ホテルや旅館などの宿泊施設において取り組むべき集客対策にはさまざまなものがありますが、新規顧客を獲得するための対策とリピーター客を獲得するための対策は、内容が大きく異なります。
一口に集客対策と言えど、まったく別のものであると考える必要があるでしょう。
この記事では、宿泊施設におけるリピーター比率やリピーター獲得の方法、実際の集客成功事例について解説します。
宿泊施設の現状
まずはじめに宿泊施設を取り巻く現状について解説します。
業種や業態によって大きく異なるリピーター比率ですが、宿泊業界ではどの程度が平均的なのでしょうか。
以下では、宿泊施設のリピーター比率についてさまざまな観点からまとめます。
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リピーター比率は10%~30%
少し前の資料にですが2007年4月から5月にかけて実施されたJTBF(日本交通公社)が調査した観光経済レポートによれば各施設の宿泊利用者数に占めるリピーターの割合は「10%以上30%未満」が最も多い結果となっています。
そのように回答した宿泊施設は全体の約4割ほどですが、「わからない」と回答している施設も21.2%となっておりリピーター比率についての理解が進んでいない宿泊施設も少なくありません。
宿泊施設のリピーター比率には業態による傾向もあり、旅館では「10%未満」が46.1%と約半数を占めていますが、ホテルでは「10%以上30%未満」が52.0%と半数以上を占めています。
さらに27.0%のホテルが「30%以上50%未満」と回答しており、旅館よりもホテルでリピーター比率が高い傾向があると言えるでしょう。
旅館やホテルのリピーター比率を規模別にみてみると、中規模の旅館と小規模のホテルがそれぞれの業態において最もリピーター比率の高い宿泊施設となっています。
リピーター比率と客室稼働率
リピーター比率別に客室稼働率をみると、リピーター比率が高い施設は客室稼働率も高くなるという相関関係がみられます。
つまり、リピーター獲得は客室稼働率を向上させる上で有効な方法であると言えるでしょう。
旅館でリピーター比率が高い施設は宿泊単価が高いことも傾向として挙げられます。
しかしホテルの場合、リピーター比率が高い施設ほど宿泊単価が低くなる傾向があります。
この結果は、低単価のビジネス利用者が多いのではないかと推測されます。
リピーター比率と予約方法
リピーター比率が高い宿泊施設には予約経路や予約方法の点でもある種の傾向が表れています。
リピーター比率が多い施設ほど、旅行代理店経由ではなく直接予約が多い傾向にあります。
特にホテルでは、リピーター比率が上がるにつれて旅行代理店経由の予約は大きく減少しており、旅館以上に直接予約によってリピーターを獲得していると言えるでしょう。
一方でネット予約比率はホテルの場合、低下する傾向にあり旅館の場合は高くなる傾向にあります。
いずれにしてもリピーター比率が高い施設では直接予約での利用が多くなっており、1度施設を利用した顧客から次回の予約を獲得できるよう、何らかの形でつながりを持つことが大切です。
リピート比率が高い宿泊施設の事例
リピーター獲得のためにどのような施策に取り組むべきかわからずに、対策に苦慮している宿泊施設は少なくありません。
そのような場合には、リピーター比率が高い宿泊施設の事例から共通点や特徴を見出すことも有効な方法です。
以下では、リピーター比率が高い宿泊施設について、実例を挙げて解説します。
1. 星野リゾート:顧客のニーズを最優先に
代表の星野氏は星野リゾートの経営方針について、利益と顧客満足度の両立を重視していると語っており、顧客アンケートによるニーズ把握や一人ひとりの顧客に合わせたおもてなし提供には特に力を入れています。
また、その他にもいくつもの革命的な取り組みを導入しており、客室に時計やテレビを置かず「時間にとらわれないひととき」を提供したことや、旅館でありながら食事なしのプランを用意して「泊食分離」の料金体系を設けたことは、星野氏が起こした宿泊革命の1つです。
世界的な不況であった2009年にも星野氏が運営する14の宿泊施設のうち、13施設は増益を実現するなど、たしかな結果を残しており、星野氏が示した経営方針は星野リゾートにとっての最適解であったと言えるでしょう。
2. スーパーホテル:おもてなしとITの両立
健康的な朝食の無償提供、防音設備による静音化、天然温泉など、各所に快適な環境を整えるための工夫を凝らしており、顧客満足度の高さにつなげています。さらに、おもてなしとITの両立を目指しており、顧客ニーズに応じたサービスの提供によって充実したホスピタリティとコストカットを可能にしています。
スーパーホテルのコンセプトは「ぐっすり寝てしっかり休んでいただいて、翌日の商談を成功させることに集中できるホテルをつくる」ことであると掲げており、コンセプトに基づいたビジネスモデルを設けています。
その他にも、従来ホテル業界では利益が見込めないとされていた業務委託型のホテル運営によって地方展開を可能にしています。
宿泊施設のリピーターを増やす方法
星野リゾートやスーパーホテルでは、業界の常識を打ち壊すことにより革新的なビジネスモデルと経営方針を確立していますが、全ての宿泊施設がこの方法で成功を得られるわけではありません。
無理に新たなビジネスモデルを生み出す必要はなく、盗める部分を盗むことが大切です。
以下では、宿泊施設におけるリピーター獲得のための施策について解説します。
1. 顧客を選ぶ
星野リゾートはそれぞれの施設ごとにコンセプトやターゲットを細かく設定しています。
前述のスーパーホテルの例からもわかる通り、ターゲットの設定を綿密に行うことは、顧客ニーズに対応する上で非常に効果的です。
性別や年代、施設を利用するシチュエーションを設定することで、より細やかなニーズ把握が可能となります。
細やかなニーズ把握は充実したサービス、おもてなしにつながる部分であり、顧客目線からはまさに自分にぴったりの宿泊施設であると感じられることでしょう。
2. 顧客満足度の向上
リピーターを獲得する上で重要な要素の1つが顧客満足度の向上です。
当然ながら顧客満足度の低い宿泊施設にはリピーターがつくことはありません。
顧客満足度を高めるためには、顧客の求めるサービスについて的確に把握することが必要不可欠です。
顧客ニーズを的確に把握する上では、宿泊客に対するアンケートの実施も効果的ですが、直接宿泊客と接するスタッフがニーズを引き出すことも有効な手段です。
宿泊客の生の声をどこまで宿泊施設のサービスに反映できるかがリピーター獲得の可否につながると言っても過言ではありません。
3. 顧客とつながり続ける
ホテルや旅館などの宿泊施設の特徴として顧客1人あたりの利用頻度が低いということが挙げられます。
そのため、顧客とのつながりを絶やさないよう努めることは利用頻度の高い他業種以上に大切であると言えるでしょう。
つながりを持ち続けるための手段としてはメールやDMなどがあります。
誕生月に利用可能なクーポンやキャンペーンなどのお得な情報を配信することで、登録を促せるでしょう。
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「また行きたい!」と思わせる施設運営
リピーターを獲得するためにはさまざまな対策や手法がありますが、何よりも大切なことは宿泊客に「また行きたい!」と感じさせるような施設を目指すことです。
徹底的なニーズ把握に努め、細やかなサービスやおもてなしによって顧客の理想を反映させることでリピートしてもらえる比率を高められるでしょう。
また、リピーターが直接予約できるような環境を整えることも大切です。
メールやDMに予約ページへのリンクやQRコードを掲載することで、宿泊客がスムーズに直接予約へと進められます。
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<参考>
公益社団法人日本交通公社:JTBF 観光経済レポート Vol.15(2007.6) Quarterly Survey
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