安倍晋三首相は、4月16日に緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大すると発表しました。また、期間を5月6日まで延長しました。それには例年におけるゴールデンウィーク中の大幅な移動の自粛を促す狙いがあります。
同時に、経済対策として「困窮家庭へ30万円を支給する」とした発表を撤回し、全ての国民を対象に「一律10万円の給付を行う」方針で準備を進めています。 給付時期は未定ですが、給付受付は郵送とオンラインで行われることが発表されました。 これに伴い、インターネット上ではこの「10万円給付」を巡り、さまざまな話題が出ています。外出自粛の影響下もあり、オンラインでの購入が増えることが予想される今回の給付について、物流への影響や海外の動向を紹介します。
一人あたり10万円の給付が決定
新型コロナウイルス感染症の拡大に対する経済対策として、30万円の給付に代わり、急遽発表された「国民全てを対象にした1人10万円給付」が話題になっています。政府の発表によると、対象者は国籍問わず住民基本台帳に記載がある「全ての人」です。 給付は原則、世帯主から申請があった場合に限り、振り込まれます。給付は申請せずに辞退することも可能です。
申請は郵送またはオンライン/マイナンバーカードの使用bも検討
給付の申請方法は郵送、もしくはオンライン受付となります。 現在進められている方法は、市町村から送られてくる申請書に世帯主が必要事項を記載し、返送する方法です。政府は世帯主からの返送された申請書に従い、世帯全員分の給付金を振り込む方針となっています。 世帯主がマイナンバーカードを所有している場合は、オンラインでの申請も検討中です。
対象は住民基本台帳に記載されている人全員
給付金の対象者には、外国人住民も含まれています。2019年年度末における日本在住の外国人住民は293万3,137万人です。2012年7月から外国人住民も住基台帳の対象となっていることから、今回の給付の条件である「住基台帳に記載」があり、「外国人登録原票に記載」がある場合は、条件を満たしているため給付の対象になると考えられます。
10万円給付による影響は?
安倍晋三首相の4月16日の会見を受け、インターネット上では「10万円で何を購入するか」が話題となっています。実際に10万円給付による影響は、どのように広がるのでしょうか。実際のSNSの投稿を見ながら考察します。外出自粛で通販盛り上がる?
外出自粛の影響により、既にオンラインショッピングの需要が高まっています。給付金を受け取って何か買い物をしようという場合も、外に買い物に行くのではなくオンラインショッピングを利用する人が多いでしょう。Twitter上では、「#給付される10万円どう使う」というハッシュタグでさまざまな意見が述べられていました。 購入希望の商品を投稿している人も多く見受けられます。 給付金を普段は購入できない高額な商品や嗜好品に当てる人も多いようですが、一方では家計が苦しいので、生活のために使うという投稿もありました。
このように給付金の利用に関しては、ネット上では二極化が進んでいるようにも見受けられました。しかし実際には、特に買い物はせず、貯金にまわすという人も多いと考えられます。物流への負荷が予想される
外出自粛による影響で、オンラインショッピングの需要が増加する中、懸念材料は「物流への負荷」についてです。オンラインショッピング増加により、「物流業界の業務量が増加」「配達遅れやトラブルの増加」「人材不足」などの問題が起こることが予想されます。 また給付後の急激な物流の増加により、通常業務が立ちゆかなくなる懸念もあります。
事実、新型コロナウイルスの影響により、トイレットペーパーの買い占めが起こった際、物流の遅延により、店頭から在庫が消えてしまう事態まで起こりました。 今回の給付による物流の増加も、このような店頭の在庫不足を招く可能性が考えられます。
給付前から影響及ぶ可能性も
Twitter:葛見さわ@滝壺紀行 さん @kuzumi_sawa による投稿
SNS上では、給付前から10万円の給付を見越し、すでにオンラインショッピングを利用したという投稿もありました。今後は、さらにオンラインショッピングの利用が増加することになるでしょう。
宅配サービスは配送量増加、一方で減少のBtoB業者も
新型コロナウイルスの感染拡大により、すでに宅配サービスに影響が出ている例もあります。
東都生活協同組合は、組合員に食品や日用品を届ける宅配サービスを行っています。現在こちらに組合加入希望者が殺到し、昨年に比べ、一日の発送量が1.4倍になっているといいます。急激な注文数の増加に対し、配達員の残業や一日のトラックの稼働回数を増やして対応していますが、それでも配送の遅延等のトラブルが起こっています。一方で、いわゆるBtoBの配送を請け負っている業者の中には、取引先の企業が休業することで配送量が減っているところもあります。また、以前までは主に企業を取引相手とした配送を行っていた業者の間では、外出自粛による配送需要の増加を受けて、新たに個人向けの宅配サービスを開始する動きもあります。
国もこの物流需要増加に対応すべく動いており、国土交通省は5月13日までタクシーの貨物配送を特例的に認めると発表しました。これは外出自粛により飲食店においてデリバリー需要が高まっていることや、タクシー業界で利用客が減少していることを受けての特例措置ということです。
このように外出自粛や10万円給付による影響で物流が崩壊しないよう、各所で対策が講じられています。
アメリカではすでに給付開始
アメリカでは新型コロナウイルス感染拡大にともなう景気対策として、すでに銀行口座への現金給付が始まっています。
アメリカの給付は、日本と異なり、年収で支給額に変動があります。年収7万5,000ドル未満は最低1,200ドル(約13万円)の給付、納税申告を共同で行う夫婦の場合、合算した年収が15万ドル未満は2,400ドル、17歳未満の子供がいる家庭は、子供1人につき500ドルが加算されます。
アメリカの給付申請は、手続きが必要ありません。納税記録を確認したIRS(米内国歳入庁)により支払い手続きが進められます。アメリカではこの現金支給による経済効果も期待されています。
米Amazonは計17万5千人を追加雇用
そんな中、以前から外出制限による需要が増えた米Amazonは新たに7万5,000人の追加雇用を発表しました。雇用目的として、新型コロナウイルスの感染拡大による「生活必需品の配送増加」対策のためとしています。
先月16日にも10万人の追加雇用を発表した米Amazonは、これで合計17万5,000人を追加雇用することになります。新型コロナウイルスの影響によるAmazonの利用者増加は、想像を上回る規模となっており、今後、日本でも同じように需要が高まることが見込まれます。
現段階では米Amazonの追加雇用と現金給付の関係性は不透明で、給付によりAmazon利用者が増加したとはいえません。
しかし、日本より先に現金支給がされたアメリカの今後の動きは、日本にとって参考になるでしょう。今後のアメリカ国内の影響に注視すべきといえます。
通販利用で経済貢献/新たな商機を掴む試みを
新型コロナウイルス感染拡大を受けての外出自粛要請により、いわゆるBtoCの配送サービスは需要が高まっています。一方で、この需要の高まりを受けて新たに企業が参入するという例も出てきています。そのため、需要増加に耐え切れず物流が崩壊するということは考えにくいでしょう。
現在の状況下で個人としてできることは、外出自粛をしながら飲食店のデリバリーやオンラインショッピングを利用して経済に貢献することです。その際、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン販売を開始した事業者から商品を購入するのもよいでしょう。
事業者としては、オンラインで販売できるような商品の準備・開発など、できることを見つけて商機を掴むことが重要です。例えば外出自粛の影響で実店舗での売り上げが落ちたアパレル業界では、消費者のオンラインショッピング需要が高まり、オンラインでの販売が好調です。
オンラインショッピングの市場は今後も成長し続けると見込まれており、今から参入しておくことで、新型コロナウイルスの流行が終息したあとの長期的な売り上げ増加にもつながるでしょう。
<参照>
FASHIONSNAP.COM:新型コロナ感染拡大から10万人雇用した米アマゾン、新たに7万5000人を追加募集
NHK:タクシーで食品配送可能に 利用者減少受け 国交省が特例措置
総務省:7月9日から外国人住民に係る住民基本台帳制度がスタートします。
ニューズウィーク日本版:アメリカでコロナ不況対策の現金給付始まる、4人世帯で3400ドル
ネットショップ担当者フォーラム:店頭売上が大幅減のアパレル企業、消費者のネットシフトでECは堅調に推移[新型コロナの影響]
毎日新聞:外出自粛で宅配サービス大忙し 東都生協「注文多過ぎて異常事態です」
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】