2023年12月13日より改正旅館業法が施行されます。
今回、改正旅館業法では、宿泊拒否事由の明確化や追加がなされました。例えば宿泊しようとしている者が特定感染症に罹患している場合や、迷惑行為を繰り返している場合等に宿泊を拒否することができます。
主に宿泊業の事業者の方々は、改正旅館業法施行で何が変わるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、改正旅館業法成立の経緯と詳細について、旅館業法の改正に尽力された衆議院議員 武井 俊輔氏に取材。厚生労働省の指針と具体的な事例については、弁護士の白井 佑氏(LM総合法律事務所)にも監修いただきながら解説していきます。
旅館業法改正の経緯は
旅館業法第5条は「営業者は、(左の各号の一に該当する場合を除いては)宿泊を拒んではならない」と定め、ホテルや旅館は原則として宿泊拒否ができないことになっています。
しかし、コロナ禍で正当な理由なく感染対策に応じない客が出てきたことなどを背景に議論が進み、2023年6月に成立したのが改正旅館業法です。
武井氏:「宿泊業においては『おもてなし』の考え方のもと、安価で良質なサービスが提供されてきました。それ自体はよいことでもありますが、事業者と宿泊客とがどういった関係であるべきなのか、論理的に分析がされてこなかったのも事実です。旅館業法も1948年成立と古い法律で、現代の実態に即していない部分も多々ありました」
武井氏:「いわゆる『迷惑客』を施設側が拒否できないのは不条理だと考え、サービスを提供する側と享受する側が『フラットな関係』となるよう努めた結果、今回の改正法の成立に至りました」
新たに法規制の対象となるのは
先述した通り、改正旅館業法では宿泊拒否事由が見直されています。
まず、既存の宿泊拒否事由の1つである「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」が「特定感染症の患者等であるとき」と明確化されました。
また、「カスタマーハラスメント」に当たる特定の要求を行う者の宿泊を拒否できるよう、新しい宿泊拒否事由として「その実施に伴う負担が過重であつて他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき」が追加されました。(※具体例は次節で解説します)
武井氏:「規制の対象は、社会通念上ありえないと考えられるものです。例えば土下座など『常識から逸脱する形』で謝罪を要求するものや、過剰なサービスを提供させようとするものなどを想定しております。
なお、障害者の宿泊拒否など『差別につながる』との懸念の声もあったことから、『障害があることを理由に宿泊を拒否できない』ことを明記しています」
厚生労働省の指針案は
厚生労働省は、12月13日の改正旅館業法施行に向け、10月10日の検討会で「旅館業の施設において特定感染症の感染防止に必要な協力の求めを行う場合の留意事項並びに宿泊拒否制限及び差別防止に関する指針(案)」(以下「指針案」)を示しています。
指針案は、新たな宿泊拒否事由(その実施に伴う負担が過重であつて他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき)について、どのような行為が該当するのか説明し、具体例も挙げています。
たとえば、
- 宿泊料の不当な割引や不当な慰謝料、不当な部屋のアップグレード、不当なレイトチェックアウト、不当なアーリーチェックイン、契約にない送迎等、他の宿泊者に対するサービスと比較して過剰なサービスを行うよう繰り返し求める行為
- 土下座等の社会的相当性を欠く方法による謝罪を繰り返し求める行為
- 対面や電話、メール等により、長時間にわたって、又は叱責しながら、不当な要求を繰り返し行う行為
等が記載されています。
その他にも、宿泊拒否における留意事項や差別防止徹底に関する事項等が示されています。
今後の課題は
今後に向けては、宿泊客への改正旅館業法の周知が課題となると、武井氏は話します。
武井氏:「今後の課題として、まずは宿泊客の方々への周知をしていく。施設側では掲示物などで告知する方法がある他、『これ以上言うのであれば宿泊を拒否せざるを得なくなります』といった警告も抑止力となります。
今後、現場で運用していく中でさらなる課題も見えてくると思われます。法改正の趣旨をご理解いただき、気持ちよく施設を利用してもらえるよう、お互いが協力できるようになればと考えております」
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