日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、外食産業の8月度売上状況は、前年同月比8.6%減となりました(日本フードサービス協会:データからみる外食産業)。
8月は新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大と緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による営業時間の短縮や酒類提供禁止などの制限が影響していたと考えられます。
本来はお盆休み等かき入れ時、大雨の影響も
編集部では外食産業市場動向調査のデータをもとに、2020年8月〜2021年8月の業態別売上高をグラフにまとめました。
新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大と特措法による緊急事態宣言の発令による制限に加え、今年の8月は日本各地で大雨にも見舞われました。
通常、8月はお盆休みなどによって外食利用が増加すると見込まれますが、今年は外出を控える要因が重なりました。
新型コロナウイルス感染症の流行に加えて台風や前線の停滞による大雨の影響があり、昨年8月よりも外食産業全体の売上が減少したと考えられます。
パブ・居酒屋は深刻、レストラン・喫茶業態でも減少
以下の表は、売上高の前年同月比(2020年8月との比較)と前々年比(2020年8月との比較)を、全体と業態別に示したものです。
売上高前年比 [単位:%] (2020年8月との比較) |
売上高前々年比 [単位:%] (2019年8月との比較) |
|
全体 |
91.4% | 75.6% |
ファーストフード | 101.0% | 97.7% |
ファミリーレストラン | 79.4% |
59.2% |
パブレストラン/居酒屋 | 31.2% | 11.2% |
ディナーレストラン | 75.5% | 50.2% |
喫茶 | 91.5% | 61.9% |
その他 | 92.6% | 60.3% |
パブ・居酒屋業態の全体の売上は、前年比68.8%減、一昨年比では88.8%減という低水準となりました。パブ・ビアホールの売上は73.6%減(一昨年比90.7%減)、居酒屋は67.0%減(一昨年比88.1%減)でした。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域での酒類提供禁止や営業制限短縮要請を受け、売上の主要を占める酒類が提供できないために休業せざるを得ない店が増えたことが要因となっています。
また、ディナーレストラン業態は、夜間営業の制限や法人需要の低迷により、都市部が大きな影響を受け、売上は24.5%減(一昨年比では49.8%減)となっています。
ファミリーレストラン業態は、新たな販路としてテイクアウト・デリバリーに注力していますが、売上は20.6%減(一昨年比では40.8%減)でした。
食事の種類別では、洋風は、売上19.0%減(一昨年比43.4%減)、和風は24.7%減(一昨年比46.4%減)。中華は、売上12.9%減(一昨年比20.1%減)。焼肉も、緊急事態宣言の対象地域では休業店が増え、売上26.6%減(一昨年比38.2%減)となりました。時短営業や酒類提供制限が続く中で本来の営業ができず、パブ・居酒屋業態同様に売上は減少しています。
喫茶業態は、時短営業地域の拡大と相次ぐ雨天の影響で売上は8.5%減でした。郊外やショッピングセンター立地の店舗は比較的少ない減少幅である一方、在宅勤務の定着化で都市部店舗は苦しい状況で、コロナの影響を受けています。
ファーストフード業態は増加、テイクアウト・デリバリー需要が影響
ファーストフード業態は、洋風と持ち帰り米飯/回転寿司がけん引し全体の売上は1.0%増と、他業態とは反対に増加しました。
洋風は、テイクアウト、ドライブスルー、デリバリーの需要増大で売上6.0%増で、和風は、オリンピック、パラリンピックに合わせたテイクアウトキャンペーンなどにより売上は0.1%減に踏みとどまり、大きな減少は見られませんでした。
また、持ち帰り米飯・回転寿司は、回転寿司の持ち帰り需要が堅く売上は1.1%増加しました。
一方、麺類は、売上11.6%減、アイスクリームが、お盆の時期に九州、西日本で続いた大雨が響き、売上8.2%減となり、軽食でもイートインが利用されるような分類では減少しています。
外食産業全体では売上減少だったものの、ファーストフード業態では売上増加が見られました。
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