【クレジットカード2020問題】アップデートされるクレカの新常識:新型コロナが普及の追い風に

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2020年以降、クレジットカードを巡るキャッシュレス決済の現状が大きく変わろうとしています。経済産業省が発表した2016年の世界各国のキャッシュレス決済比率を見ると、韓国が最も高い96.4%であるのに対し、日本はわずか19.9%に留まっています。

世界の主要各国ではキャッシュレス決済比率が40~60%台であり、日本は2025年までに40%まで比率をあげることを目標としています。このような現状を踏まえ、実店舗やECサイトなどの経営者にとっては、今後クレジットカード決済システムを導入することは必要不可欠と考えられます。

本記事では、クレジットカード利用が抱える問題や、世の中のクレッジトカード決済導入への動きがどのように進んでいるか解説するほか、クレジットカードの今後についても考察します。

クレジットカード2020問題

2018年6月に割賦販売法の一部を改正する法律(改正割賦販売法)が施行されました。これにより、セキュリティ強化によりクレジットカードの不正防止が強化されます。

法律の施行により、2020年までに全てのクレジットカードを「ICチップ搭載型」へ切り替えることが決定されました。ICチップ搭載型に切り替えることで、偽造のクレジットカードを使った不正防止が可能となります。

従来は「磁気ストライプカード」と呼ばれるタイプで、これは裏面の黒い磁気テープの中に、クレジットカード番号などの情報が入っているものです。これまではICチップ搭載型よりも半額以下で手に入ることもあり、磁気ストライプカードでのクレジットカード発行が主流でした。

「ICチップ化」にあたり、店舗経営者はレジの切り替えが必要となります。そのため導入コストがかかることやそれに対応するための工数が必要になることなどの理由から当初の計画よりも切り替えがスムーズに進んでいないのが現状です。

店側の導入意識は高まっていますが、中国に工場があり生産・納品が遅れるケースや人員削減しながら運営を続けている店舗は多忙を極めているため、レジの切り替え作業にまで手が回っていないことが理由に挙げられます。

「ICチップ式」の利点

クレジットカードの不正利用や情報漏洩は全世界で問題視されています。その対策として、クレジットカードのICチップ化が世界中で推進されています。日本も早急な対応を求められていますが、国内で発行されているクレジットカードは4割弱がいまだに磁気ストライプカードです。

日本クレジット協会によると、カードの不正利用被害額は2018年で235億円であり、その5年前の2013年から3倍以上に増加しています。不正利用の多くは、クレジットカードの番号盗用です。磁気ストライプカードはカード番号がわかれば偽造カードが作れてしまうため、簡単に不正利用ができてしまいます。

対して、ICチップ式のクレジットカードであれば、チップ内に「PIN番号」と呼ばれる本人確認のための4桁の数字が登録されている上、チップに記録された個人確認データそのものが高度に暗号化されているため、偽造カードが作りにくくなっています。

Withコロナ時代でキャッシュレス決済の人気が高まる

新型コロナウイルスは未だ収束の目途がたたず、今後はいかに「感染を防ぐか」というWithコロナ時代を過ごす上での防止策が重要視されます。国が挙げている「3密を防ぐ」「手洗いうがい」は当然ですが、それにプラスして「飛沫感染」「接触感染」への対策も求められています。

その対応策の一つとして、「キャッシュレス決済」が推進されています。クレジットカード決済であれば、購入者がクレジットカードを専用端末に差し込むだけで決済を完了できるため、店員と客の双方にとって感染リスクを減らすことができます。

新型コロナウイルスの影響でオンラインで買い物をする人も増える中、決済手段の一つとしてキャッシュレス決済を新たに取り入れる消費者も増加しています。実店舗の買い物では交通系ICカードやQR決済ができる場合も多いですが、ECサイトでは決済方法がクレジットカードのみの場合も多く、これを機にクレジットカードを取得する消費者の増加も見込めます。

【世界各国の取り組み】釣銭、紙幣で感染リスクが増加

現金での支払いにより生じる感染リスクは、世界中で問題視されています。店舗を経営する事業者は、特に注目すべき問題です。実際に中国では、店舗側が紙幣や釣銭を消毒して渡している様子が報道されていたり、韓国の中央銀行はコロナウイルスの抑止に向けて全ての紙幣を2週間流通停止を行いました。

フランス・パリのルーブル美術館は現金を停止するといった取り組みも行われました。世界中で見られる現金決済の中止という動きを踏まえると、今後さらにキャッシュレス決済が普及していくと考えられます。

混雑緩和や人材不足、接触を防ぐ「セミセルフレジ」

「混雑緩和」「人員不足解消」として「セミセルフレジ」の導入店舗が増えています。セミセルフレジとは、商品バーコードを店員が読み取り、清算は購入者が精算機で行うレジのことです。

これにより、スムーズな会計が可能となり、店舗が抱える人材不足の問題解消に役立っています。

またウィズコロナ時代では、店員との対面時間を減少できたり、店員が紙幣に触れる等のリスクも軽減されるため、今後も導入が進むと考えられます。

セミセルフレジではクレジットカードだけでなく現金での支払いも可能ですが、いずれにせよ消費者自身が支払い時の操作をします。こうした機械の導入により、クレジットカードの支払いに対するある種の心理的障壁を取り去るといった可能性もあるでしょう。

まとめ

日本クレジット協会が発表した「クレジットカード発行枚数調査」の結果では、2018年3月末のクレジットカード発行枚数は前年比2.3%増の2億7,827万枚にも上りました。感染症対策やICチップクレジットカードへの切り替えなどによりさらにクレジットカードは普及し、市場規模は2017年度の58兆から、2023年度には約101兆円に達するといわれています。

総務省統計局の「人口推計」から20歳以上の総人口は約1億500万人であることから、成人1人当たりでクレジットカードを2.7枚所有していることが分かります。いまやクレジットカードは消費者にとって当たり前の決済手段となっており、実店舗やECサイト経営者はクレジットカード決済ができるよう対策を進めていく必要があります。

クレジットカードに限らず、海外の主要各国ではキャッシュレス決済が一般的に利用されていることから、今後のインバウンド需要を考えた際にもキャッシュレス決済手段は導入しておくと良いでしょう。またクレジットカードなどのキャッシュレス決済は購入履歴から消費者の行動が追跡できるため、マーケティング施策にも活かせます。

しかし、キャッシュレス決済の導入には、端末代や手数料の負担が発生します。中には手数料や月額固定費0円のキャッシュレス決済方法もあり、導入に金銭的余裕のない店舗であれば、手数料や導入費用などが低いツールの検討が必要です。

東京オリンピック2020に合わせてキャッシュレス決済の導入が推進されていましたが、新型コロナウイルスの影響もありますますキャッシュレス決済の導入が必要となるでしょう。

<参照>

経済産業省:キャッシュレスの現状及び意義

Square:カードは2020年までに全てIC型の時代に。ICチップ付きクレカの安全性が高いワケ

Yahoo!ニュース:外出でできるウイルス感染対策「現金支払い避けるべし」と医師

Impress Watch:日常使いの急増でカードの“タッチ決済”の普及は進む

毎日新聞:3月末に迫った「カード2020年問題」何が変わるか

NHK:クレジットカードで分析「自粛率」に世代差 新型コロナ

CNN:新型コロナ流行で紙幣のやり取りに懸念の声、流通停止や消毒する国も

MONEYzine:クレジットカード発行枚数が2.3%増加  2023年度には市場規模101兆円に拡大予測も

一般社団法人日本クレジット協会:クレジット関連統計

ペイサポ:割賦販売法とは?改正によって追加された新たな義務

経済産業省:割賦販売法について

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