潜在ニーズ・顕在ニーズの違いは?調査方法と事例3選を紹介

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潜在ニーズとは、消費者自身が気づいていないニーズのことを指します。マーケティングにおいては、こうした消費者自身が気付いていないニーズを企業の側が提示することで、消費者に新たな気付きを与え、購買へとつながることが期待できます。

本記事では、潜在ニーズの特徴や探り方について紹介します。

潜在ニーズとは

潜在ニーズとは、消費者が解決したいと考えている事柄の背景に隠れてしまい、表面的に表現されない、または消費者自身が気づいていないニーズのことを表します。

以下では潜在ニーズと似た意味を持つ、顕在ニーズとの違いや、マーケティングにかかわる考え方について解説します。

潜在ニーズと顕在ニーズの違い

顕在ニーズとは、消費者自身が目的を持ったうえで欲しい商品サービスを具体的に描いている状態を指します。

一方で潜在ニーズは、消費者が、自身の気付いているニーズの背景にある根本的なニーズに気が付いていない様子を指します。この場合には、消費者の潜在ニーズに気付かせ、購買行動を思い立たせるようなきっかけ作りをすることが大切です。

マーケットインとプロダクトアウト

潜在ニーズへ応える商品作りのためには、マーケットインの考え方が適しています。

ターゲットとする消費者がどのようなニーズを抱えているかを起点に製品コンセプトを作り上げます。

一方でプロダクトアウトは、製品や技術ありきで作られたもので、性能や機能が優れていれば売れるだろうという考え方に基づいています。こちらの場合には、販売時に消費者が潜在ニーズに気づくようにアプローチをするなどの工夫が必要です。

潜在ニーズの調査方法と成功事例3選

潜在ニーズを消費者への聞き取り調査から把握することは難しいため、行動や心理面の分析を通して明らかにするのが一般的です。

それぞれの特徴と実際の活用例を紹介します。

1. ニューロリサーチによる共感度測定:フリスクの事例

ニューロリサーチという方法により、これまで可視化されてこなかった、動画広告が消費者に与える影響について定量的な測定が可能になりました。

複数の被験者の脳波を比較し、脳波の変化に相関が見られる部分を抽出することで映像のどの部分が視聴者の共感力に影響をもたらすかを検出できます。

フリスクの新製品立ち上げの際には、ニューロリサーチが実際に分析に用いられ、動画の質の向上に貢献しました。2分間の長い動画広告にもかかわらず77%の人が最後まで視聴を続けたという結果が出ています。これは、15秒の短いテレビCMと同等の高い数値です。

Web動画では特に動画の全体を通して共感度を高く維持することで、最後まで動画が再生される確率が高まります。

2. 行動ログ分析×アンケート調査:リノべるの事例

複数の要素から多角的に分析を行うのも効果的です。

オンライン上の行動記録には、検索キーワードや表示されたページ内でどのコンテンツに意識的、無意識的に興味を持ったのかが記録されます。

また、オフラインで行われるアンケート結果では消費者自身が認知している事柄について確認できるため、これら2つの側面を組みわせることでより高精度な結果が得られます。

中古住宅のリノベーション業者のでは、行動ログ分析とアンケート調査結果をマーケティング戦略の策定に活用しました。

対象のキーワードを決めそのワードを含む検索者の属性を明らかにし、同様の層に対して行われたアンケート結果を参考にすることで、ターゲット層をより深く理解することにつながります。

3. エスノグラフィー(行動観察調査):花王の事例

潜在ニーズを明らかにするうえで、消費者の無意識的な行動に注目することも有効です。

対象とする顧客層や調査目的に合った被験者を選定し、日常生活に密着して行動の観察、記録、撮影やインタビューを適宜行います。

製品やサービスを実際に使用する場面はもちろん、その前段階にある行動を起こす深層心理も読み取ることもできるため、新たな発見につながる可能性があります。

行動観察調査では、被験者としてメインターゲットから大きく外れた人をあえて選ぶこともあります。一般の人の行動には現れないものの深層心理として持っているものが、極端な意見や思考を持つ人の行動には顕著に現れている場合があるためです。

花王は2007年頃からエスノグラフィーを導入し、消費者のニーズを理解する取り組みを進めました。「アンチエイジング」に対する消費者の考え方や行動を調査し、マーケティング商品開発などに活用できる新たな視点を得たということです。

潜在ニーズを掘り起こすための2つの手法

利用者の声に耳を傾けることで、潜在ニーズの手がかりを掴んだり、顧客満足度向上に効果が期待できます。顧客の意見を貴重な情報源として活用することが大切です。

1. 顧客と双方的なコミュニケーションをとる

商品サービスそのものだけでなく、購入後のサポートを含めたコミュニケーションへの注力も顧客満足度上昇とリピーター獲得に効果を発揮します。

顧客との双方向コミュニケーションを通し、ユーザーの声に耳を傾け理解を示す個別に対応することで良い印象を与えられます。実際に、クレームの問い合わせをしてきた顧客をむしろその企業のファンにしてしまうような取り組みを行う企業もあります。

顧客と対話するすべての場面を、利用者の抱える潜在的なニーズを探るきっかけとして活用することが大切です。

2. 顧客のアンケートに誠実に対応し、アフターサービスを提供する

購入後のアフターサービスは、利用者の満足度向上に効果をもたらします。実際に、記入形式の顧客アンケートに対してその内容に対する対応や回答を掲示している店舗があります。

こうした対応は、実際の利用者からの意見に対して誠実に対応している様子や、利用者のことを大切にしている態度を示すことにつながります。

消費者自身の意見に企業が対応する姿勢を見せることで、より多くの優れた意見が集まる可能性も期待できます。

顧客の潜在ニーズを把握し成功的なマーケティング戦略を立てる

顧客の潜在ニーズを把握するためには、消費者の心理面や無意識な行動に注目する必要があります。

様々な調査方法がありますが、日々の利用者の声に耳を傾けることが非常に重要です。

消費者の意見の背景にどのようなニーズがあるのかを仮説検証することで潜在ニーズの把握に近づきます。

潜在ニーズの把握により、商品サービスの付加価値上昇につながり、満足度上昇も期待できます。

顧客視点をもち、潜在ニーズを意識した戦略を立てると良いでしょう。

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