緊急事態宣言の解除や6月19日から県をまたぐ移動制限の解除により、宿泊業界では営業の再開を検討している施設およびすでに再開している施設があります。
新型コロナウィルスの感染拡大防止のために旅館では、消毒や従業員の体調管理、3密を回避するために宿泊客の適切な管理が求められます。
本記事では、旅館が実施すべき感染拡大防止をするうえでの消毒方法や、具体的な宿泊客の管理方法、及びコロナ影響下で全国の旅館が実施している取り組みについて解説します。
「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン」の発表
新形コロナウィルスの影響による緊急事態宣言の実施、休業要請などによって多くの旅館が厳しい経営状況にあります。
帝国データバンクの調査によると、新型コロナウィルス関連倒産数は6月22日時点において全国で276件となっています。
一方で社会経済活動の再開が進められ、多くの旅館が営業を再開しています。Withコロナ時代で安全に宿泊施設を利用してもらえるように、ガイドラインが作成されました。
ガイドラインの概要
2020年5月14日に「宿泊施設における新形コロナウィルス対抗ガイドライン(第1版)」が発表され、5月21日には改訂版も出されています。
宿泊業界団体である「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会」と「日本旅館協会」、「全日本シティホテル連盟」が観光庁、新型コロナウィルスの予防に関わる専門家からの助言を基に作成した対処指針になります。
具体的な内容として、従員と宿泊客および宿泊客同士の接触を可能な限り避け、最低1mの距離を空けることやマスクの着用、施設の換気、定期消毒、従業員の健康チェックを徹底する旨の内容が記載されています。
また、ガイドラインはエレベーターや大浴場、入館時や送迎時、チェックイン・アウト時など、エリアや状況別に規定されている他、集団感染の恐れが高い宴会や会食などの食事関係施設では、特に細かく項目が設けられています。
宿泊施設の消毒に関して細かく記載
「宿泊施設における新形コロナウィルス対抗ガイドライン」では、施設内の定期的な消毒を前提に、場所に応じて消毒すべきところを細かく記載されています。
人の出入りが頻繁に行われる入口や共有スペースでは、手指の消毒設備の設置(アルコール等)が推奨されています。
また、複数の人の手が触れる場所では特に注意して消毒する必要があります。ガイドラインでは、施設内の下記の部分の消毒を徹底することが推奨されています。
- フロントデスク
- 筆記等備品
- 返却されたルームキー・キーカーなど
- ドアノブ
- エレベーター内の押しボタン
- 内用スリッパ
客室清掃の際も、消毒剤(洗浄剤・漂白剤等)を利用することや、ものに応じて使い捨ての用意をすることも必要となります。
そのほか、入館のタイミングなどで宿泊客への定期的な手洗い・消毒の要請も必要とされます。
旅館が取り組んでいる消毒例
人々が観光や旅行を自粛する中、各旅館は徐々に営業が再開され、コロナウィルス感染防止に努めながら対策を講じています。
感染防止を徹底するため、消毒に最新技術を搭載している旅館も見られます。
最新技術を用いた消毒
創業1806年という長い歴史を持つ、熱海の温泉旅館である、古谷旅館では最新技術を搭載した消毒器を利用して感染対策に努めています。
全客室には24時間稼働できる深紫外線空間殺菌装置(エアロピュア)を設置しています。この機会はメーカーからもコロナウイルスに有効とされており、常に清掃ができない客室全体の消毒を行えます。
また、清掃時には高濃度オゾンにより15分間の燻蒸を実施し、ドアノブ、トイレ、電話、デスクといった多くの手が触れる重点箇所には、UV-C消毒を実施します。
これは、人体に有害な強い紫外線を当てることでウイルスの不活性化に効果があるとされています。すべての作業を終えた後には、客室内に消毒証明書を残すことで宿泊客が安心できる環境を提供します。
客室以外にも、脱衣所や個室宴会場にも空気清浄機能付きオゾン発生器を天井に設置し、全体を消毒します。消毒の最新機種を使うことで、より広範囲で徹底的に行うことができます。
独自の消毒プログラムを導入
長野県に3店舗の旅館を経営する合資会社親湯温泉は、ガイドラインを基準に独自の消毒プログラムを導入し、6月1日から営業を再開しました。
親湯温泉は独自の衛生対策として「施設の衛生管理」「人からの感染防止」「衛生管理トレーニング」の3つに焦点を当て、32にわたる項目が用意されています。
中でも「施設の衛生管理」として、オゾン殺菌機を使った殺菌、次亜塩素酸水を入れた加湿器・噴射機の設置による消毒を行っていることが特徴的です。
消毒時に使用される薬剤は、専門家を通して人体への影響が考慮し、安全なものが利用されています。
そのほか、「人からの感染防止」のために、従業員のフェイスシールドやマスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保の徹底、「衛生管理トレーニング」では、手洗い・消毒に関する講習、外部による衛生講習など全面的な衛生対策を行っています。
旅館の営業で注意するべきポイント
緊急事態宣言が解除され、県をまたぐ移動が可能となり今後国内旅行需要の回復が見込まれています。
しかし、感染拡大を防ぐために旅館では様々な対策を講じる必要があります。
上述した「宿泊施設における新型コロナウィルス対応ガイドライン」に基づいて、旅館の営業再開時に気をつけるポイントを紹介します。
基本的なコロナ対策
従業員と宿泊客および宿泊客の対人距離の目安を2m(最低1m)保つようにします。
そのうえで、3密防止のためにチェックイン・アウト時には宿泊客のスムーズな手続きが必要です。
感染拡大防止のためには、従業員および宿泊客へのマスク着用の周知や、宿泊施設の入口における消毒設備の設置も重要になります。
コップや箸など複数の人が使うことになる道具は適切な洗浄および使い捨てのもので代用するなどの対策を講じる必要が生じます。
また、ルームキーやキーカードは使用後に消毒を徹底して、次に使用する宿泊客、従業員への感染拡大を防止するようにします。
共同エリアでのコロナ対策
入館時には入口およびロビーに設置の消毒設備にて、宿泊客の手指を消毒するように促します。
チェックイン・アウト時には密を避けるように宿泊客同士の間隔を空けるようにします。
最低1mの間隔を空けても密になるようなら、客室でのチェックインを検討するといった対策も必要です 。
従業員と宿泊客の接触を防ぐためにビニールなどの遮蔽物を用いたり、スマートホンを用いたチェックインの導入、客室や風呂、共用トイレにおいては宿泊客および従業員がいつでも手指や備品を消毒できるようにアルコール類の設置が求められます。
旅館宿泊によってはお客様を送迎する場合もありますが、送迎時も密を避けるように乗車人数を制限しての送迎が欠かせません。
営業再開に向けての確認
旅館などの宿泊施設を長期間使用しなかった場合は普段目を配らない設備、具体的にはエアコン、換気口などを確認し、カビやホコリを除去することが重要です。
同様に、カビが発生している可能性がある寝具や水回りの確認も必要です。
シャワーは錆が生じている場合があるので、清潔な水が使用できるかをチェックします。
長期間の休館後は、照明器具が正常に点灯するかの確認も実施する必要があります。
また、施設従業員は今後の勤務体制への不安などでストレスを抱えている可能性も考えられるため、従業員への配慮あるケアも重要でしょう。
宿泊先滞在には安全・安心が求められる
緊急事態宣言が解除され県境を超えての移動も解除されました。今後は国内旅行需要の回復が見込まれるため、感染予防対策を行いながら安心・安全に施設を利用してもらう施策が重要となります。
そのためには、ガイドラインを守り3密の回避、スタッフの健康管理、消毒や衛生管理などの徹底が今まで以上に重要となります。
また事例で紹介したように最新技術を利用した消毒機械の導入も、顧客に安心して施設を利用してもらえるPRとなります。
上記のような取り組みが従業員と顧客の安全を守り、事業の継続に不可欠な要素となるでしょう。
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