉県の一部地域、東京都、愛知県名古屋市の一部地域、大阪府大阪市の一部地域では、酒類を提供する飲食店を中心に、営業時間を21時または22時までに短縮するよう要請しています。
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け時短営業要請の流れが広まりつつある今、飲食店にとっては忘年会の新しい開催形態の需要を捉えることが年末を乗り切る鍵となりそうです。
ここからは、新型コロナウイルスの流行下でも開催できる新しい形の忘年会として注目を浴びている「事務所で忘年会」と「オンライン忘年会」を紹介します。
1. 食材はデリバリーやケータリング、事務所で忘年会
日本フードデリバリーの調査によると、回答者の33.7%が「忘年会を開催するならオフィスでの開催が良い」と回答しています。
デリバリーやケータリングなどを利用し、オフィスに食材を手配することで、普段出勤している場所で忘年会を開催できます。
事務所で忘年会を開催すれば、大人数で外出し飲食店を利用したり、飲食店の店員といった外部の人と関わったりする必要はなくなります。
そのため、次に紹介するオンライン忘年会ほどではないものの、不特定多数の人との接触による感染リスクは低減できます。
日本フードデリバリーが運営するパーティー料理の専門サイト「シェフコレ」では、「忘年会・納会ケータリング完全ガイド【2020年版】」を公開し、同サービスが独自に定めた感染対策項目を満たした店舗について「衛生対応可能店舗」として掲載しました。
「衛生対応可能店舗」ではカトラリー類は個別包装するほか、取り分け用の箸やトングを発注人数分用意するなど、消費者が安心して利用できる感染対策を実施しています。
このような感染対策を実施することで、事務所で忘年会を実施する際のデリバリーやケータリングの選択肢として魅力的な飲食店になれます。
2020年コロナ禍での忘年会は参加する?しない?店舗選びの重要ポイントは「感染防止対策を行っている」75.7%
目次約半数が忘年会への参加は感染リスクが高まると回答飲食店に求めるのは万全な感染症対策約半数が忘年会への参加は感染リスクが高まると回答日本フードデリバリー株式会社は、10月20日、全国20歳以上の「くるめし弁当」「シェフコレ」会員男女852人を対象に2020年10月7日(水)~10月13日(火)に実施したインターネット調査「ウィズコロナ時代の忘年会に対する意識調査」の結果を発表しています。調査によると、忘年会への参加による新型コロナウイルスへの感染リスクについて「感染リスクが高まる」と回答...
2. 社員がそれぞれの自宅から参加、オンライン忘年会
日本フードデリバリーの調査によると、回答者の24.6%が「忘年会を開催するならオンラインでの開催が良い」と回答しています。
この流れを受け、社員それぞれが自宅などからSkypeなどのオンライン会議サービスを通じ、オンライン会議と同様の形で開催される忘年会が増えています。
このような形の忘年会は「オンライン忘年会」や「リモート忘年会」「Web忘年会」などと呼ばれています。
オンライン忘年会であれば同じ場所に大人数で集まる必要がないため、忘年会による感染リスクは存在しないほか、遠方の社員でも気軽に参加できます。
忘年会の食材は参加者各自で用意したり、会社で事前にデリバリーを注文し各社員の自宅などの住所へ届けることもあります。
本音は「リアルで会いたい」…"オンライン飲み会"に関する意識調査結果(株式会社プラネット)
目次コロナ禍で「忘年会・新年会に参加したい」人は33.8%オンラインか対面では、「対面型」を希望する人が42.5%コロナ禍で「忘年会・新年会に参加したい」人は33.8%株式会社プラネットは、「オンライン飲み会に関する意識調査」を実施し、4,000人からの回答を得ました。同調査では、「忘年会や新年会などの飲み会・飲みの場のイベントに対して、どう思っているか」の質問に対し、「参加したい」と回答した人が33.8%にとどまる一方、「参加したくない」と回答している人が66.2%にものぼる結果となって...
今からでも遅くない、飲食店にできる3つの忘年会対策
11月以降の感染拡大を受け、11月27日には計10都道府県がGo To Eat キャンペーンの食事券の新規発行を一時停止すると発表しました。
さらに、計4都道府県がGo To Eat キャンペーンにて取得したポイントの利用などを控えるよう呼びかけています。
加えて、酒類を提供する飲食店を中心に営業時間短縮要請を出している自治体も増えつつあります。
そのため、飲食店においてはデリバリーへの対応など、例年とは異なる忘年会対策が必要となります。
ここからは今年の忘年会需要を掴むため、飲食店が今からでも実施できる3つの対策を紹介します。
1. デリバリー大口注文の対応体制を整える
会社の忘年会のデリバリーであれば、大口注文になることは必須です。
大口注文が入っても通常業務を続けられるよう従業員や食材に余裕を持たせ、使い捨ての食器やお手拭き、カトラリー類をあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
また、会社名義での決済や領収書の発行など、会計に関する相手方の希望にも柔軟に答えられるように準備をしておくと、顧客満足度の向上に繋がります。
2. 忘年会用デリバリーメニューを用意する
これまでの忘年会では、オードブルなどの大皿料理が人気でした。
しかし今年は感染リスクを考慮し、オードブルとして提供していた料理を人数分の小皿で提供できるようにするなど、デリバリー向けに一工夫することが求められます。
飲み物も大瓶での提供から缶での提供に切り替えるなど、一人ずつ飲めるような形式での提供が好まれるでしょう。
【飲食店】なくして欲しい「ブッフェやセルフサービス」34%、新型コロナ対策を「重視する」は52%
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3. 空いている店内席はオンライン飲み会席に転用
居酒屋チェーン「甘太郎」では、空いている席をオンライン飲み会席とし、一人で店の料理を食べながらオンライン飲み会を楽しんでもらう取り組みを行っています。
料理のほかにも無線LAN環境を提供しタブレットを貸し出すことで、手ぶらで来店してもリモート飲み会に参加できる環境を整備しました。
このような対策を実施しても、来店客同士の社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保など、通常の店内飲食と同様の感染対策は必要となります。
しかし、オンライン飲み会参加者に向けたサービスを提供することで、通常の忘年会での店内飲食が減った分の穴埋めが期待できます。
甘太郎「リモート飲み専用席」設置、コロナ禍でも楽しく飲み会ができる新サービスを提供
甘太郎で友達同士のリモート飲みが可能に居酒屋チェーン「甘太郎」を運営する株式会社レインズインターナショナル/CWカンパニーは、東京・秋葉原店と大阪・宗右衛門町店で、「リモート飲み専用席」を設置したことを公表しました。「リモート飲み会(オンライン飲み会)」は通常、自宅から参加するのが一般的ですが、コロナ禍でもお店の味を味わいながら飲み会を楽しんでもらうための新サービスです。▲[リモート飲み専用席 大阪の友達に会いに行く感覚でリモート飲み]:株式会社レインズインターナショナル/CWカンパニー(...
今年の忘年会はデリバリー優勢、新しい生活様式への対応を
専門家は忘年会の感染対策として「回し飲みを避けることはもちろん、トングや取り箸も個人専用に」と呼びかけています。
忘年会のデリバリーに対応する場合でも、使い捨て食器の準備や小分けでの提供など、感染対策に配慮することで、ほかの飲食店に差を付けられます。
忘年会需要は全くなくなってしまったのではなく、飲食店での忘年会が事務所での忘年会やオンラインでの忘年会に移行したとも考えられます。
そして、感染リスクを考慮した新しい形の飲食は、忘年会だけでなく通常の飲み会にも広まっています。
今のうちから「新しい忘年会」需要を押さえることで、来年以降の「新しい飲み会」需要を獲得することにも繋がります。
<参照資料>
PR TIMES:2020年、ウィズコロナ時代における忘年会への意識調査 望まれていることは万全な感染症対策
PR TIMES:【今年の忘年会はオンラインが主流⁉】100人集まったオンライン忘年会の様子をレポート
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