シャルパンティエ効果は、消費者心理学やマーケティング心理学で活用されている心理現象で、視覚で認知したイメージが重さの錯覚を生むというものです。
商品開発や販売促進の場面でも、潜在的なイメージや数値が錯覚を生み出していることがあります。本記事では、シャルパンティエ効果を利用したマーケティングの方法などを紹介していきます。
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シャルパンティエ効果とは
シャルパンティエ効果は視覚からの情報で重さを推測してしまう錯覚現象です。その効果はモノを直接見たときだけでなく、言葉によってそのモノをイメージしたときにも発揮されます。
視覚情報で重さを錯覚する現象
シャルパンティエ効果とは、同じ重量の物体を比較したときに、視覚的に大きく見えるものを「軽い」と、逆に小さく見えるものを「重い」と錯覚してしまう現象のことを指しています。
シャルパンティエ効果は、1891年にフランスの医師・オーグスチン・シャルパンティエが著書『Size‒weight illusion(大きさ – 重さの錯覚)』で発表されたものです。
10cmのボールと4cmのボールの2種類を用意して被験者に持ち上げさせたところ、「小さいボールのほうが重い」と答えたという実験結果が記されています。
小さいもののほうが軽いはずなのに、両方とも同じくらいの力が必要だったことから、「小さいボールは重かったのだ」と錯覚してしまったということです。
なお、対象物を直接見なくても、言葉だけでシャルパンティエ効果ははたらきます。
「10kgのレンガのブロックと、10kgの発泡スチロールのブロックではどちらが重いか?」と尋ねられたとき、同じ10kgだとわかっていてもレンガのほうが重そうだと感じるようであれば、それはシャルパンティエ効果が働いた証拠です。
マーケティングに活用するためのポイント
シャルパンティエ効果や、そこから派生した「視覚イメージによる錯覚現象」は、販売促進などのシーンで効果を発揮します。ここからは、シャルパンティエ効果を活かすためのポイントを紹介していきます。1. 人が持つイメージや先入観を使って印象を強める
シャルパンティエ効果を活用するには、文章で表現したものが頭の中でなるべく具体的に想像できると効果的です。
「東京ドーム3杯分」と「372万立方メートル」では、前者の方がイメージしやすいのではないでしょうか。これは「立方メートル」の単位よりも東京ドームの容積(空間の広さ)の方が馴染みがあり、視覚によるイメージが浮かびやすいためです。
たとえ話を出して説明しても相手がそれをイメージできなければ、シャルパンティエ効果は活かされません。
商品の栄養価などを伝えたい場合は、その栄養素を多く含む有名な食べ物や商品を比較対象として例示すると効果的です。
2. 用いる数値の桁数を考慮し、臨機応変に数値の伝え方を変える
視覚情報で重さを錯覚してしまうシャルパンティエ効果の応用として、「数字の桁数」を意識することも有効です。
たとえば「レインボーブリッジの10倍の長さ」と「ゴールデンゲートブリッジの3倍の長さ」ではどちらが長く感じるかと質問すると、多くの人が瞬間的に前者の「レインボーブリッジ」を選択すると言われています。
実際に計算してみるとレインボーブリッジの長さは798mなので、10倍で7,980mです。そしてゴールデンゲートブリッジは全長2,737mなので、3倍すると8,211mとなります。
僅差でゴールデンゲートブリッジの方が長いのですが、レインボーブリッジの「10倍」という数字からくるイメージに無意識に引っ張られたことで、瞬間的な判断に誤りが生じたと考えられます。
これを応用した例として、商品の栄養価の高さを伝えるキャッチコピーが挙げられます。栄養ドリンクの紹介で「タウリン1,000mg」といったフレーズに聞き覚えがあるのではないでしょうか。同じ容量でも、「1g」より「1,000mg」のほうが栄養価が高いという錯覚が起こることをふまえたマーケティングです。
また価格を分割して安く表現することで、ターゲットへの心理的負担を軽減し、印象を変える方法も存在します。
たとえばトレーニングジムの会費が1年間で48,000円だった場合を想定します。この金額のままユーザーに年会費を伝えると、少々高額な印象を持たれてしまう可能性がありますが、「月会費4,000円」と伝えることで、支払う金額は同じであるにもかかわらず、ユーザーの抵抗感を減らすことができます。
3. 商品・サービスの割引率の設定を工夫する
前項で紹介した、シャルパンティエ効果から派生した心理現象を活かすことで、「お得感」をコントロールすることができます。たとえば「全品50%オフ、さらにレジにて10%オフ」と「全品60%オフ」のどちらがお得に見えるでしょうか。
前者を選ぶ人も多いとされていますが、実際に計算してみると差異が生じます。
商品が10,000円の場合、前者は10,000円の50%オフで5,000円、さらにそこから10%分の500円が引かれて4,500円です。一方後者は、10,000円の60%オフで4,000円になるため、後者のほうがお得です。
前者を選んだ場合、「割引の回数を2回」というイメージや、「50+10=60%オフ」という直感がはたらき、お得感を錯覚した結果だと考えられます。
この例はテレビショッピングなどでも利用されています。割引した価格を提示した上でさらに値引きする旨を伝えることで、視聴者はお得感が印象に残り、購入しやすい心理状況におかれます。
商品やサービスの魅力を効果的に伝えられるシャルパンティエ効果
シャルパンティエ効果や、視覚イメージからくるさまざまな錯覚現象は、私たちの生活のあらゆるシーンで活用されています。ユーザーの心理的な負担を軽減したり、先入観によって選択を導いたりと、マーケティングや販売促進には欠かせないものです。商品やサービスの紹介文や、キャッチフレーズを検討する際などに活かし、販促効果を高めていきましょう。
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