6月末終了「キャッシュレス・ポイント還元事業」国内7.2兆円の消費を生む:利用者の64%がクレジットカードを選択

6月末終了「キャッシュレス・ポイント還元事業」国内7.2兆円の消費を生む:利用者の64%がクレジットカードを選択

2019年10月から始まった「キャッシュレス・ポイント還元事業」が2020年6月末で終了します。消費税増税による消費低迷を回避する目的で実施され、全国で115万店の店舗(中小・小規模事業者約105万店、コンビニ以外のフランチャイズチェーン約5.2万店、コンビニ約5.5万店)が参加し、7.2兆円の消費が生み出されました。

しかし、消費行動を促すために実施された本事業は、今年に入ってから感染拡大した新型コロナウイルスによる影響も受けることとなりました。

この記事では、6月11日に総務省が発表した「キャッシュレス・ポイント還元事業」の利用状況の分析から、この事業が日本経済に与えた影響を検証します。

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キャッシュレス・ポイント還元事業が6月末で終了

2019年10月に消費税が10%へ引き上げされると同時に、政府は2020年6月までの期間限定で「キャッシュレス・ポイント還元事業」を実施させました。消費税増税による国民の消費活動の低迷を懸念し施行された本事業は、現金以外の支払い方法(クレジットカード・QRコード・電子マネーのいずれか)で決済を行った際に、支払額の2%〜5%がポイント付与または割引きという形で消費者に還元されるという仕組みです。

経済産業省が公表したデータによると、2020年6月1日時点で参加店舗は約115万店であり、事業開始から2020年3月16日までの対象決済金額は約7.2兆円、還元額は約2,980億円にのぼるとしています。

コンビニやスーパーといった消費者が日常的に活用する実店舗での買い物から、ECサイト上での店舗での商品購入まで還元対象となっていたことから、消費者は積極的にキャッシュレス決済を選択したと考えられます。

消費者の利用傾向はどのようなものだったのか

今回の「キャッシュレス・ポイント還元事業」を利用した消費者の行動には、以下のような特徴が見られました。

ポイント利用時の決済金額は500円以下が3割強

まず、消費者がキャッシュレス決済を利用する時の消費金額を分析すると、500円以下で利用をしていた人の割合がもっとも多いことが分かります。全体で61%の消費者が、決済金額が1,000円未満のときにキャッシュレス決済を利用しています。

  • 500円未満:約12.6億回(約37%)
  • 500円~1,000円未満:約8.2億回(約24%)
  • 1,000円~3,000円未満:約8.2億回(約24%)
  • 3,000円~5,000円未満:約2.3億回(約7%)
  • 5,000円以上:約2.7億回(約8%)

クレジットカードは比較的高額なもの、QRコードは少額の買い物に利用される傾向

「キャッシュレス・ポイント還元事業」では決済方法として、消費者はクレジットカード、QRコード、電子マネーの3種類から選択できます。本事業による消費額は7.2兆円と大規模なものとなりましたが、決済方法ごとの金額内訳は以下の通りでした。

  • クレジットカード:4.6兆円(64%)
  • QRコード:0.5兆円(7%)
  • 電子マネー:2.1兆円(29%)

消費金額の半分以上がクレジットカード利用によるものであることが分かりました。同時に、消費者がそれぞれの決済方法を選択する上で、支払い額により利用する決済方法が異なることも分かりました。

QRコード利用時の平均単価は900円、電子マネー利用時は1,100円、クレジットカード利用時の平均単価は4,600円と、クレジットカードは比較的高額なものを購入する際に利用される傾向がある一方、QRコードは少額の買い物で利用されていたようです。

新型コロナウイルスの影響により日用品の買い物時のキャッシュレス利用が増加

多額の消費が生まれた本事業でしたが、2020年初めから日本でも猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響も少なからず受けることとなりました。クレジットカードの総合情報サイト「CREVIEW(クレビュー)」が実施したユーザーへの意識調査によると、「新型コロナウイルスの影響によりキャッシュレス決済利用は増えたか減ったか」という質問に対し、59%が「増えた」と回答したとしています。

接触による感染を避けるため、実店舗でも現金での支払いを避けたり、積極的にネットショッピングを利用したりと、消費者の行動に変化をもたらしました。また、キャッシュレス決済を利用する買い物内容にも変化が見られました。

Q. コロナ前後で、キャッシュレス決済のどのような利用が増えましたか?(複数回答可)

1位・実店舗での日用品の買い物(スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど) 31%

2位・ネットでの日用品の買い物 25%

3位・飲食店の利用 16%

4位・交通費、旅行 10%

5位・宅配サービスの利用 7%

6位・動画配信サービス 6%

7位・教育関連(本、オンライン教材など) 5%

調査によると、日用品の買い物での利用が半数以上を超える結果となりました。自粛ムードの中で消費者は大きな日用品以外の買い物での外出を控えていたことから、利用頻度が高く、比較的単価の安い消耗品の買い物でキャッシュレス決済が多く利用されたと考えられます。

ポイント還元での効果は?店舗のねらい・消費者は何を買ったのか

本事業に参加する店舗側の最大のメリットは、集客増大を狙えることにあります。2%〜5%のポイント還元により、消費者は実質、消費税増税前もしくはそれ以上に安い値段で商品を購入できることから、積極的にポイント還元を実施している店舗で買い物をするようになりました。

消費者はポイント還元を利用しどのような買い物をしていたのか、Twitter上では下記のような投稿がありました。

家電の購入や洗車代のまとめ払いなど、高額の支払いもポイント還元対象となることから、本事業の実施期間中にまとめ買いをしておトクに買い物を済ませようとする消費者の姿も見られました。

一方で、特に「今年に入ってからコロナウイルスの影響で店舗が営業していなかったため、思うように買い物ができなかった」という消費者の声もあります。

消費者の立場から見ると、今回の「キャッシュレス・ポイント還元事業」は主に小額での利用が多かったものの、おトクに買い物するために利用する人が多かったと同時に、新型コロナウイルスの感染拡大によりキャッシュレス決済の利便性を知ることができた機会であったことがわかります。

これからキャッシュレス決済は日本で一般的になるか

今回の「キャッシュレス・ポイント還元事業」を通して、キャッシュレス決済の利便性や感染症予防という観点からの安全性が見られ、消費者のキャッシュレス決済に対する価値観が変化したと考えられます。消費者からも、今後も続けてキャッシュレス決済を利用したいという声があがっています 。

特に若い世代は、キャッシュレス決済への変化を歓迎しているようです。

本事業は2020年6月末をもって終了となります。実施終了を目前にして、特に店舗側では今後もキャッシュレス決済に対応するかどうか、悩んでいるところも少なくありません。

店舗側が頭を悩ませているのが、キャッシュレス決済時の手数料についての問題です。キャッシュレス決済時に発生する店舗側の手数料は3%〜7%となっており、「キャッシュレス・ポイント還元事業」期間中は国がこの手数料を負担していました。

しかし、7月からは原則的に店舗側がこの手数料を負担することとなります。キャッシュレス決済の手数料を店舗側が負担する分、商品自体を多少値上げするなど、店舗は対応方法を検討する必要があります。

消費者側は事業実施終了により2%〜5%のポイント還元がなくなるため、7月以降のキャッシュレス決済利用は実質的には値上がりになるという意見もみられます。

ほか、消費者からはこの還元事業の延長を希望する声も出ています。

政府としては、今後もキャッシュレス決済を一般化する計画です。たとえば、税金もキャッシュレス決済を可能にする仕組みを整えているほか、マイナンバー制度とキャッシュレス決済を組み合わせた「マイナポイント」計画の推進も公表されています。

今回の「キャッシュレス・ポイント還元事業」で一定数浸透した「キャッシュレス決済」という文化がもたらすメリットとデメリットを改めて見つめ直し、今後の政府の方針や消費者の要望も踏まえた上で、キャッシュレス決済を継続するかどうか検討する必要があります。

<参照>

経済産業省:キャッシュレス・ポイント還元事業(キャッシュレス・消費者還元事業)中小・小規模店舗向け説明資料

経済産業省:【ポイント還元事業】登録加盟店の地域分布

FNNプライムオンライン:キャッシュレスのポイント還元 終了まであと半月…次に控える一大事業「マイナポイント」

PRTIMES:【コロナ禍のキャッシュレス事情調査】キャッシュレス利用は約6割増!日用品での利用も増え、お得さへの期待一層高まる

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口コミラボ編集部

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