世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ウェディング業界は大きな打撃を受けています。
親族や知人など多数が集まる結婚式は、中止や延期が相次ぎ、海外に渡航して挙式や披露宴を行う海外ウェディングも、キャンセルが続出しました。
大手ウェディング関連企業が上場廃止になるなど、厳しい状況が続く一方で、ワクチン接種の進展などを背景に、ウェディング需要の回復傾向も見受けられています。
本記事では、最新のウェディング動向について解説します。
関連記事
結婚式場の口コミサイトまとめ
コロナ禍で大きな打撃を受けたウェディング業界
新型コロナウイルス感染拡大により、ウェディング業界は大きな打撃を受けました。
コロナによるウェディング業界の損失は約1兆円
株式会社リクルートが企画制作する結婚情報サービス「ゼクシィ」が公益社団法人「日本ブライダル文化振興協会」と共同で実施した調査によれば、2020年度の結婚式場各社の収益棄損総額は、前年対比約32%となる約9,500億円にのぼりました。
結婚式を延期したのは、全国で約27万組にものぼるとみられています。
2021年4月の3度目の緊急事態宣言では約400億円の減収があったと推計され、新型コロナウイルス感染拡大による損失は合計で約1兆円と考えられます。
また2021年6月4日に厚生労働省が発表した「人口動態統計」によれば、2020年の姻件数は、前年対比12.3%減の52万5,490組に急減しています。
業界大手「ワタベウェディング」も上場廃止に
ワタベウェディングは、海外挙式が一般的でなかった1970年代にハワイに進出し、グアムやバリ、オーストラリアなどグローバルに展開し、海外挙式の草分けとして知られています。
1997年にブライダル業界で初めて株式を上場し、2004年には国内最大の結婚式場である目黒雅叙園を子会社化し国内の挙式事業にも進出しました。
しかしコロナ禍で相次いだ挙式の中止・延期により経営が悪化し、6月28日付けで東証一部での上場廃止が決定しました。
ワタベウェディングは医薬品事業を手掛ける興和の完全子会社となり、興和傘下での経営再建を図る予定です。
興和は胃腸薬「キャベジンコーワ」や外用鎮痛消炎剤「バンテリン」などで有名ですが、2019年にはハワイに高級ホテル「エスパシオ・ジュエル・オブ・ワイキキ」を開業するなどホテル部門を強化しており、ブライダル事業との相乗効果を期待しています。
そんなウェディング業界にも回復の兆しが
コロナ禍でウェディング業界が大きな影響を受ける中、結婚式のニューノーマルや海外挙式再開など、ウェディング需要回復の兆候も見られはじめています。
結婚式のニューノーマル広がる
2020年6月、ウェディング業界は、「withコロナ時代」の祝福の場、実現を目指す「NEW NORMAL for HAPPY WEDDING宣言」を策定しました。
発表されている「7つの誓い」には、感染対策や衛生管理に最善を尽くすこと、新郎新婦の不安に対し丁寧な説明を行うことなどが含まれています。
2021年6月現在で、全国1,614の結婚式場からの賛同を集め、結婚式のニューノーマルが広がりつつあります。
招待状やご祝儀のオンライン化など、最新の非接触対策が導入されているほか、オンライン中継の導入や2部制なども選択肢として広がりを見せており、新郎新婦の心理的ハードルの軽減につながっていると考えられます。
メルカリで「幸せバトン」関連出品が増加
株式会社メルカリは6月21日、運営するフリマアプリ「メルカリ」の「ウエディング」関連検索・出品・取引の動向の調査結果を発表しました。
調査結果によれば、キーワードに「幸せバトン」を含むウエディング関連の出品が1年で約1.4倍にのぼっており、ウエディングを応援する出品が増加傾向にあることが分かりました。
「幸せバトン」とは、自らが使用したウエディングドレスを次の人へ譲ることを表す言葉で、メルカリ上では主にウエディングドレスを取引する利用者の中で普及しているキーワードとなっています。
「幸せバトン」出品数は2020年10月に急上昇を見せ、その後も前年を上回る数値を記録しています。
株式会社メルカリは、結婚式を挙げずに写真撮影のみを行う「フォトウェディング」の需要の高まりを背景に、写真撮影等でドレスだけでも着たいという花嫁に向けた応援出品としてウェディングドレスが出品されていると考察しています。
ハワイ挙式再開の動きも
国内外のウェディングを手がけるタカミブライダルは、6月21日、ハワイの人気式場「The Terrace By The Sea(ザ・テラス バイ・ザ・シー)」での挙式施行を9月1日から再開すると発表しました。
2012年9月のオープン以来、のべ12,000組以上のウエディングをプロデュースしてきた同式場は、2020年4月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響で挙式の施行停止を余儀なくされ、延期やキャンセルが相次ぎました。
再開決定の理由として、ハワイ州が2020年10月に、日本の厚生労働省が認可する新型コロナウイルス感染症の核酸増幅検査(NAT)を実施できる21ヶ所の医療機関と契約し、翌11月6日のフライトから日本向けの事前検査プログラムの受け入れが始まったことを挙げています。
さらに2021年6月13日時点で、ハワイ州民のワクチン接種完了率が55%と高水準にあり、新郎新婦をはじめゲストも安心してハワイに渡航できると確信したこと、また顧客から帰国後の自己隔離があってもハワイで挙式したいという問い合わせが増えたことも理由として挙げられています。
9月からの挙式施行にあたっては、ハワイ州法に準じソーシャルディスタンス、検温、消毒など万全のコロナ対策を講じていくほか、コロナ禍の影響により同式場を一度キャンセルしたカップル向けにはウェルカムバック特典も用意されているということです。
ワクチン接種進展で、ウェディング需要復調への期待高まる
新型コロナウイルス感染拡大抑制を目指し、日本国内では新型コロナウイルスのワクチン接種が進められています。
日本政府による6月28日の発表によれば、27日までに2回目接種を完了した人は1,300万2,462人となり、国内総人口の1割を超えました。
人気の海外挙式先であるハワイでもワクチン接種が進んでいることなどから、今後のウェディング需要復調への期待がさらに高まっています。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
<参照>
リクルート:新型コロナ流行後のブライダル業界約1兆円損失も回復傾向 カップルの半数がオンライン参列導入への心理的ハードル低く
ゼクシィ:NEW NORMAL for HAPPY WEDDING
PR TIMES:<6月:ジューンブライド>「メルカリ」データでみる“ウエディング動向” コロナ禍で広がるウエディング応援「幸せバトン」出品 約1.4倍
厚生労働省:令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
ワタベウェディング:当社株式の上場廃止のお知らせ
日本経済新聞:ワタベウェディング、興和傘下入り決議 上場廃止へ
ビジネスジャーナル:リゾート婚のワタベウェディングが苦境、なぜキャベジンコーワの興和に完全子会社化された?
東洋経済オンライン:コロナで撃沈「結婚式企業」の脆弱すぎる事業構造 優先株発行に事業再生、苦境各社の生き残り策
タカミブライダル:ハワイでの挙式再開へ 人気式場 「ザ・テラス バイ・ザ・シー」2021年9月1日(水)挙式施行再開決定
首相官邸:新型コロナワクチンについて
日本経済新聞:ワクチン接種2回完了、総人口の1割超える