Qコマースとは?30分以内の即時配達 フードパンダ・Woltなど事例

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Qコマースとは「クイックコマース」の意味で、オンラインショッピングにおける新しい形態です。欧州から広まりつつある概念で「注文から配達までが30分程度の仕組みを備えたEコマース」と定義されています。

新型コロナウイルスのパンデミックにより外出自粛の重要性が高まったことや、フードデリバリーが普及したことなどから注目が集まるようになりました。

この記事ではQコマースの概要とそのメリットおよびデメリット、日本での展開事例などについて解説します。

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Qコマースとは?Eコマースやネットスーパーとの違い

Qコマースとは欧州から始まった考え方で、Eコマースとは少し異なる特徴を持っています。また近年普及しているネットスーパーとも時間、価値創造の方法において違いがあります。

ここではQコマースの概要と、Eコマースやネットスーパーとの違いについて解説します。

欧州のデリバリー企業が提唱「Qコマース

Qコマースという概念の普及の背景には、ある欧州の企業が関係しています。

スペインのデリバリー企業である「Glovo(グロボ)」は2020年、あらゆる商品を30分以内に顧客の家に届けることを掲げた「Qコマース部門」を立ち上げました。このQは「Quick」を意味し、デリバリー市場への新風となりました。

Qコマースの重要性は、新型コロナウイルスによるパンデミックが広がったことで注目されるようになりました。

GlovoのQコマース部門主任であるDaniel Alonsoは、「パンデミック後に多くの店が閉鎖に追い込まれる中で、Qコマースの重要度は飛躍的に高まった」「(世界の消費者から)数十分以内に届くサービスが求められる」とForbesの取材に対し話しています。

欧州ではそのほか、ベルリンに本拠地を置く「Delivery Hero(デリバリーヒーロー)」も同様のサービスを開始しています。

Eコマースとの違いは配達時間

QコマースEコマースの端的な違いはその配達時間です。

たとえば日本においてのEコマースの代表であるAmazonや楽天などで商品を注文すると、早くとも注文日の翌日以降の配達になります。

Qコマースは即日、しかも30分以内の超短時間で商品を消費者の家まで届けることを目的としており、その商流や注文の受け方、配達方法などからEコーマースとは区別されるものです。

ネットスーパーとの違いは?配達時間を短縮させる仕組み

ネットスーパーにおける販売は、スーパーの店舗自体が持つ在庫もしくは専用センターの在庫を基準にした拡大事業という側面があります。つまり、自前の在庫をより広く販売するためのチャネルを増やすためのものであるといえます。

これに対しQコマースは自前の在庫を持たないデリバリー業者によって運営されています。つまり即時配達の仕組みによって価値を提供するものであり、ある意味ではオンラインのマーケットプレイス事業であるといえます。

日本でもAmazonと大手スーパーの提携によるネットスーパーが展開されていますが、所要時間は最短で2時間です。Qコマース事業者はこれに対し、おおむね30分以内で配達するための仕組みを備えています。

Qコマースのメリット・デメリット

Qコマースはユーザーに利便性をもたらすものですが、他業態と比べた場合のデメリットも抱えています。

ここではQコマースのメリットとデメリットについて解説します。

メリット/ユーザーの時間を節約

ユーザーにとってのQコマースを利用するメリットは、買い物にかかる時間を大幅に減らすことができる点です。

買い物にはそれ自体にかかる時間だけではなく、スーパーと家の往復や身支度などの時間がかかります。また子どもがいて目が離せない場合などは、短い時間でも外に出ることは難しいこともあります。

そのような場合にQコマースが利用できれば時間が大幅に節約できることになります。スマートフォンなどで注文ができ、30分以内に配送されると大きく利便性が向上します。

また購入頻度が高い日用品や食料品などは買いに行く回数が多くなるため、生活の負担となりやすくなっています。こうした商品の配達には特に需要があり、Qコマースのを成長させる要因といえるでしょう。

デメリット/顧客満足を得られるか

Qコマースのデメリットとして考えられるのは、品揃えや価格面における顧客満足です。

Qコマースの価値はもちろんそのスピーディーな配送にありますが、消費者の満足は配送スピードだけで決まるわけではありません。購入できる商品の選択の幅やその価格、配送料などはネットスーパーに及ばない部分もあります。

こうしたデメリットをどうカバーしていくかがQコマースの課題です。

Qコマースを実現させている事例

日本でも既存のサービスからQコマースの考え方に沿ったサービス展開されるようになったり、新たなサービスが立ち上げられるようになってきています。

ここでは日本でQコマースが実現されている例について紹介します。

事例1. フードパンダ「pandamart」ローソンと提携

ドイツの「Delivery Hero(デリバリーヒーロー)」傘下のオンラインフードデリバリーサービスであるフードパンダは、フードデリバリーだけではなくQコマースへの展開も行なっています。

サービス名は「pandamart」で、日用品や食品など約1,500種類の商品が注文から30分以内に届けるサービスを2021年7月に神戸市で開始しました。

またフードパンダはコンビニエンスストア大手チェーンのローソンとも提携し、弁当やベーカリーなどの食品類や日用品などの配達サービスを手がけるようになっています。

フードパンダではAIなどの技術を活用することにより配送を効率化し、あらゆる買い物が25分以内で済ませられることを目指してサービス展開しています。

事例2. 10分で届く、食料品の宅配スーパー「Onigo」

東京都に本社を置くOnigoは、実店舗を持たない「ダークストア」と呼ばれる宅配専門の即時型ネットスーパーで、2021年8月から目黒で1号店が稼働しています。Onigoは配達エリアを店舗から1km圏内に絞り込むことにより、スマホによる注文から10分以内での配送を実現していることが特徴です。

配達は電動アシスト自転車によって行われ、配送料は一律300円となっています。

Onigoはその即時性を生かして、まとめ買いではなく少量をその都度注文するという使い方を想定しており、今後は利用エリアを広げていく狙いです。

事例3. 「Wolt」コストコやイオンと提携、日用品を30分以内に

フィンランド発のフードデリバリーサービスであるWoltは、2020年3月に日本でサービス展開を開始しました。飲食店以外にも、コストコやイオンなどの大手スーパーと提携しています。

2021年の8月からはコストコとのプライベートブランドである「カークランドシグネチャー」をはじめとして、店舗から5kmの範囲に食料品や日用品約900品目を最短30分程度で届けるサービスを広島県で開始しました。今後も全国に順次展開していく予定です。

Woltはこのほか、さまざまなジャンルにデリバリーを広げるためナチュラルローソンや鶴はドラッグなどさまざまな業態との提携を進めています。

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即時配達という革新性のあるQコマース

Qコマースは近年の新型コロナウイルスパンデミックの中で注目されるようになった概念で、フードデリバリーやEコマースの広がりの中で生まれてたものと言えます。

即時配達は忙しく時間がない人が多い現代において求められるものであり、また外出が難しい昨今では特に必要とされるサービスでもあります。

品揃えなどの点では既存のネットスーパーなどに及ばない点もありますが、30分以内の配達というメリットはそれらを補う利便性をもたらすものです。ネットスーパーなどとは違ったニーズに応えるものとして、普及が進んでいくものと思われます。

Qコマースが日常化していくなかで、消費者の生活には新しい需要が生じていくと考えられます。こうした動向にいち早く気づき、解決策や商品を提案できることが大切です。

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<参照>
Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン):欧州デリバリー企業Glovoが提唱、「Qコマース」という買い物の形


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