日本に暮らす外国人が増えています。また、訪日旅行市場も拡大の一途をたどっており、2018年は年間の訪日外客数が初めて3,000万人を超えています。
日本からの距離が比較的近く、経済成長している東南アジアからも、仕事のために日本に来たり、旅行したりする人が増加しています。こうした地域にはイスラム教徒(ムスリム)も多く、その教義を守って快適に滞在できるよう、お祈りのスペースやハラルフードが注目を集めています。
飲食店や宿泊施設は今後、イスラム教徒の消費需要をとりこんでいけるかどうかで売上にも影響が出てくると考えられます。
今回は、ハラルフードがどのようなものなのかを詳しく紹介していきます。
ハラルフードとは?「禁じられたもの」を理解すれば見えてくる
イスラム教では食べて良いものと食べることができないものが厳しく制限されています。ハラルフードとは、この制限の根拠となるイスラム教の戒律に基づき、ムスリムが食べることが許されているものを指します。「ハラル」と「ハラム」はアラビア語です。
「ハラル」は「許された」を意味し、「ハラム」はおおむねそれ以外のものを意味します。ハラムはイスラム教徒にとって、禁止されているものを指す言葉です。
口にしてはいけない食材と、良いものの例
イスラム教の戒律で禁止されている食べ物「ハラルフード」の代表的なものとして、豚肉やお酒が挙げられます。豚肉は、肉そのものだけでなく油やスープなども禁じられています。お酒も同じく、飲むことはもちろん、酒を利用した料理も口にすることができません。
日本食であればラーメンや醤油、みそなどの伝統的な食材にこれらが含まれている場合は非常に多くなっています。イスラム教徒は、日本での食事には非常に気を遣うことになるでしょう。
また、豚肉以外の肉は食べられると思われがちですが、そのほかの肉についてもイスラム教で定められた方法で調理されたものでなければ食べることができません。
イスラム教徒が教義により口にすることを許されている食べ物には、野菜や果物、卵などがあります。このほか動物の食肉についても、イスラムの方式によって処理されたものであれば食べることができます。
イスラム教徒は旅行先でも当然こうしたルールに従います。
「例外」を認める考え方も
イスラムの教えで「ハラム」とされるものを理解すれば、それ以外の「ハラル」であるものが見えてきます。この「ハラム」のとらえ方はイスラム教徒によっても幅があると言われています。同じイスラム教徒でも何を「ハラル」つまり許されたものと解釈するかは、一つの尺度では語れません。
例えば「酒」については、イスラムの教えでは酒を飲み酔ってしまった時の害が指摘されているため、こうした酔ってしまう状態にならなければ酒自体の摂取は認める考え方をする場合もあります。
飲料用のアルコールは避けながら、一方で工業洗浄用アルコールや、手指の消毒用のアルコールを避けようとする人の割合はそれよりも下がると考えられます。
また発酵過程で自然にアルコールが醸造される食品(しょうゆや味噌など)に関しては、一定の濃度を規制すべきという考えがあるそうで、イスラム教徒でも問題に感じないという人も存在します。
「ハラル認証」を掲げてイスラム教徒が足を運べる施設に
ここまではハラルフードがどのようなものなのかを見てきました。次はハラル認証についてみていきます。ハラル認証とは、ハラルであることを専門家や機関が保証をするものです。
飲食店や宿泊施設におけるハラルフードの取り扱いは、冒頭で紹介したようなイスラム圏からの移住者や中長期滞在者、短期旅行者にとって歓迎されるでしょう。
原料から流通・製造、消費者が消費する瞬間まで「ハラルである」こと
例えば飲食店がハラル認証を受けたいという場合には、製造工程や設備などを監査されます。使用する食材だけでなく調理器具や設備に至るまで、ハラルである(イスラム教の戒律に従っている)ものが「ハラルフード」を名乗ることができます。
鍋や食器などは、ハラル以外の調理や配膳に用いられるものと分ける必要があります。また、使用済みのそれらを洗う際には、やはりハラル以外の調理・配膳に用いるものと、ハラルのものを一緒にしてはいけません。非常に厳密なルールがあります。
イスラム教徒の目につく認証マーク
ハラル認証のマークによりハラルフードの取り扱いを明示することで、イスラム教徒から選ばれる飲食店になります。
店頭での掲示は通りすがりの来店も見込めますが、ターゲットとなる層が利用しているインターネットサービスに情報を露出すれば、サービス経由での集客も期待できるでしょう。
口コミの共有ができるようなプラットフォームであれば、そこへの口コミ投稿を促すような施策も知名度アップの効果をもたらしてくれます。
また、イスラム教徒が多く行きかうロケーションであれば、店頭でのチラシの配布なども効果を発揮するでしょう。
まずは取り組みやすい方法で「ハラルフード」導入も
いきなりハラル認証を受けようと思っても、前述のような条件をいちどきに整えるのはハードルが高い場合もあるでしょう。例えば飲食店に限らず宿泊施設でも、ハラルフードを提供するお店からの取り寄せができるよう連携するなど、自身の業態にあった取り入れ方もあるはずです。
ハラルフードの取り扱いを店舗で行う場合には、初期投資も必要になってきます。現在の経営状態などを十分に精査したうえで、取り入れ方を検討するべきでしょう。
イスラム教徒でなくても、顧客がハラルフードに価値を見出す場合も
ハラルフードはイスラム教徒にとって「許された」食事ですが、それ以外の人が食べてはいけないというわけでは決してありません。
料理そのものの質が高い場合や、食材の選定が好みだと感じる消費者にとっては、ハラルフードであるかどうかは関係なくその飲食店を利用したいと考えるでしょう。メニューの選定によっては、ハラルフードの導入によりイスラム教徒以外の来店の増加も期待できます。
安全が守られている食品
ハラルフードは、食材の処理、製造や調理器具にいたるまで厳密に決められた工程で製造する必要があります。ハラルフードであれば、食材の生産者や処理が誰によって行われているか明らかなため、こうした点も食の安全性を担保していると言えます。神の教えに基づく健康食
ハラルフードは神の教えに基づく健康食として、高い栄養価を含んでいることが求められます。イスラム教の世界の決まりとして、自分が摂取するのにふさわしく良いものしか他人には与えない精神が根底にあります。ハラルフードは、イスラム教徒以外にとっても健康に良い料理だと言えるでしょう。<参照>
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】