コロナで『隠れ倒産』増加する2つの理由:倒産したくてもできない事情…5つの対処法を解説

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響により倒産する企業が相次ぐ一方、倒産扱いにならないものの廃業してしまう「隠れ倒産」が増えています。

そこで本記事では、「隠れ倒産」とはなんなのか、なぜ「隠れ倒産」に陥ってしまうのか、そして乗り切るためにはどうすればいいのかを解説します。

倒産扱いにならない廃業「隠れ倒産」

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により倒産する企業は増加しており、2020年7月30日16時の時点で、新型コロナウイルス関連の倒産は全国44都道府県で386件に上ります。内訳は法的整理310件、事業停止76件となっており、業種別では件数順に「飲食店」53件、「ホテル旅館」46件、「アパレル・雑貨小売店」「食品卸」(各24件)などとなっています。

一方、「隠れ倒産」とは、負債を資産が上回る資産超過の状態にあり、経営余力があるにも関わらず、自主的に会社を休業または廃業したり、解散したりすることです。

統計上は「倒産」とカウントされないものの、企業活動を継続できないという点では倒産と同じです。

倒産したくてもできない現状

倒産したくてもできず、「隠れ倒産」を選ばざるを得ない事業者が増えているのには、新型コロナウイルスの影響による機関の業務縮小や金融機関による支援などの理由があります。

1. 裁判所・弁護士の業務縮小で、破産手続きに要する期間が長期化

新型コロナウイルスの影響で、裁判所は3月下旬ごろから業務を縮小していました。このため、破産手続きの処理が事実上停止し、たとえば東京地裁民事部では、破産申立ては受け付けるものの、緊急性のある事件以外の処理は停止するとしていました。

5月中旬以降、裁判所は破産事件の処理を再開していますが、破産手続きがなかなか進まない状態では、申立て自体を躊躇してしまう場合もあります。

申立てから破産手続開始決定まで時間が空いてしまうと、債権者が企業に押しかけたり、財産を持ち逃げする人が現れるというリスクもあります。

さらに弁護士も、新型コロナウイルスの影響で対面での法律相談が困難となっており、破産申立ての相談を受けた場合、通常1〜2か月で申立てできていた事案が、3〜4か月かかることもあるようです。

2. 「不渡り」の処分を猶予

倒産まで至らないケースには、金融支援の手立てが増えているという背景もあります。

金融庁は、返済条件変更の依頼にできるだけ応じるよう金融機関に求めており、3月10日から同月末までに返済猶予など条件変更の申し込みがあった2万6,592件のうち、審査が終了した約1万件の99.7%で条件が変更されました。

さらに全国銀行協会も、中小企業が決済手段として使用している「手形」について、約束期日に資金を用意できなくても、「不渡り」処分を猶予する特例措置を開始しました。

「不渡り」とは、手形を約束の期日に現金化できないことで、不渡り処分を受けると金融機関からの信用が低下して資金調達が難しくなるなどのデメリットが生じます。

隠れ倒産するしかないと思ったら…5つの対処法

隠れ倒産するしかないと思っても、別の選択肢を模索することで、会社を存続できる可能性があります。選択肢となり得る対処法について紹介します。

1. 補助金や融資

公的な援助として、企業向けの補助金や融資を利用できる可能性があります。

日本政府は、新型コロナウイルスによって収益が悪化した企業に対して補助金を用意しています。

その補助金のひとつとして、ひと月の売り上げが前年同期比で50%以上減少している事業者などを対象に、中小法人等に200万円、個人事業主等に100万円を給付する「持続化給付金」があります。

また、事業者などを支援する政策金融機関である「日本政策金融公庫」では、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化している事業者や、中小企業向けに「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を取り扱っており、資金援助を受けやすくなっています。

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2. 事業の縮小

事業を縮小することで、経営を継続できる場合があります。

事業を急速に拡大しすぎた場合や、不採算部門がある場合などは、特に事業縮小が有効となる可能性があります。好採算事業に注力することで、経営状況が向上することも期待できます。

3. 資産売却

会社で所有している資産を売却することで、財務状況を立て直すことができる可能性があります。たとえば使っていない不動産や、投資用の株式などを売却して負債返済に充てるといったこともできるでしょう。

4. M&A

「M&A」とは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」の略で、2つ以上の会社が1つになる「合併」や、ある会社が別の会社を買う「買収」など、企業の合併買収のことです。

後継者問題の解決や、業界再編に備えた経営基盤の強化、事業領域の拡大といった、経営課題の解決として有効な場合があります。

破産せずに廃業できる会社であれば、合併や買収の相手が見つかる場合も多く、業績が赤字であっても、技術力などが評価されてM&Aが成立することもあります。

5. リスト

環境の変化に伴い、企業が事業に合わせ人員を整理し構築し直す「リストラ」によって、会社を存続させられる可能性があります。

リストラでは経営資源を見直し、採算が見込める分野や今後の成長分野に人員を増やしたり、逆に不採算分野を廃止して人員を縮小したりします。

<参照>

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