レジ袋有料化に伴うクレーム多発:トラブル回避のためにできることは

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2020年7月1日より、全ての小売事業者を対象に、プラスチック製のレジ袋の有料化が開始されました。

これまでのようにレジ袋を無料で配布することができなくなったことから、不満を感じた顧客からクレームが入るなど、従業員の負担増加となっているようです。SNS上でも、レジ袋有料化に対するさまざまな意見が多数上がっています。

今回は、レジ袋有料化に伴うトラブルやクレーム事例をふまえ、トラブルを未然に回避する対策について解説します。

7月からレジ袋有料化スタート、店舗で注意とエコバックによるコロナ感染のリスク

2020年7月1日より、プラスチック製のレジ袋の有料化が全国的にスタートします。日常生活のあらゆる場面で便利なレジ袋ですが、地球温暖化や海洋プラスチックごみ・廃棄物問題などの課題をふまえプラスチックの過剰使用を控えるべく、レジ袋の有料化に踏み切りました。この記事では、レジ袋の有料化に伴い店舗が知っておくべき注意点とエコバックを介して新型コロナウイルスが感染してしまうリスクについて解説します。7月からレジ袋の有料化が義務に経済産業省は、環境保護などの観点から、レジ袋の有料化を全国的に義務付け...


レジ袋有料化に伴うトラブルが多発

日本では初めての試みである全小売事業者を対象としたレジ袋の有料化に伴い、慣れない運用に戸惑う従業員の様子や、顧客からのクレームが発生する事案も多数みられています。

レジ袋有料化の仕組みを改めて確認し、新たに発生するようになった従業員に対するカスタマーハラスメントの現状を解説します。

7月1日からレジ袋有料化がスタート

2020年7月1日より、全国の小事業者を対象とするプラスチック製のレジ袋の有料化が始まりました。地球温暖化や海洋プラスチックごみ問題などをふまえ、プラスチックの過剰使用を抑制するための取り組みの1つです。

紙袋や布袋、プラスチック製でも持ち手のない袋、厚さが50μm以上のもの、バイオマス素材の配合率が25%以上のもの、生分解性プラスチックの配合率が100%のものは有料化の対象外となっています。

レジ袋の価格は、事業者が独自に設定可能です。基本的には袋の大きさで価格を変えているケースが多いようですが、事業者によって異なるため、顧客はその都度会計時に確認する必要があります。

店舗では、レジ袋有料化のアナウンスとともに、エコバッグを持参するよう顧客に呼びかけています。

レジ袋有料化開始、7/1の買い物でエコバック持参62.7%、今後もマイバックの利用意欲は高い

エコバッグを持参した人は「62.7%」株式会社リサーチ・アンド・イノベーションは、「レシートがお金にかわる家計簿アプリCODE(コード)」にて、プラスチック製レジ袋の有料化が始まった7月1日に買い物登録をした人を対象に「買い物袋に関するアンケート調査」を行いました。「7月1日の買い物でプラスチック製レジ袋を買ったか」どうかについて聞くと、6割以上の人が「マイバッグ・エコバッグで買い物をした」と回答しました。プラスチック製レジ袋を購入したと回答した人は8.6%です。買い物の時にマイバッグを持...

スタート前には懸念の声も

レジ袋有料化の開始前から、世間ではさまざまな懸念の声が上がっていました。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止する上で、使用済みのマスクを処分する際に、地域指定のごみ袋と合わせてレジ袋も使用するよう指示している自治体もあることから、レジ袋は重宝されています。このような現状をふまえ、レジ袋の有料化を新型コロナウイルスの流行下で行うことは、タイミングが悪いとの声も見受けられました。

また、レジ袋の要不要を顧客に質問する必要が出てくることなどから、従業員の負担増加への指摘もあります。

レジ袋有料化 問題
▲従業員の負担増加を指摘する声:Twitterより、口コミラボ編集部スクリーンショット

Twitter:さや太郎(獅子ファン) さん @sayataro_Lions1 による投稿

Twitter上ではコンビニ店員とみられる人から、レジ袋を有料化し接客用語が1つ増えるだけで、トラブルの種になりかねないと不安の声が寄せられていました。

コロナ禍で「カスタマーハラスメント」に変化が

生活関連産業の労働組合であるUAゼンセンは5月、同団体に寄せられたカスタマーハラスメントの報告例を公開しました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活環境の変化により、カスタマーハラスメントの発生事由にも変化がみられるようです。

スーパーやドラッグストアでは、消毒液やマスクの品切れに関するクレームが発生しています。またスーパーやコンビニでは、入店規制ができていない・釣銭を手渡ししているといったコロナ対策の不備に対するクレームがあるようです。一方コロナ対策を徹底していても、ソーシャルディスタンス確保のためにレジの待ち時間が長くなったことや、トレイに釣銭をのせて渡すことに対するクレームも寄せられているといいます。

さらには「こんな店二度とくるか」など従業員や店舗自体を否定する暴言、マスクをせずに従業員に向かって咳をする嫌がらせなども報告されています。

このような状況下で、さらにレジ袋有料化に伴う新たなカスタマーハラスメントが発生する状況であり、従業員の負担は大きいものとなっています。

レジ袋有料化に伴うクレームの例

レジ袋の有料化が始まってから相次いで報告されているトラブルは、多岐にわたっています。

会計のやりとりの際のトラブル

緊急事態宣言の発令以降、スーパーに限らずマスクまたはフェイスシールド、透明のフィルムで仕切られている為「店員の声が聞こえない」とのクレームは後を経ちません。

それは、店員側も同じです。お客様の声が聞こえにくいのです。

レジ袋の必要・不要、支払い方法も多種多様にあります。

— Chivivi (@Chivivi2) July 17, 2020

※現在このツイートは閲覧できません。

新型コロナウイルスの感染予防策として、多くの店舗で従業員はマスクやフェイスシールドを着用、レジにはビニールカーテンを設置するなどの対策をしています。そのため通常より声が聞き取りにくいことから、レジ袋の要不要についてのやりとりがスムーズにいかず、顧客からのクレームにつながるケースが発生しています。

また、レジ袋の要不要を聞かれた際に顧客が「大丈夫です」と答えると、どちらのサインか分からずコミュニケーションにミスが生じ、顧客が怒るケースもあったようです。なかには、レジ袋が有料なら商品も買わないと言い、商品を置いて立ち去ってしまう顧客もいるということです。

袋詰めに時間がかかってしまうことにクレーム

コンビニでは、エコバッグを持参した顧客は自ら商品を袋詰めするため、通常より時間がかかり、後ろに並んでいる顧客が怒ったり急かしたりといったトラブルがあります。

従業員だけでなく他の顧客がクレームを制止しようとすることで、さらに大きなトラブルに発展するケースも見受けられます。

サイズに関するクレーム

コンビニでレジ袋を購入した際に袋のサイズが小さく、商品が入れづらいことに対するクレームもあります。レジ袋のサイズや形状が予め決まっている店舗で、レジ袋のサイズは顧客自身に選ばせてほしいといった意見が顧客側からも挙がっています。

一方で、袋によって値段が変わる店舗では、事前に顧客にサイズと枚数を聞かなければなりません。その際に顧客が店員に判断を求めるような質問をし、実際に適切なサイズでなかった場合にクレームにつながるケースも後を絶ちません。

レジ袋をいるっていう人は、どのサイズを何枚いるのかは自分で考えてくれ。

お金が発生するからこそ、店員に「入るほうで」「どっちなら入る?」とか聞かないで。それで入らなくて怒られている店員を見たし、実際にされたし、そもそもそれを考えている時間がピーク時には勿体ない。

— ささみ (@hr_snm2) July 23, 2020

※現在このツイートは閲覧できません。

エコバッグに関するクレーム

レジ袋有料化 問題
▲エコバッグに関するクレーム:Twitterより、口コミラボ編集部スクリーンショット

Twitter:めんた さん@novita_iv による投稿

レジ袋の有料化に伴い店舗がエコバッグの利用を促していることもあり、エコバッグを持参する顧客も増えたなか、顧客が自分で袋詰めすることに対してクレームが入るようになりました。理由としては、これまでは当然のように店員が行っていた袋詰めを、自分でやらなければいけなくなったことに対し、急にサービスの質が落ちたように感じることが考えられます。

また、弁当などの容器から中身がこぼれてしまい、エコバッグが汚れたというクレームも想定されます。

トラブルを回避するためには

これまでレジ有料化に伴う様々なトラブルやクレーム事例を紹介してきました。レジ袋有料化の仕組みが浸透するまでは、引き続きトラブルが発生することが予想されますが、事前に対策を講じておくことで、トラブルの回避につなげることが可能です。

ここでは、レジ袋に関するトラブル回避策を3つ紹介します。

クレーム対応方針を明確にする

事前にレジ袋に関するクレームへの対応方針と、対応方法の詳細をまとめたマニュアルやガイドラインを作成しておくことが有効です。

エコバッグを持参した顧客は商品を自ら袋に詰めるのか、店員が袋詰めをするのか、といった細かいルールも、店舗の方針として決めると良いでしょう。このようなレジ袋有料化に伴う新たな運用ルールは、店舗内にもあらかじめ掲示しておくと、クレームにも迅速に対応しやすくなります。

クレームに対するリスクマネジメントを徹底することで、従業員を守ることはもちろん、店舗顧客満足度の向上にもつながるため、早めの対策が重要です。

レジ袋が有料であることを事前に伝える

レジ袋の無料配布を廃止したことが顧客に伝わるよう、店内のわかりやすい場所にその旨を記載したポスターなどを掲示しましょう。

経済産業省のホームページからは、店頭で使えるレジ袋有料化を周知する内容のポスターが無料でダウンロードできます。独自のポスターを作成する手間もなく、すぐに掲示が可能です。

ほか、自社のホームページにて、レジ袋のサイズ・価格や、顧客自身による袋詰めのお願い、エコバッグ持参の促進といった内容を掲載している企業もあります。なぜレジ袋の有料化に取り組むかについて、海洋プラスチックゴミ問題などの世界的な環境問題や、自社の環境対策と関連づけて説明しているケースも見受けられます。

扱う商品によってはレジ袋配布も検討

大手牛丼チェーンの吉野家は、無料で配布可能なレジ袋の要件に対応したバイオマス25%配合のレジ袋を使用することで、テイクアウト用のレジ袋の配布を継続することに決めました。レジ袋の利用により、商品の中身がエコバッグ内に溢れるという心配もなく、安定した状態で持ち帰れることや、食中毒防止といった衛生面への配慮が狙いです。

バイオマス配合のレジ袋は通常のものよりコストがかかりますが、来店客が増えればコスト面はカバーできるとした上で、衛生面の担保を優先し、今後も有料化の予定はないとしています。

大手ファストフードチェーンのケンタッキーフライドチキンや、北海道で展開するコンビニチェーンのセイコーマートなども、バイオマス素材配合のレジ袋の無料配布を実施しています。

ケンタッキーでは、フライドチキンなどの揚げ物をエコバッグなどの布袋に入れると、油が染み出し持ち帰ることが難しいため、レジ袋は必要と判断しました。

また、レジ袋の要不要を確認する作業が発生すると、顧客の店内での滞在時間が長くなり感染リスクが懸念されるため、利便性だけでなく安全性確保の目的もあります。

クレームを未然に防ぐために最善策を検討する

レジ袋に対するクレームを未然に防ぐためには、事前にレジ袋に関する顧客とのやりとりや、細かいルールを店の方針として統一し、マニュアルにまとめるといったリスクマネジメントが重要です。

扱う商品によっては、バイオマス素材が25%以上配合されたレジ袋を用意し、引き続き無料配布を検討することも大切でしょう。

従業員を心ないカスタマーハラスメントやクレームから守ることはもちろん、顧客満足度の向上や衛生上の安全面の確保といった観点から、扱う商品の特徴などをふまえ、事業者ごとに最善策を検討し対応することが求められます。

<参照>

・Impress Watch:7月からレジ袋有料化が義務に。無料配布は禁止

・東京新聞:間の悪いレジ袋有料化 コロナで使う機会増えたのに

・キャリコネニュース:レジ袋有料化にコンビニ店員が阿鼻叫喚「やるなら時給上げてくれ」「袋お付けしますか?の一言がトラブルになりかねない」

・流通ニュース:UAゼンセン/店舗での「顧客からの迷惑行為」報告例公開

・働く人の心ラボ:レジ袋有料化で急増中!「レジハラ」(レジハラスメント)を起こす心理とは

・キャリコネニュース:レジ袋有料化でによる従業員の負担仕事増「”袋いります?”と聞くのが面倒」「有料と言われてキレる客に対応」という声も

・TABLO:「チンタラしてんじゃねえぞ!」 レジ袋有料化で店員にクレームを入れる客が増加か

・ぐるなびPRO:店とスタッフを守るために、知っておきたい! パニッククレーマー対策(2ページ目)

・経済産業省:レジ袋削減にご協力ください!

・CraftTown:レジ袋有料化のお知らせとお願い

・株式会社ビー・アンド・ディー:マイバッグの持参にご協力ください

・食品産業新聞社ニュースWEB:吉野家 テイクアウト用レジ袋無料を継続、バイオマス25%配合に変更

・JCASTトレンド:レジ袋「無料」続けます 吉野家、ケンタッキー、セイコーマートの真意

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