家賃が払えない飲食店増加|コロナ被害の現状とそれに対する政府の支援策を紹介

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新型コロナウイルスによる影響があらゆる局面に及んでいますが、その中でも大きな影響を受けている業種の1つが飲食産業です。

特に緊急事態宣言が発令されて以降、飲食店には休業や営業時間の短縮が要請されたほか、外出自粛が求められる状況の中、そもそも店まで足を運ぶ客そのものが大幅に減少しています。そうした困難な局面の飲食店の経営を圧迫しているのが、家賃や人件費といった固定費です。

この記事では、今回の緊急事態が飲食店に及ぼしている影響の現状と、家賃補助を中心とした政府の支援策について紹介します。

経営する前にも家賃比率を考えることが大切

飲食店を経営する前は、つい売り上げの方にばかり目が向きがちですが、実際には固定的に出ていく経費にこそ着目する必要があります。そこでまずは、経費の中でも特に重要といわれる家賃比率について考えていきます。

家賃比率は売上の10%以内に!

飲食店の支出には、売り上げの増減に関係なくかかる固定費と、売り上げに連動する変動費があります。

固定費には家賃や光熱費の基本料金、人件費のうち正社員の給与などが含まれ、変動費には材料費などが含まれます。このうちコストを削減することが経営の安定にダイレクトに繋がるのが固定費で、その中でも大きな割合を占める家賃は、売上目標の10%以内の金額にとどめることが理想とされています。

事前に見込み額を計算する場合には、1坪当たりの月間売上額予想を基準に以下のように算出します。

家賃比率の計算方法(例:10坪の場合)

坪月商(1坪当たりの月間売上)の基準値:15〜20万円

10坪×月間坪売上15~20万円 = 150~200万円

家賃比率:150〜200万円の10%=105,000〜200,000円

不動産仲介会社から飲食店用物件を紹介してもらう際には、単純に月額の賃料を見て「高い・低い」と判断するのではなく、「この物件で、目標としている売上を上げられるか」「その目標売上額の10%に賃料は収まっているか」という視点で判断することが適切です。

単位時間当たりの家賃効率を考える

家賃比率に基づいて、家賃として使える額の目安が算出できたら、次に考えたいのが「家賃を支払い、実際に何時間営業していくら売上が立っているのか」を示す「家賃効率」を高める方法です。

家賃効率は次のように算出します。

家賃効率=単位時間あたりの賃料×1日の営業時間×営業日

家賃だけに視点を置くと、24時間365日営業すれば家賃効率が上がる計算になりますが、実際にはこれに人件費や光熱費といった他の固定費が加わるため、売り上げがそれらの経費を下回るようでは意味がありません。そこで家賃効率を高める具体的な方法には、次のようなものがあります。

  • 自店の休業日に期間限定でスペースを貸し出す
  • 夜間など閉店後に別のオーナー別の業種で営業する「二毛作営業」

後者の場合注意が必要なのが、物件のオーナー転貸だと問題視されないかという点です。

それを防ぐためには、例えば二毛作営業の場合には、自店で違う業態の商売を始める形にする、従業員を自店の従業員として処遇するといった方法があります。もし少しでも不安がある場合には、まずは物件オーナーに相談してみましょう。

コロナによって家賃が払えない飲食店

実際には、いかに事前に十分な収支シミュレーションを行い、開店後に安定的な経営を維持していても、想定外の問題について事前に備えることは難しいでしょう。そこで想定外の事態が起きて家賃負担が経営に暗い影を落とした場合の対策について、現在の新型コロナによる事例をもとに紹介していきます。

政府による飲食店の利用自粛の呼びかけ

政府関係者により、正式に外出自粛要請が出されたのは、2020年3月27日に行われた小池百合子東京都知事の会見が最初でした。ここでまず28・29日の週末の不要不急の外出を控えるよう呼びかけがあったことを受けて、都内のデパートやスーパーマーケット、外食チェーンで臨時休業や営業時間を短縮する店舗が出ました。

さらに2020年4月7日には、7都府県(東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡)を対象に「緊急事態宣言」が発令されました。

その後対象は全国に拡大されましたが、宣言の中にはゴールデンウィークが終わる5月6日までを目安に、密閉・密集・密接の「三つの密」を避けるための方策として、不要不急の外出自粛の要請、遊技場や遊興施設などの使用制限の要請などが織り込まれました。※5月18日現在では、39県において緊急事態宣言は解除されています。

その後各都道府県は、具体的に休業要請をする業種を発表しましたが、東京都などが発表した休業要請施設の中には、一般的な飲食店やカフェなどは含まれていませんでした。

しかし酒類を提供する時間の制限により営業時間短縮を余儀なくされ、企業においてもテレワークの取り組みが本格化し、飲食店はアフター5だけではなく、ランチ需要まで喪失することになりました。

売り上げは激減

こうした現状を受け、飲食店.COMが行った「テイクアウトデリバリーの対応状況に関するアンケート調査」によると、全体として約8割の飲食店で売上の減少があり、半分以上売り上げが減少した店舗も2割以上となるなど、飲食店がおかれている厳しい現状が浮き彫りになりました。

実際に閉店に追い込まれる飲食店も日を追うごとに増加しており、前述のアンケートにおいても緊急事態宣言前(4月3~6日)に実施されたにも関わらず、その段階ですでに「閉業した」と答えた店舗が1.2%にのぼっています。 店舗は、閉店に際しても諸々の経費がかかります。

特に今回の騒動のように予期せぬ出来事で閉店に追い込まれた場合には、店舗の賃貸借契約期間残っている可能性が高くなります。通常解約を希望する場合には3〜6か月前に告知することが契約書に明記されており、違反すると6か月分の家賃相当の敷金が返還されなかったり、その他にも原状回復のために100万円単位で費用が求められる場合もあり、資金に余裕がなければ安易に閉店すらできないのが現実です。

家賃が払えない飲食店

緊急事態宣言の発令により1部業種の飲食店には休業要請が出たほか、休業要請から除外された飲食店においても、酒類の提供時間に制限が設けられました。

2020年5月18日現在、39県で緊急事態宣言は解除されていますが、政府からの引き続きの外出自粛要請や、新型コロナウイルスの第2波の襲来を恐れる消費者心理もあり、営業を再開しても騒動以前の客足には回復していません。

こうした状況の中、前述のように家賃は売り上げの有無に関わらず発生する固定費であるため、全国の飲食店オーナーから「家賃負担に耐えられない」という悲鳴にも近い声が挙がっています。各飲食店では、客足が鈍ったことによる減収分をテイクアウトデリバリーサービスなどで補う動きが活発ですが、以前と同様の売り上げは見込めず、苦しい局面が続いています。

コロナに向けた取り組み

家賃の支払いを中心に、こうした現状をなんとか打開しようとする2つの動きが出てきています。1つは飲食店主自身によるもの、そしてもう1つが政府による支援策です。ここではその2つの動きについて、詳しく紹介していきます。

飲食店経営者の活動

新型コロナウイルスの影響による閉店を回避するために、とりわけ重い負担となっている家賃の軽減を求める動きも出てきています。

飲食店主による取り組みとして代表的なものが、2020年4月21日に設立が発表された、外食産業の経営者約100人の有志による「外食産業の声」委員会です。 この委員会が記者会見において、第1回の提言として政府に法案の策定を求めたのが、家賃支払いの先延ばしを可能にする「家賃支払いモラトリアム法」です。

この法案において、テナントから不動産オーナーに対する要求は、大きく分けて次の2点です。 

  • 不動産オーナーが(家賃に関し)テナントとの話し合いに応じることを義務化
  • テナントからの家賃の減免交渉に応じることを義務化

また同法案では不動産オーナーに対する救済策についても触れています。不動産オーナーの資産状況により減免や猶予が困難な場合、テナントと不動産オーナーの合同で政府系金融機関に家賃の立替払いを申請し、金融機関が不動産オーナーに直接家賃を支払う(返済は基本的に1年後に開始で、金融機関はテナントに対して求償権を持つが、リスクなどが必要な場合は引き続き、オーナーが参加しての話し合いを義務化する)制度の実現も求めています。

政府の支援策

政府の支援策については非常に流動的で、日々状況が変化するので、インターネットや報道などを通じて、常に情報をアップデートする必要があります。現段階で決定している政府の支援策には、次のようなものがあります。

雇用調整助成金(厚生労働省)

従来の雇用調整助成金に、4月1日より特例措置が実施されたもので、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全業種の事業主を支給対象に、従業員に対する休業手当の支払率60%超の部分や、一定要件を満たす場合、休業手当全体の助成率を100%にするほか、申請書類の記載事項を5割削減するなど、申請の簡素化も図っています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付(経済産業省)

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により売り上げが減少した場合、必要とする設備資金および運転資金に対し、6,000万円を限度として貸付を行う制度です。利用条件等については、日本政策金融公庫のホームページをご確認ください。

持続化給付金(経済産業省)

特に厳しい状況にある事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる事業全般に広く使える給付金です。新型コロナウイルス感染症の影響により売上が前年同月比で50%以上減少している場合が対象で、資本金10億円以上の大企業を除き、中堅、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者が対象となる予定です。 給付額は原則法人200万円、個人事業者等100万円で、前年からの売上の減少分を超えないものとなる予定です。令和2年の補正予算が成立後に正式決定するため、詳細は経済産業省のホームページをご確認ください。

拡大防止協力金(東京都)

施設の使用停止や施設の営業時間の短縮等に対しての東京都の協力依頼に対し、休業などで全面的に協力する都内中小企業および個人事業主に対して、50万円(2事業所以上で休業などに取り組む事業者は100万円)が給付される制度です。

飲食店経営で要となる家賃料

これまで見てきたように、固定費は経営の収支を考える上でまさに要となる要素です。

固定費の中で大きな割合を占めるのが人件費と家賃ですが、政府の支援策を見てもわかるように、人件費については雇用調整助成金による公的支援などがありますが、家賃については運転資金の枠の中に収められ、家賃に特化した具体的な支援策がなく、現状は飲食店オーナーが不動産オーナーと個別交渉せざるを得ない状況に追い込まれています。

「外食産業の声」委員会が、第1回の提言において「家賃支払いモラトリアム法」を掲げたことでもわかるように、家賃の支払いはまさに店の命運を握る存在です。使える支援は全て使う覚悟を決めると同時に、政府に対して声をあげる勇気も忘れないようにしたいものです。

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