「メディアミックス」とは、複数のメディアをまたいだ宣伝手法のことで、広告業界における専門用語です。なお、マーケティング用語の「メディアミックス」は意味が異なります。小説や漫画などの作品を、原作とは別のメディアで展開することを指すので、混同しないよう注意が必要です。
メディアミックスでは複数のメディアを利用して宣伝するため、幅広い顧客を獲得しやすく、各媒体のデメリットを相互に補完できる点が特徴です。
この記事では、広告手法としてのメディアミックスの概要、メリット、注意点、事例を紹介します。
メディアミックスとは
メディアミックスとは、広告およびマーケティングの業界で使用されている専門用語です。用いられるシチュエーションによって意味が異なります。
また、関連用語である「クロスメディア」の意味も併せて理解しておくとよいでしょう。
以下では、メディアミックスの意味、用いられる媒体、クロスメディアとの違いを紹介します。
1. 商品を複数メディアで宣伝すること(広告用語・マーケティング用語)
メディアミックスは、もともと広告業界で使用されていた用語です。商品を宣伝する際に、2つ以上のメディアを利用することです。媒体ごとの特性の違いを活かして相乗効果を生むことが主な目的です。
また、マーケティングにおいては意味が異なります。小説を映画化したり、漫画をドラマ化したりと、コンテンツを原作とは別の媒体で再現することを指します。さまざまな媒体への展開により売上を拡大させることが主な目的です。1970年代後半に、角川書店が小説を映画化することで販促に取り組み、メディアミックスが広く知られるようになりました。
2. メディアミックスの主な4つの媒体
広告用語としてのメディアミックスにおいて、用いられる媒体には主に4つのものがあります。
- アナログメディア:新聞や雑誌など
- デジタルメディア:テレビやラジオなど
- インターネットメディア:WebサイトやSNSなど
- ニッチメディア:情報誌、フリーペーパーなど
媒体ごとに特徴やアプローチできるターゲットが異なるため、どのメディアを組み合わせるかは重要なポイントです。
3. 関連用語「クロスメディア」
クロスメディアも、メディアミックスと同じく、複数のメディアを利用する広告手法です。
両者の違いは広告の目的にあります。メディアミックスは認知度向上を目的としている一方、クロスメディアは商品の訴求を目的としています。
前者はより多くの見込み顧客に対して情報を伝達することに、後者はより多くの顧客を購買行動に移すことに焦点をあてています。
メディアミックスのメリット3つ
1つのメディアを利用して宣伝する場合と比較すると、メディアミックスにはさまざまなメリットがあります。メディアミックスによる宣伝を検討する際に、どのようなメリットがあり、どのように売上につながるのかを知っておくことは非常に大切です。
以下では、メディアミックスの3つのメリットを紹介します。
1. 幅広い顧客にアピールできる
複数のメディアを利用するため、媒体の選び方次第で幅広い顧客にアピールできます。
若年層に人気のSNS、ビジネスマンに人気の経済新聞、年配の方に人気の雑誌など、媒体によって、主な顧客層はさまざまです。商品やサービスの内容、ターゲット層に応じて媒体を選択するとよいでしょう。媒体によって宣伝の方法を工夫すると、より効果的に集客が狙えます。
また、媒体にテレビを選択した場合、テレビ局や時間帯によっても視聴者層が異なります。広告効果を高めるうえでは媒体だけではなく、具体的にどこに出稿するのかも注意深く検討することが必要です。
2. それぞれのメディアの弱点を補える
宣伝という観点から各メディアをみた場合、それぞれに長所がある一方で短所もあります。
たとえば、テレビCMは視覚的にインパクトのある訴求をできますが、一般的な15秒の尺で伝えられる情報量は多くありません。そこで、情報量の多い新聞や雑誌などのメディアと組み合わせると弱点を補えます。
このように、各メディアの長所と短所を考慮したうえで、理想的な組み合わせを検討することが重要です。相互に補完しあうような宣伝を心がけるとよいでしょう。
3. 顧客が広告に触れる回数を増やせる
複数のメディアを組み合わせると、顧客が広告に触れる回数も増えます。多くの場合、広告を1度見ただけでは印象に残りませんが、さまざまな場所見ることにより強い印象を与えられます。
認知度向上に役立つだけでなく、実際に店頭で商品やサービスを目にした際にも思い出してもらいやすくなるでしょう。
メディアミックスの注意点…予算がかかる
メディアミックスにはさまざまなメリットがある一方で、コストがかかります。費用対効果が低くなるリスクを理解したうえで、コストに見合うだけの売上が得られるか検討する必要があるでしょう。
以下では、メディアミックスの注意点と対策を紹介します。
費用対効果が低くなる可能性
複数のメディアで広告を展開するため、媒体を増やすほどコストがかさみます。それだけ広告効果も高められますが、十分な売上につながらず、赤字に陥るケースもあるので注意が必要です。
しかし、コストをおさえるために広告の質が落ちるのも望ましくありません。広告の質や媒体の選択によって決定するコストと広告効果のバランスを意識するとよいでしょう。
また、メディアミックスは広く用いられている広告手法のため、差別化を図るのが難しいというデメリットもあります。
費用対効果を上げるために/CPA(顧客獲得単価)に基づいて必要なメディアの判断を
CPA(Cost Per Acquisition)は、成約を1件とるためにかかる広告費です。広告費用をコンバージョン(成約)数で割って算出します。
CPAは広告効果を測るための指標の1つです。CPAは低いほど理想的な広告運用といえます。メディアミックスではCPAに基づいて広告効果を検証し、媒体ごとに広告費のバランスを検討する必要があります。
CPAをもとに広告費を調整する際は、CPAが高い媒体の広告費を削り、CPAが低い媒体の広告費を増やすのが基本的な考え方です。広告費用と売上は必ずしも比例せず、運用効率を高めれば少ない費用で大きな売上を実現できます。
CPAから広告費用のバランス調整を重ねることで、より効果的な運用につながるでしょう。
メディアミックスの具体例
さまざまなメディアが存在する現在、メディアミックスの組み合わせパターンは膨大です。そのため、いくつか定番のパターンをおさえておくと考えやすくなるでしょう。
中には、関連性の高いメディアを組み合わせることにより、コストを削減できるプランもあります。
以下では、メディアミックスの具体例を紹介します。
1. テレビCMと動画のメディアミックス
テレビCMとWeb動画を組み合わせる場合、いずれも動画を利用するメディアのため、素材を流用できます。テレビCMの動画をSNS上で流せば、それぞれのメディア用に異なる素材を用意するよりもコストを削減できるでしょう。
テレビCMとWeb動画のメディアミックスは、それらを利用する若年層への宣伝に効果的です。いずれも視覚的に訴求できるメディアのため、大きなインパクトを与えられます。
2. Web広告とマガジンのメディアミックス
Web広告とマガジンを組み合わせる場合、訴求点の分け方がポイントです。マガジンにおける広告は文章や画像による訴求ですが、Web広告では文章、画像、動画など、さまざまな形があります。
同じ文章、画像を出稿して既視感を与えるのか、メディアごとに異なる角度から訴求するのかは、広告戦略に応じて使い分けるべきです。いずれの場合も広告をどこに出稿するかは、ユーザー層や読者層を分析したうえで決める必要があるでしょう。
それぞれの商品・作品に適したメディアミックスを
メディアミックスは、複数のメディアを利用することで幅広い顧客に対してアプローチする広告手法です。特徴の異なるメディアを組み合わせれば、弱点を相互に補完できるうえ、相乗効果を狙えるでしょう。
また、さまざまな場で広告を露出させるため、接触機会を増やして顧客に記憶に残りやすくするメリットもあります。
一方、1つのメディアを利用する場合に比べて費用がかさむというデメリットもあります。そのため、メディアミックスに取り組む際は、CPAをもとに広告費と広告効果のバランスをとることが大切です。
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