新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除され、各地で社会経済活動再開の動きが見られる他、政府からは客先が減った期間における収益の減少や、従業員に対する補償など、様々な面から営業をバックアップするような取り決めがなされています。
また、宿泊業を再開する際には、休館から再開に踏み切る旅館も出てきていますが、引き続き感染拡大への対策を続けることが求められています。政府が新型コロナウイルスに関して新しく発表したガイドラインに従い、適切な対策を講じることも必要です。
本記事では、アフターコロナにおける旅館の営業に関して、留意すべき事項を解説します。
コロナ禍の旅館の営業
緊急事態宣言の段階的解除を受け、少しずつ営業を開始する宿泊施設も増加しています。
甲府市にある「常磐ホテル」は2020年5月11日より営業を再開し、スタッフの検温・体調管理の強化に加え、アクリルシートの設置やドアノブへ抗菌フィルムシートの施工、個室での食事提供など、感染拡大を防ぐため様々な工夫を凝らしています。
一方で、営業再開に慎重な宿泊施設もあります。例群馬県の温泉地、草津温泉では、旅行客の8割が首都圏からやってくることもあり、感染拡大への懸念から温泉街のうちの8割近くの宿泊施設が自粛を続けています。
旅館新型コロナ対応ガイドラインが発表
緊急事態宣言解除を受け、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟は2020年5月14日、「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」を作成しました。
留意すべき事項
「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」には、安全な宿泊施設の営業を行うためには、「密」を避けるための方法や消毒などの注意点がまとめられています。
具体的には、従業員と宿泊客の接触を避け、2m以上の距離をなるべく確保することが挙げられます。バスなどで送迎を行う場合は、席同士の密集を避けるため、人数を通常より減らす必要があるとされています。
宿泊施設の入り口には消毒液を設置し、来訪者が施設に入る前に手指の消毒を行える環境の整備や、ドアノブなど多くの人が触れるような箇所はこまめにアルコール消毒を行い、ウイルス除去が重要です。
その他、従業員に無自覚感染者がいないかを習慣的にチェックし、休憩所の換気や検温などについて規定されています。
旅館内で感染リスクが高い場所
ガイドブックによれば、宿泊施設内で感染リスクが高い場所として、トイレや従業員等の休憩スペースが挙げられています。
トイレでは、不特定多数が接触する可能性のある場所の重点的な清拭消毒、ハンドドライヤーや共通タオルの使用を中止し、ペーパータオルや個人タオルの使用が推奨されています。
休憩スペースでは、利用者は使用前後に手洗いとマスクの着用を必ず行い、食事を摂る際は対面に座るのを避けます。使用する人数が多くならないように注意し、共有する設備は定期的な消毒を行うことが重要であると定めています。
宿泊客が感染している可能性がある場合
宿泊に訪れた人の中で、感染の疑いがある宿泊客がいた場合の対応についても、「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」に記載があります。
倦怠感、発熱など、感染の疑いがある宿泊客がいる場合、同行者様とともに外出を避けるよう推奨されています。
事前に隔離をできるような部屋を確保しておき室内にいる間も、マスクの着用が求められ、食事は部屋に持参し、配膳を行うのは特定のスタッフに限定します。
感染の疑いのある人に接する場合は、従業員も必ずマスクを着用するように記されています。
保健所の「帰国者・接触者相談センター」に状況を説明し、指示に従う必要があります。状況に応じて、その日の宿泊客リストなどの情報提供への協力を仰ぐとしています。
旅館の営業を継続するためには
アフターコロナで旅館の営業継続を鑑みるにあたり、資金面や事業モデルの面で十分な施策を講じる必要があります。
以下では、雇用調整助成金などをはじめとした旅館の営業継続に有効な施策について解説します。
雇用調整助成金の活用
新型コロナウイルスを原因として営業に打撃を受けた事業主に向けて、日本政府は様々な助成金を用意しています。2020年4月1日~6月30日までは、一連の状況下で影響を受けた事業主に対しての特例的な助成金の拡充が行われています。
厚生労働省によれば、助成金を受け取るための条件は「中小企業であり解雇をしていないこと」「都道府県からの要請に基づき、休業や時間短縮などで営業をしている」「労働者の休業に対して100%の休業手当を支払っていること」などが挙げられます。
つまり、新型コロナウイルスによる打撃を受けていながらも、継続して雇用を行っている企業が対象です。
売上の低下率は、前年比5%以下で助成金の対象となります。また、一定要件を満たす場合、休業手当全体の助成率が100%の場合もあるので、経営状況と条件を確認することが重要です。
アフターコロナへの備え
新型コロナウイルスを乗り越え、感染拡大する現状を乗り越えられたとしても、今後も1~1年半はその影響を受けるとも予想されています。
緊急事態宣言が解除され、徐々に人の往来が以前のように戻ってきたとしても、今回の経験から旅行の形態は変化する可能性があります。
安全性を重視し、「密」を避ける、消毒をこまめに行うなど、現在取り組んでいる新型コロナウイルス対策の継続も必要です。
大手高級ホテルチェーン・星野リゾート代表の星野氏は、個室での料理提供や、部屋で過ごすことを重視した観光形態へのシフトも必要と述べています。
特に観光業においては、「旅行が感染拡大を助長する」ことがないように、適切な環境整備を進めていくことが急務です。
反対に、このような対策をきちんと行えば、安全性をPRポイントにした観光客誘致にもつなげることが可能でしょう。
感染拡大防止に留意しながらアフターコロナへの備えを
2020年5月末より、緊急事態宣言が解除され、徐々に外出ができる以前の環境に近づいます。
しかし、新型コロナウイルスが私たちの生活に与える影響は今後1~1年半継続するとも考えられています。
このような状況の中で営業を継続していくためには、必用に応じた助成金の活用、安全性の確保など、できることから対応を進めていくことが大切です。
顧客のニーズをとらえ、安全性を確保した営業が旅行業界の再起につながります。
ウイルスへの対策を徹底して行い、旅行客が安心して旅行を楽しめるような環境作りができるかどうかが、今後の旅行業界にとって最も重要なポイントとなるでしょう。
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