食べログ訴訟、異例のアルゴリズム開示/アルゴリズムが公開されない理由は?

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グルメサイト食べログ」での評価を不当に下げられたとして、焼き肉チェーン店を運営する「韓流村(はんりゅうむら)」が食べログを運営する「カカクコム」に損害賠償を求め訴訟を起こしました。

今回の訴訟で注目すべき点は、食べログ側が評価の「アルゴリズム」の概要を店側に開示したことです。

これまで不正行為の防止などの観点から、アルゴリズムが開示されることはほとんどありませんでしたが、今回は「評価方法が不透明だ」とする店側の声に主張に応える形となりました。

本記事では、訴訟の概要と、グルメサイトの「評価の透明化」をめぐる社会の動きについて確認します。


焼肉チェーン「韓流村」が食べログに対して起こした訴訟の概要

はじめに、毎日新聞の報道をもとに、訴訟の概要について確認します。

2019年5月、「韓流村(はんりゅうむら)」が運営する焼き肉チェーン店全21店舗のうち19店舗食べログ評価点が下がりました。平均点も3.24点から3.09点に落ち、その影響から食べログ経由での来客数が月5,000人以上落ち込んだそうです。

店側は、チェーン店の評価が一律で下がるように食べログアルゴリズムを不当に変更したとし、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」(企業が強い立場を利用して取引相手に不利益を与える行為)に当たると主張、約6億4,000万円の賠償を求めて2020年5月、東京地裁に提訴しました。

それに対し食べログは、アルゴリズムの変更は認めたものの、店に点数を付ける行為はそもそも独禁法が規制の対象とする「取引」には当たらないと反論し、その内容の詳細は答えませんでした。

しかし公取委が「点数を付ける行為は取引に関連している」と原告側に沿った見解を示したことを受け、食べログ側は12月、アルゴリズムの概要などを原告のみに開示しました。第三者の閲覧については「営業秘密に当たる」として制限を地裁に申し立て、認められたためです。

<参照>
毎日新聞:食べログ、裁判でアルゴリズム「異例」の開示 評価透明化なるか

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食べログのアルゴリズムが公開されていない理由

今回の訴訟で評価アルゴリズムを開示したことは非常に珍しいケースで、基本的に食べログアルゴリズムを公開しない姿勢を貫いています。

では、それはなぜなのでしょうか。

その理由として考えられる要素の1つとして、不正防止が考えられます。

アルゴリズムを公開すれば、その計算式に則ってレビューを不正に投稿したり、結果として意図的に評価を変動させたりすることが可能になってしまうかもしれません。グルメサイトとしての信頼性、公平性を担保するためにも、こうした事態は避けるべきでしょう。

また、地裁に申し立てた「営業秘密に当たる」との理由から考えて、グルメサイト食べログ以外にも多く存在しているため、競合他社にアルゴリズムを知られると営業に問題が生じる可能性があるというのも理由の一つでしょう。

▲食べログのアルゴリズムが公開されていない理由:編集部作成

食べログの評価が「怪しい」のは、悪質業者のせい?

以前から食べログ評価については、「『年会費を払わないと評価が上がらない』と食べログから言われた」という疑惑の声が上がっていました。

このようなシステムを、食べログが本当に採用していたのだとすればアウトです。しかし悪質業者が「食べログ」を名乗り、「報酬を払えば点数を上げられる」との営業を行っていた可能性もあるそうで、「年会費を払わないと評価が上がらないと言われた」というのは、食べログ以外の業者によるものではないかとの指摘もあります。

むしろ食べログも、悪質業者によってその評価を下げられた「被害者」なのかもしれません。

※参考
Yahoo!ニュース:3.8点問題と公正取引委員会の調査でも「食べログ」を批判するのが間違っている理由

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口コミ評価のアルゴリズムはどのようにあるべきか?

こうした現状を踏まえて、理想的な口コミ評価アルゴリズムとはどのようなものでしょうか。

必要な要素は3つあると思われます。

1. 公正な評価を可能にするアルゴリズム

1つ目は、完全にフリーの加重平均で計算されるアルゴリズムです。店舗の規模や形態によって有利不利が生じてしまう評価方法では、公平な評価は不可能となり、サイトの信頼性は下がってしまいます。どのような店舗でも、フラットに評価できるアルゴリズムが必要です。

2. 来店者以外は評価できない仕組み

2つ目は、来店者以外は評価できない仕組みです。誰でも投稿できる口コミサイトでは、実際に店舗を訪れていない人でも店舗に対する意見を発信することが可能です。そのためこの機能は、特定の店舗に嫌がらせや攻撃をする目的で、低評価の口コミを投稿するなど、悪用される危険性があります。来店者のみが評価できるようなシステムであれば、このような事態は避けることができるでしょう。

3. 規約に違反する評価を削除できるシステム

3つ目は、規約に違反する評価を削除できるシステムです。口コミサイトに寄せられる低評価の中には、サイトの利用規約に違反する悪質な口コミがある場合があります。しかし、こうした口コミを適切な形で削除できる仕組みがあれば、店舗は集客の面で悪影響を受けることはありません。

理想的な口コミ評価のアルゴリズム
▲理想的な口コミ評価のアルゴリズム:編集部作成

現時点で、このシステムに最も近いのはGoogleマップです。Googleは、IPアドレスや位置情報などのデータを用いてどのアカウントから口コミが投稿されたのかを特定する技術を持っており、「やらせ」投稿などガイドラインに違反すると判断された口コミは削除され、Googleビジネスプロフィールも停止されます。

それでも度々Googleマップ上で「炎上」が起こるのですから、口コミプラットフォームにおける公正な評価を保つというのは非常に難しいことがわかります。

悪質なレビューから店舗を守るには

グルメサイトの点数は店舗の売り上げに大きく影響することから、公正取引委員会も運用の透明化を求めています。グルメサイトも今後は評価の透明化を強いられる可能性があるでしょう。

そのような中で、不正に評価を操作しようとする悪質な口コミから店舗を守るには、口コミに対する十分な対策が必要になります。口コミサイト等を通して集まった評価や口コミに向き合い、管理し、不適切な口コミについてはプラットフォーム側に報告しましょう。

さらに一歩進んだ対策として、高評価な口コミを多く集める取り組みがおすすめです。低評価口コミが一つあったとしても、高評価で信頼できる口コミが多ければ、低評価による影響は薄まるはずです。

高評価な口コミを集めるためには、口コミの内容に真摯に向き合ってサービスの改善を行い、よりよい顧客体験を提供します。そうしてサービスに満足してもらう素地を整えると同時に、口コミを投稿してもらえるような仕掛け(QRコードPOPの設置、スタッフからの声かけなど)を作ることで、良質な口コミが集められます。

悪質レビューから店舗を守るために、悪質レビューが入ってから対策するだけではなく、普段から評価の高い口コミを多く集めることで、一部の低評価では崩れないような信頼性を勝ち取りましょう。

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口コミラボ編集部

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