新型コロナウイルスの流行に伴い、多くの飲食店では客足が激減し、休業を余儀なくされているケースも少なくありません。今後、客足が戻り営業を再開したとしても、飲食店がデマや誹謗中傷などによる風評被害を受ける可能性は否定できず、万が一に備えた対策の把握が必要です。
今回は、実際に発生したコロナの風評被害例を紹介し、現在できる対応策について解説していきます。
飲食店の風評被害
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、すでに国内の飲食店ではデマによる風評被害や感染者が出た事業所への誹謗中傷が広がっています。今回は、福井県の飲食店における例を紹介し、風評被害の実態について解説していきます。
福井県の飲食店の例
感染拡大が続く福井県内の飲食店やその事業所では、デマによる風評被害や感染者に対する誹謗中傷が発生しており、当事者は「はらわたが煮えくりかえる思い」「営業再開の足かせになる」といったやり切れない思いを抱えています。
福井市文京5丁目の「鮨十兵衛」において、店の家族が感染しているという、事実と異なる相関図がインターネット上で拡散されました。このようなデマが流れたことにより、「なぜ営業を続けるのか」といった電話や無言電話が1日に3、4回寄せられ、店の写真を撮る人も現れたとしています。
同店舗は、外出自粛に伴い4月のみで70~80組がキャンセルとなったことから、現在は営業を自粛中です。店主は「誰かが軽い気持ちでネットに上げたのかもしれないが、被害があまりにもひどすぎる」と憤りの声を上げています。
お店だけでなく従業員にも
福井県内のある企業では、感染した男性役員に対し「コロナやろ」などの誹謗中傷を含む問い合わせが殺到し、ホームページから社員の顔が分かる写真を削除しました。
現在、自宅待機をしている男性社員は「ばい菌のような扱いを受けている」と怒りの声を上げています。男性はいつ自分が発症するのかを不安に思い、体温を測るのが怖いとしつつ「(社員は)みんな苦しい思いをしている。中傷や風評被害が少しでも減ってほしい」と述べました。
風評被害がでる原因
感染拡大による飲食店の風評被害が発生する原因として、外出自粛の影響や日本社会ならではの特徴などが考えられます。風評被害がでる原因として考えられる2つの背景について、詳しく解説していきます。
SNS利用時間の増加
アライドアーキテクツ株式会社は、約4,100名のSNSユーザーに「新型コロナウイルス感染症拡大に伴うSNS利用実態調査」を実施しました。調査結果によると、全体の63.7%が「普段と変わらない」と回答した一方で、「すごく増えた」または「増えた」と回答した割合も34.5%となりました。
感染拡大以降に最も利用頻度が増えたSNSについて、全体の46%がTwitterと回答しました。Twitterの使用目的は、73%が新型コロナウイルスに関する情報収集としています。Twitterはリツイート機能により、フォロワーだけでなく不特定多数の人に情報を発信する拡散力が特徴のSNSです。
外出自粛などによるライフスタイルの変化や感染への不安などから、情報量の多いTwitterを利用しより多くのユーザーがコロナ関連の情報を収集していると考えられます。Twitterは拡散力の強さが特徴であり、デマも拡散されやすい状況となっているといえます。
日本のメディアリテラシー
日本ではメディアリテラシー教育があまり実践されておらず、メディアが発信した情報をそのまま鵜呑みにする傾向があります。
「結論を即決しない」「事実と意見を混同させて鵜呑みにしない」「1つの見方に偏らない」「スポットライトの中だけを見ない」といったメディアリテラシーの基本に対する意識が十分でないため、デマを安易に信じて拡散を進めてしまうケースが相次いでいると考えられます。
背景として、インターネット時代になり誰もが情報発信できるようになった一方で、学校教育でこのようなメディアリテラシーの基本を教える機会は少なかったことが挙げられます。メディアリテラシーの欠如は、デマの拡散による風評被害の拡大に影響を及ぼしているといえるでしょう。
現状できる対策
外出自粛に伴うSNS利用時間の増加やメディアリテラシーの欠如から、デマや誹謗中傷などの情報が拡散されやすい現状は否定できません。こうした状況をふまえ、万が一風評被害を受けた際にできる対策を3つ紹介します。
方法1:弁護士に依頼してネガティブな投稿を削除する方法
根拠のない誹謗中傷に関する投稿が名誉毀損に当たる場合は、法的措置を講じることで、弁護士から削除請求ができます。
まずは、誹謗中傷が掲載されたWebサイトのサーバー管理者を特定し、投稿のスクリーンショットなどの証拠を保全します。弁護士宛の委任状などの資料を準備し、削除依頼の内容証明郵便をサーバー管理者に送付することで、削除要請が完了します。提示した期限までに削除しない場合は、サーバー管理者にも賠償請求する旨を明記しておくことも大切です。
投稿自体を完全削除することで根本的な解決ができるほか、10日程度で削除できることも多く、迅速に対処が可能です。また、費用は一回きりのため、継続的に費用が発生することはありません。
一方で、名誉毀損に該当しないとして削除が認められないケースもあるため、弁護士に依頼する際は事前に相談することが必要です。
方法2:風評被害対策業者による逆SEО対策
飲食店や事業所の名前で検索した際に、ネガティブな投稿より上位に表示される別のサイトを作成することで、相対的にネガティブな投稿の検索順位を下げるといった対策です。
具体的な方法としては、新しいWebサイトを立ち上げる・他社のWebサイトに掲載してもらう・FacebookやTwitterなどのSNSにプロフィールページを作る方法などが挙げられます。
ネガティブな投稿の検索順位を下げることで、投稿自体を目立たなくすることができる点が大きなメリットです。一方で、投稿自体が消えるわけではなく、検索ワードによっては消費者の目に留まりSNSなどで拡散される可能性もあります。
また、毎月継続的な費用が発生することも懸念点の1つです。対策業者によっては施策内容が不明確なこともあり、事前に費用の総額がわかりづらいケースもあるので注意しましょう。
方法3:自社で良い口コミを集めることでネガティブな投稿を目立たなくする方法
自社を評価する口コミをウェブ上に掲載することで、ネガティブな投稿を相対的に目立たなくさせることが可能です。また、ネガティブな評価に対し改善したことを自社サイトなどでPRする方法も効果が期待されます。真摯に改善に取り組む姿勢をPRすることで、自社のイメージアップを図ることが可能です。
過去のネガティブな投稿を削除することはできなく時間もかかるため、誹謗中傷に対する即効性のある対策を講じたい場合には他の方法で取り組む必要があるでしょう。ただし、自社サービスを見つめ直し改善する機会にもつながりやすいため、長期的な対策としては有効といえます。
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情報への注意と対応策の把握
外出自粛や感染への不安から、TwitterなどのSNSを中心にコロナ関連の情報収集が活発化するなか、引き続きデマの拡散による風評被害には注意が必要です。デマや誹謗中傷などのネガティブな投稿は、一度掲載されると別のサイトにも転載されるなど、次々と拡散が進む恐れがあります。
時間が経てば経つほど対策が困難になるため、風評被害対策は迅速な対応が重要です。事前に対応策を把握し、ネガティブな投稿がされていないかを常にチェックするよう心がけ、万が一の際には速やかに対処しましょう。
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