新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、各地では外出自粛の動きが広まっています。民泊を運営している事業者にとって、新型コロナウイルスの影響は多大なものとなっています。こうした中で、営業を続けるのにあたって、感染のリスクや対策について、不安となる人も多いでしょう。
この記事では、民泊を営業する際のマスク着用等の感染防止対策や、新たな生活様式の中で生き残るための運営方法について紹介します。
民泊を取り巻く環境
現在の民泊を取り巻く環境では、新型コロナウイルスによる影響が大きく、民泊だけでなく観光業界全体で大きな打撃を受けています。その中でも、民泊では現在どのような状況に置かれているか、紹介します。2018年に「民泊新法」が成立
民泊とは、一戸建ての住宅およびマンションの一室等を貸し出し、主に旅行者や出張者をターゲットとして宿泊サービスを提供することを指します。ここ数年において、空室を短期間で提供したい人と、宿泊希望者を、ウェブサイトを通してマッチングするビジネスとして、急速に成長しています。2018年に制定された「民泊法」では、新たに義務付けられたことがいくつかあります。民泊を運営する場合、都道府県へ届け出が必要である点や、衛生確保などが義務化されました。さらに、民泊と宿泊希望者をマッチングするウェブサイトも登録制となり、観光庁による登録が義務化されました。
これにより、違法な民泊サービスを斡旋が禁じられたほか、届け出がされていない民泊を非表示とすることで、利用者が安心して民泊を選べるようになりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響
民泊における海外からの宿泊者は、2020年2月から3月までの1か月間で7万9,225人であり、これは前回の調査と比較して37.8%も減少しています。インバウンドによる追い風を受けて成長していた民泊で、大きな打撃となっていることは、民泊住宅戸数の調査結果からもわかります。観光庁によれば、住宅宿泊事業法に基づいて報告された届出件数は、令和2年5月11日時点において、25,931件でした。また、そのうち事業廃止件数は4,755件であり、民泊新法が施行されて以来、初めて廃止件数が新規開設を上回っており、新型コロナウイルスによる影響を受けていることがわかります。
Airbnbは従業員4分の1を削減
アメリカの大手民泊仲介プラットフォームであるAirbnbは、2020年5月5日に、全世界の従業員約7,500人の25%にあたる約1,900人を削減することを明らかにしました。理由としては、新型コロナウイルスの影響により、利用客が大幅に減少し、2020年における売上高が、前年の50%以下に減少する見通しとなっているためであると考えられます。近所の物件や安価な物件のニーズが高まると予想しており、事業の見直しも検討しています。
同社のCEOは、「旅行業界が回復しても、これまでとは違った形になる」と指摘しています。この言葉からも、新型コロナウイルスによる世界的な民泊事業への打撃がうかがわれます。
民泊におけるマスク着用義務
新型コロナウイルス感染の予防策として、店員のマスク着用を義務付けている飲食店や小売店が増加しています。民泊におけるマスクの着用に対して、マスクの着用を義務付けるべきか、また、それに対して世間ではどのような印象を受けているか紹介します。旅館・ホテルと同等の衛生管理が必要
旅館等の宿泊施設における、新型コロナウイルス感染症の対策については、厚生労働省から「旅館等の宿泊施設における新型コロナウイルス感染症への対応について」が通知されました。その中には、住宅宿泊事業法の届け出住宅における新型コロナウイルス感染症への対応についても、同様の対応を取ることが望ましいとされています。
具体的な内容としては、宿泊者名簿の正確な記載や、宿泊者への新型コロナウイルスに関する正確な情報提供が含まれており、感染経路の把握が容易に行えるような対策がとられています。ほかにも、従業員の健康管理の徹底や、感染が判明した宿泊者および従業員への対応が盛り込まれています。
その中には、飛沫の飛散を防ぐ目的で、感染が疑われる宿泊者にはマスクの着用を求めることが義務付けられています。
大多数の人がマスク着用に肯定的
以前までの接客業では、マスクの着用が事実的に禁止されているところがありました。株式会社Wizleapでは、新型コロナウイルス感染症の予防対策として、接客業をしている人のマスク着用をどう思うか、といったアンケートを実施しました。「いいと思う」と回答した人が87.9%、「どちらかと言えばいいと思う」が8.9%となっており、96.77%の人が「いいと思う」と回答しています。回答の中には、「感染拡大を防止するため、むしろマスクを積極的に着用すべき」、「感染症対策であれば、仕方がない」といったものが寄せられています。
新型コロナウイルス感染症が拡大している状況では、マスク着用に大多数の人が肯定的に捉えています。
出典元:株式会社Wizleapによる接客業とマスク着用に関する意識調査
コロナ禍での民泊の活用方法
現在、不要不急の外出を控えるように、厚生労働省や地方自治体から要求されています。民泊においては、観光客の宿泊目的での利用が見込めないため、新たな民泊の活用方法が課題となっています。どういった活用方法があるのかについて紹介します。軽症者や海外一時帰国者向けの宿泊施設として解放
ホテルや民泊の運営代行業を実施している株式会社IKIDANEでは、海外からの帰国者や自主隔離をする顧客をターゲットとして、14日間以上の宿泊予約の受付を開始しました。新型コロナウイルスによる非常事態宣言が発動されたことを受け、一時的な宿泊先を探している顧客や支援を必要としている団体などの救済支援の一環として開始しました。
同社が業務委託契約をしている民泊施設を活用しており、キッチン、洗濯機および冷蔵庫などといった、生活必需品が一通り揃えられた部屋を用意しています。新型コロナウイルスによって、14日間以上の隔離が必要な場合の居住施設として、1名から10名程度までの人数を受け入れられる施設を用意しています。
民泊が「コロナ離婚防止相談窓口」に?
宿泊スタートアップ「カソク」では、「コロナ離婚防止相談窓口」を4月3日から開始しました。このサービスは、新型コロナウイルス感染症対策によって、外出自粛を余儀なくされている中で、在宅時間が増えたことによる、夫婦の関係性が悪化しないようサポートすることを目的としています。法務相談や離婚相談の実績を残している「ジーテック」と協働して、「一時避難場所」を提供し、「コロナ離婚相談」の対応を行っています。「一時避難場所」の提供では、「カソク」が管理している民泊の500室を提供することで、夫婦が距離を置けるように居場所を提供しています。
家具、家電およびWi-Fiがついており、最短で1日から貸出しています。
衛生管理を徹底しコロナ禍を生き抜く民泊営業を
利用客の減少により、新型コロナウイルスが流行する前と比較して、経営が大きく減少している民泊事業は少なくありません。こうした状況の中で、民泊を運営するにあたって、衛生管理は必要不可欠なものとなります。マスクの着用も顧客からは好感度を得ているため、従業員や利用客を感染症から守るためにも、着用を義務付けた方が良いでしょう。
旅行客や出張者をターゲットとした営業から、新型コロナウイルスの影響で、一時的に生活できる場所を求めている人へターゲットにすることで、ニーズに合った事業展開ができます。衛生管理を徹底した上で、コロナ禍を生き抜く民泊営業が、これからの時代において重要となるでしょう。
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