ターゲティングとは、商品を販売する顧客層を限定してターゲットを絞り込むことです。収益化につながる具体的な顧客層が設定できれば、競争が激しい飲食や小売業界でも自社商品・サービスの強みを活かせる戦略を立てられます。
今回はターゲティングの概要、ターゲット設定に必要なフレームワークやターゲティングを効率的に行う方法を解説します。また成功事例をもとにターゲット設定の視点を確認しましょう。
ターゲティングとは?
ターゲティングとは、顧客を年齢や職業、生活スタイルなどに細分化して絞り込み、マーケティング活動を行う市場を決めることです。単に顧客を絞り込むだけではなく、ターゲット層向けに商品のアプローチ方法を効率化することが大切です。また、ターゲティングは、マーケティング戦略の代表的なSTP分析法のステップとしても取り入れられています。企業側と顧客双方のメリットを最大化して、効果的なマーケティングをするために必要不可欠なものです。
ターゲティングの重要性
ターゲティングは、営業、集客、広告、販売促進などマーケティングを展開する際の起点となります。現代は市場の成熟化・IT化の発展により多様な商品・サービスが流通しています。他社との差別化を図り、自社商品・サービスの業績向上へつなげるにはターゲティングは重要です。
ターゲティングによって次の効果が得られます。
- 自社商品・サービスの強みを活かせるターゲットを設定できる
- ターゲティングした対象に最適な広告・コンテンツ作成ができる
- 事業展開後の結果分析・改善への糸口をつかめる
このように、自社商品・サービスに興味をもっている対象を絞り込むことで、マーケティング活動を効率化できます。またターゲティングを行えば結果の分析もしやすいため、事後の改善をスムーズに行えます。
つまり、ターゲティングはマーケティングを展開する際の起点であり、自社が発展するための基軸となるのです。
ターゲティングはSTP分析の要素
ターゲティングはSTP分析の主要素です。STP分析とはマーケティング戦略の1つで、企業や個人事業主が事業成功に向け競合に勝つためにアプローチする方法です。STPの要素は3つあります。基本的な流れとして、次の順番で取り組みます。
- セグメンテーション(Segmentation)
- ターゲティング(Targeting)
- ポジショニング(Positioning)
最初のセグメンテーションとは市場の細分化です。つまり顧客が住む地域・年齢や職業・ライフスタイル・趣向など特定の属性に基づき分類することをさします。
そして次にターゲティングです。セグメンテーションによって分類された顧客属性のうち、自社の強みを活かせるターゲットを絞り込みます。
最後にポジショニングで、絞り込んだターゲットで本当に競合に勝てるのかどうかや自社の立ち位置を座標軸をもとに確かめます。
しかしSTP分析の順番はS→T→Pという流れのみとは限りません。
P→Tに戻る場合もあります。ポジショニングで自社の強みや競合との違いを整理した結果「もう少しターゲットを絞り込むか変更した方がいい」となるケースです。T↔P をくり返したりSに戻ることでSTP分析の質を上げ、より有効な収益化につながります。
ターゲティングは、セグメンテーションとポジショニングの間にあるからこそ成長戦略に欠かせない存在といえます。
ターゲットの設定方法:基本となるフレームワーク
ターゲットを設定する場合には代表的な6つのフレームワーク「6R」が使われます。6Rは、セグメンテーションで分類した顧客属性からターゲットを設定するための次の6つの評価指標です。- 規模の有効性(Realistic)
- 成長性(Rate Of Groth)
- 競合状況(Rival)
- 優先順位(Rank)
- 到達可能性(Reach)
- 測定可能性(Response)
1. 規模の有効性(Realistic)
規模の有効性(Realistic)では、業績向上を見込める市場規模であるか判断します。規模が大きければ競合も多くなりますが、ターゲットを絞り込めば市場価値は高くなります。事業が成り立つのに十分な市場の大きさであることは重要です。2. 成長性(Rate Of Groth)
成長性(Rate Of Groth)では、成長の見込みがある市場かどうか評価します。分析を行った時点では市場が大きくても今後衰退していくことも考えられます。反対に、今は目に見えなくても今後の成長が望める市場かも加味します。3. 競合状況(Rival)
競合状況(Rival)では、商品やサービスのシェアや強さが市場でどの程度か見極めます。競合が未参入の市場か、あるいは競合がいても勝てるのか確かめます。4. 優先順位(Rank)
優先順位(Rank)では、自社の強みを活かせてかつ成長に直結する顧客層を設定します。ターゲット層の関心度が高い商品であればSNS等で拡散される可能性が高く、ターゲット層により届きやすくなります。例えばインフルエンサー的な顧客層があるなら、最重要ターゲットとしマーケティングを仕掛けることも1つの手です。5. 到達可能性(Reach)
到達可能性(Reach)では、商品やサービスが確実に届けられるか判断します。地理的理由などで商品が顧客に届かなければ意味がありません。自社商品やサービスがインターネットを通して提供できるものなのか、実店舗を持つのであれば周辺に顧客はいるのかを確認する必要があります。6. 測定可能性(Response)
測定可能性(Response)では、販売成果を分析しやすいターゲットかどうか評価します。企業の永続的な成長に欠かせない要素です。フィードバックを得られることで今後のマーケティング手法の早急な改善につながります。ターゲティングを効果的に行うポイント
基本のフレームワークを使ってターゲットを設定する際に、より効果的にターゲティングが行えるポイントを2点解説します。
「ターゲットの明確化」と「地理学的(ジオ)視点の導入」です。
ターゲットをできるだけ明確にする
ターゲットの明確化は重要事項です。収益を大きくしたいがために、できるだけ多くの顧客層を求めてしまいがちなので注意しましょう。ターゲットを広げ過ぎれば、測定しづらく、販売促進も難しくなります。ターゲットを絞り込みすぎて思ったほど収益を上げられない場合もあります。しかし測定可能(Response)であれば、分析して改善の指針を得られます。ポジショニングの段階になってターゲットの不明瞭さが分かった場合、もう一度ターゲティングに戻り設定し直しましょう。
地理学的(ジオ)視点を取り入れる
地理学的(ジオ)視点を取り入れるとは、顧客のライフスタイルが地域の特性と強く関連している点を認識するということです。地理学的(ジオ)視点はセグメンテーションでも使いますが、ターゲティングでも必要です。地理学的(ジオ)視点を取り入れる理由は戦略を具体化するためです。例えば自社商品(ファッションアイテム)を全国に展開するとします。おしゃれなビジネスパーソン(40代女性)をターゲットにした場合、出店予定地区の気候や特性は無視できないでしょう。
北海道と沖縄ではカットソー1枚の素材を変える必要があります。海岸に近い都市部か自然豊かな内陸地域か、あるいは地域の主要産業によってカラーやデザインを変える必要があるでしょう。
このように、地理学的(ジオ)の視点を取り入れることで戦略をより具体的に考えるきっかけとなり、差別化が生まれます。
ターゲティングが成功している事例
ターゲット設定の基本フレームワークと「ターゲットの明確化」「地理学的(ジオ)視点の導入」の2つの視点から成功事例を解説します。大企業の例ですが、中小企業に活かせる視点があります。ターゲティング事例その1 : ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)
ユニバーサルスタジオジャパンは、事業の途中でターゲットを変えて成功した事例です。2001年オープン時は盛況だったものの2004年には経営破綻に追い込まれていました。しかし、2015年10月に初めて東京ディズニ―ランドの来客数を超えました。立て直しに成功した理由にターゲティングの転換があります。若者や映画に対象を絞るのではなく、ファミリー層にもターゲットを広げたのです。
背景に、6Rの市場規模の有効性(Realistic)や顧客の優先順位(Rank)の見直しがあります。関東圏や海外の顧客層をターゲットに広げ、利用者が何を求めているのか徹底的に追求しました。
ターゲティング事例その2:スターバックス
スターバックスは明確なターゲット設定の良い事例です。スターバックスは初めから都市部に勤務している年収高めのビジネスパーソンをターゲットに展開していました。価格は高めだけど洗練され落ち着いた空間で飲めるため多くの支持を集めています。その中でコーヒーを飲まない(飲めない)人向けに展開したのが「フラペチーノ」。実はこれが若者や女性の心に刺さり、その後の事業を発展させるきっかけになりました。つまり明確に決めたターゲットで成功した事例でもあり、新たなターゲティングで業績アップにつながった例でもあります。
ほかに既存チェーン店との差別化や比較的にぎわっている地域での事業展開など参考にできる要素があります。6Rからいえば、市場規模の有効性(Realistic)や競合状況(Rival)などによるターゲットの設定、そして地理学的(ジオ)にもとづく視点があるといえます。
参考:スターバックスの経営戦略【ポイントは既存チェーンとの徹底的な差別化】
ターゲティングを活用して戦略的な販売を
事業を成功させるには戦略的な販売が必要ですが、そのためにはターゲティングが重要です。ターゲットを的確に見極め、ターゲット層向けに商品のアプローチ方法を効率化することで、効果的な販売につながります。ターゲティングは、マーケティングを展開する際の起点であり、自社が発展するための基軸ともなるのでまずは基本を押さえましょう。そして、自社の強みを最適な市場に送り出しましょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】