タグラインとは、企業理念やコンセプトなど、顧客に伝えたいメッセージを簡潔に伝えるための言葉です。消費者などに対し、自社の思いを“一言”で表したフレーズですで、テレビCMなどの最後のシーンに挿入されていたり、企業のロゴマークに隣接して書かれていることもあります。
タグラインを効果的に活用することで、ブランドの持つイメージや企業の理念を明確に表現できます。
本記事では、このタグラインの意味や、キャッチコピーとの違いや、企業の事例、ブランディングには欠かせない効果的な作成方法を紹介します。
タグラインとは
タグラインとは、企業、商品、サービス、ブランドなどが持つ特長を簡潔に伝えるための文言のことを指します。
タグラインはキャッチコピーと混同されがちですが、互いに異なる役割を持ちます。双方の特性を理解して場面ごとに適切なものを選ぶことで、より企業のブランドを明確化できます。
ここでは、タグラインの持つ役割やキャッチコピーとの違いについて紹介します。
タグラインの意味
タグラインの意味は「企業から顧客に伝える簡潔なメッセージ」。
Webサイトではロゴのすぐ下や横などに記されていることが多く、誰にでも分かりやすい平易な言葉で15字前後のものが理想的だとされています。
タグラインの例
・「一瞬も一生も美しく」(資生堂)
・「カラダにピース。」(カルピス)
・「ココロも満タンに」(コスモ石油)
・「お口の恋人」(株式会社ロッテ)
CMでよく耳にするので、頭にの残りやすいですよね。
タグラインとキャッチコピーとの違い
タグラインに類似した役割を持つ文言として、キャッチコピーがあります。
キャッチコピーはスローガンとも呼ばれ、様々な商品やサービスで活用されタグラインよりも一般的です。
タグラインが企業の持つ理念や商品の普遍的な価値を打ち出したものであるため、不変かつ核心的なフレーズであるのに対し、キャッチコピーは流行や時代背景に合ったものをその時その時で採用し、消費者の心に強く訴求する柔軟に変化するフレーズである点が挙げられます。
タグラインとキャッチコピーを上手く使い分けることで、シチュエーションごとに表したい特長や理念を分かりやすく消費者に伝えられます。
中にはタグラインとキャッチコピー両方を兼ねるような文言を採用している企業も存在します。
タグラインの役割
タグラインとロゴの位置関係を見てみると、ロゴは視覚に訴えかける役割を持ち、タグラインは言語に訴えかける役割を持っています。
インパクトのあるロゴにタグラインを添えることで、更に消費者の興味を引き込みやすくなるなどの効果が期待できます。
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企業のタグラインの事例4選
実際にタグラインを採用している企業はどのような文言を用いているのか、いくつかの企業を取り上げて、タグラインの意味を解説します。
ここでは、日経BPコンサルティングにより実施された「ブランド・ジャパン2019」にて、ブランドランキング上位に入賞した日本企業のタグラインを紹介します。
「おいしい、の その先へ。」
画像参照:https://www.nissin.com/jp/
日清食品は「おいしい、の その先へ。」というタグラインを採用しています。
これには、今の「おいしい」を超えていくという日清食品の理念が込められています。「世界食」となったインスタントラーメン。そのパイオニア企業である日清食品は、「おいしい」の追求だけでは終わりません。今まで以上に「安全・安心のおいしさ」「信頼のおいしさ」を追求していく想いも込められています。
「自然、当然、無印」
画像参照:https://www.muji.net/message/index.html
無印良品は、「自然、当然、無印」というタグラインを採用しています。これには、自然からもたらされるものの快適さ、肌触りや着心地のよさを感じながら、自分らしく暮らせることを大切にしているという無印良品の理念が込められています。
「お、ねだん以上。」
画像参照:https://www.nitori.co.jp/
ニトリのモットーは、安くても高品質な商品を提供すること。「値段」以上の「品質」がありますよという思いを伝えるタグラインですよね。
英語表記のタグライン4選
中には英語表記のタグラインを採用している企業もあります。
「Inspire the Next」
日立製作所は「Inspire the Next」というタグラインを用いています。Inspireは「精神、意識を高揚させる」「元気づける」という意味の単語です。そして「Next」の右上に赤く伸びている線は「Inspire Flash」と呼ばれ、日立がさらに伸びていくという姿勢や、新しい時代へと進む意思の強さを象徴しています。
「make it possible with canon」
キャノンは「make it possible with canon」というタグラインを採用しています。設立当初から世界進出を視野に入れていたことがタグラインにも現れています。
「FUN TO DRIVE, AGAIN」
トヨタは1984年から1987年にかけて企業スローガンに「FUN TO DRIVE」を使っており、それに「AGAIN」をつけて2011年に新たなスローガンとしました。クルマ本来の楽しさに加え、「つながる」や「未来のクルマ社会」も含めた新しい時代の「クルマの楽しさ」をお届けしたいという決意が込められています。
「Changes for the Better」
三菱電機は「Changes for the Better」というタグラインを採用しています。三菱電機グループは常に良いものを目指し変革していくという目標や姿勢を意味しています。
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認知度や共感性で高い評価を得たタグライン5選
ここでは、企業のタグラインに対するイメージ調査で対象となった5つの企業のタグラインを紹介します。
- ミツカン「やがて、いのちに変わるもの。」
- ライオン「今日を愛する。」
- サンリオ「Small Gift Big Smile」
- JTB「感動のそばに、いつも。」
- LIXIL「Link to Good Living」
こちらはトライベック・ブランド戦略研究所のブランド戦略通信が、2017年3月29日から同30日にかけて、全国20代から50代のインターネットユーザーを対象に、企業のタグラインに対する感想を調査したものです。
この中で最も認知度が高かったのはライオンで、「覚えやすい」「分かりやすい」という項目で高い評価を得ていました。
また、ミツカンとJTBは共感性で高い評価を得ており、ミツカンは独創性でも高い評価を得ていました。
ブランディングには欠かせない!タグラインの作り方
実際に自社でタグラインを製作する場合に、どのようなことに気をつければ良いのか、タグラインを製作する際に心がけたいポイントについて解説します。
1. 誰に何を伝えるかを明確に
まず、タグラインを見て欲しい対象は誰なのかを考えます。
相手が顧客や取引先であれば、自社の品質や理念に関するメッセージを、従業員向けであれば感謝の言葉を、外国人向けであれば英語かつグローバル性を打ち出したメッセージにするなどが考えられます。
2. 顧客が得られるものを想起させる言葉を
抽象的なタグラインでは、タグラインに込めたメッセージが必ずしも全員に伝わるとは限りません。
タグラインは顧客が得られるものを明確に想起させられる文言を心がけ、自社の商品やサービスにより顧客の問題が解決できるということを分かりやすく伝えられると良いでしょう。
3. 使用する言葉は簡潔に
タグラインに使う言葉は、簡潔でリズミカルなものが良いでしょう。
ブランドロゴの下に表記する場合、長いタグラインでは直感で理解できません。
そのため顧客に覚えてもらいにくいということも考えられます。
分かりやすい簡単な単語を組み合わせ、韻を踏んでいるような覚えやすいタグラインは多くの顧客に認知してもらえるでしょう。
タグラインでオリジナリティあふれるメッセージを伝える
企業のブランドを策定する際には、同時にタグラインやキャッチコピーを考案しておくことで、より企業の理念や特長を明確に打ち出せます。
タグラインを製作する際には対象を明確にすることとわかりやすい言葉を使うことを心がけ、同業企業のタグラインなども参考にしつつオリジナリティあふれるメッセージが作れると良いでしょう。