アパレルショップのなかには顧客を囲い込むためにポイントカードを導入する店舗があります。導入するにあたっては、顧客に対しポイントを貯めるメリットを与えるだけでなく、顧客の情報を集約して、顧客の特性に応じたマーケティング施策を講じることが店舗側のサービス向上のためにも必要になってきます。
紙のポイントカードでは顧客データを一元的に管理することが難しいため、デジタルツールを用いて顧客情報を管理する動きも出てきました。
本記事では、オフラインの店舗とオンラインの店舗も含め、オムニチャネルとしてのポイントカードを導入している事例も紹介し、ポイントカードを活用しリピーターを獲得する方法を解説します。
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アパレルショップのポイントカード活用事例
アパレルショップのさまざまなサービスがアプリで提供されています。
店舗でポイントカードを発行していたアパレル企業は、その機能をアプリに移行し、オンラインとオフラインの双方で活用できるようにしています。
1. ナノ・ユニバース
ナノ・ユニバースは2017年に本格的にアプリ活用に力を入れ、顧客にアプリ閲覧から購入までのシームレス体験を提供できるようさまざまな機能を実装しています。
たとえば、アプリをダウンロードしている顧客が来店すると付与される来店ポイント機能です。ナノ・ユニバースの店舗に設置されたビーコンによって、自動的にポイントを付与しています。
来店ポイント機能によって顧客の来店を促し、来店率を上げられるといえるでしょう。
ほかには、顧客が来店するたびにたまるスタンプをポイントに還元できるチェックイン機能があります。1回のチェックインでスタンプが1個たまり、20個貯めると1,000円分のポイントが付与されます。
1日に1回まで、月に20回までという制限があるものの、購買につながる可能性が高い施策といえます。
2. エービーシー・マート
靴小売業を営むエービーシー・マートも、公式アプリ「ABC-MARTアプリ」を提供しています。
初回の会員登録を済ませると、購入時にすぐに利用できる500円のクーポンが付与される仕組みになっており、アプリをダウンロードすることに対する顧客の心理的なハードルを下げる工夫が施されています。
加えて、店舗とオンラインストアで使用できるポイントを一元的に管理できるようになっており、オンラインとオフラインの購買行動をつなげる役割を果たしています。
店舗での購入時に獲得した購入金額分のポイントを、後日オンライン上でそのポイントを使用して商品を購入するといった、オンラインとオフラインの双方での自由にポイントが利用できるようになっています。
アパレルショップなどの店舗がポイントカードを活用するメリット
ポイントカード機能を搭載したアプリを運用することで、店舗側は顧客の年間購入金額によってポイントの付与率を変動させたり、顧客情報と購買履歴を紐づけ適切な情報を提供したりと、顧客のそれぞれの特徴に応じたマーケティング施策を検討できるようになります。
1. 次回以降の来店を促し、リピーター獲得につなげられる
アパレルショップなどの店舗がポイントカードを発行する最大の利点は、顧客の次回以降の来店を促進できることです。
ポイントを一定数貯めることで、ポイントの利用や記念品への交換ができるように設定すると、顧客はポイントを貯められるように店舗を選択し、ポイントカードを作成する可能性が高まります。競合他社のなかから自店舗を差別化することにつながるでしょう。
再来店を重ねていくなかで顧客は自店舗に定着するようになるため、最終的には顧客の囲い込みも実現できます。
こうしたポイントカードの制度は、自社の運営店舗だけでなく、提携している代理店などでも対応したものにすることで、より大きな商圏のなかで強力な集客施策を打ち出せるようになります。
2. ポイントシステムで一元的に顧客データを管理できる
一元的な顧客データの管理においては、顧客情報と購買履歴を紐づけることが大切です。顧客の嗜好に合わせて商品を提案することが困難になり、ある商品のターゲット層に対して効果的なアプローチができず、購入機会の損失を招くためです。
紙のポイントカードを運用する場合についても、顧客ごとのポイント数を十分に管理できず、オンライン店舗やオフライン店舗間の連携もままなりません。
ポイントカード制度を取り入れる場合は、自社及び提携企業店舗間や顧客の各情報を一元的に管理できるようにすると、顧客ごとの的確な情報分析、イベントの告知、ダイレクトメールの配信により、さらなる売り上げ向上につながるでしょう。
ポイントカードを活用する際に気をつけるべきこと
ポイントカードを活用する場合は、顧客の購買数や来店頻度に応じて優良顧客と一般顧客を識別し、優良顧客には特別なサービスを提供すると、顧客の囲い込みにつながります。
ポイントカードを作成してもらうには、作成時の負担を極力下げ、個人情報の収集よりもポイントカードを利用しはじめてもらうことを優先し、段階的に顧客の情報を取得していく工夫が必要です。
1. ランク分けにより顧客を囲い込む「ロイヤリティプログラム」
顧客の購入意欲をさらに高めるためにも、ポイントカードで顧客情報を集約し、自社商品の購買数や来店数などに応じてランク分けしたうえで、優良顧客を優遇することが重要です。
KPMG Internationalが2019年に実施した「The truth about customer loyalty(顧客ロイヤリティの真実)」調査によると、日本では2019年時点で53%がロイヤリティプログラムと称される優遇サービスを利用しています。
ランク分けによって明らかになった優良顧客に向けて店舗が特別なサービスを提供すること、顧客を囲い込むことに対し、肯定的な国であるといえます。
優遇措置への関心が高い現実を踏まえて、ポイントカードを通じていかにして顧客を囲い込むかを考える必要があるでしょう。
2. ポイントカードを発行するときの負担感を軽減
顧客にポイントカードを発行してもらう場合、個人情報を登録するのに多くの時間を要さないようにするなど、簡単に作成できるということをアピールし、なるべく初期登録のハードルを下げることが大切です。
まずは、個人情報の一部を登録するように促し、ポイントカードを発行します。ポイントを貯めることにより顧客がお得に買物ができることを認識させたうえで、ポイントを使用する際に情報登録を求めるような段階的な運用にすると、顧客にとっては初期登録の負担が減り、登録率を高められるでしょう。
3. 紙のポイントカードは店舗・顧客の双方にかかる手間を考慮
紙のポイントカードは収納する財布がかさばる原因になり、顧客がポイントカードを保有することについて、抵抗感を抱く可能性があります。ポイントカードを持つことが煩わしく、どの店舗のカードも作成しないという顧客も一定数いるでしょう。
店舗側にとっても、発行によって生じる印刷代や紙代、再発行の手間、管理システムの運営コストなど一定量のランニングコストがかかります。
このような課題はポイントカード機能を搭載したスマートフォンアプリを導入することで解決できます。
顧客はアプリ上で会員証を表示することでポイントを貯められるようになり、店舗も紙のポイントカードによって予想されるさまざまなコストを削減できます。顧客と店舗双方の物理的な負担を小さくすることで、登録率の増加につなげることができるでしょう。
アパレルショップのリピーター獲得を容易にするポイントカード
ポイントカードをデジタルシステムで管理すると、顧客に対しては店舗の来店頻度によってお得に買物をさせたり、オフライン店舗とオンライン店舗両者でのシームレスなポイント蓄積、利用ができるようにしたりすることで、顧客への購買経験価値を高められます。
店舗側は、年間購入金額によってポイントの付与率を変動させたり、顧客情報と購買履歴を紐づけたりすることで、顧客ごとの的確な統計分析や情報発信などの集客施策を打ち出せます。
こうした施策のPDCAをまわしていくことで、優良顧客を識別し顧客のリピート率を高めて、売り上げの増加へとつなげていけるでしょう。
<参照>
KPMG International:The truth about customer loyalty
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