石川県発祥のドラッグストアチェーン「クスリのアオキ」は、地域に根ざした薬局を謳い、調剤薬局を併設したドラッグストアの全国展開により支持を集めてきました。
クスリのアオキは2021年2月20日時点で全国に676店舗を構えています。
また、2020年5月21日から2021年2月20日の売上高は2,268億7,500万円となり、前年同期比より2.3ポイント増加しています。
新型コロナウイルスの影響により多くの店舗型事業者が損失を計上している中、クスリのアオキでは主にスーパーマーケットを意識した生鮮食品の取扱いを強化することで増収を維持しています。
今回の記事では、クスリのアオキが採用している生鮮食品の販売強化戦略について解説します。
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クスリのアオキとは?
クスリのアオキは、石川県に本社を構えるドラッグストアチェーンです。
1869年に開業した「青木二階堂薬局」が起源で、1986年に薬局からドラッグストアチェーンへと転向しました。
2020年5月21日から2021年2月20日の期間に計46店舗を全国に出店し、全国600店舗を超える大型チェーンとなっています。
期間中の売上高は2,268億7,500万円(前年同期比2.3ポイント増)、営業利益は132億4,500万円(同19.8ポイント増)、経常利益は137億6,600万円(同21.3ポイント増)となっています。
新型コロナウイルスの影響により店舗型事業者が大きな打撃を受けている中、クスリのアオキは堅実に成長を遂げています。
もちろんドラッグストア業界はマスクなど衛生用品の需要増などで好調を維持する企業が多いようですが、その中でもクスリのアオキは営業利益や経常利益の好調が目立ちます。
ではそんなクスリのアオキは、どのような戦略を採っているのでしょうか。
クスリのアオキの戦略 生鮮食品の強化
クスリのアオキは商圏人口1万人以下の小型商圏をターゲットにした「食品強化・調剤併設型ドラッグストア」を目指すべく、「ドミナント」「専門性」「利便性」を軸とした戦略「アオキトリプルストラテジー」を採用しています。
「ドミナント」の面では、ある地域に集中的に出店することでその地域での認知度を高め、地域内におけるブランド力を強化しています。
「専門性」の面では、地域医療の窓口となるべく調剤薬局の併設を進めており、2020年5月21日から2021年2月20日の期間には合計57調剤薬局を新たに開設しました。
「利便性」の面では、主事業である薬品の販売を続けつつ、生鮮食品をはじめとする食品の販売を強化する戦略を採用しています。生鮮食品を外部の事業者に委託することで店内における販売を実現しているということです。
これにより、生活必需品が一回の買い物で手に入る「ワンストップショッピング」ができる店舗を構築し、「ついで買い」需要を取り込む戦略なのです。
この戦略は2018年には既に採用されており、2020年5月21日から2021年2月20日の期間の食品や生活用品を含む「ライフ」区分の販売実績構成比は62.3%と、医薬品を含む「ヘルス」区分の12.0%、化粧品を含む「ビューティ」区分の15.8%を大きく上回っています。
クスリのアオキは、同じく生鮮食品販売を強みとするスーパーマーケットを競合として捉えているようです。
クスリのアオキのライバルはどう対抗?
このように食品販売を強化しているドラッグストアチェーンは、クスリのアオキ以外にもいくつか存在します。
「ついで買い」を喚起する戦略が、ドラッグストア業界で広まりつつあるようです。
コスモス薬品 加工食品の外部委託・プライベートブランド
福岡県に本社を構えるコスモス薬品は、ドラッグストアチェーン「ディスカウントドラッグコスモス」を全国に出店しています。
コスモス薬品では、クスリのアオキと同じく加工食品を外部の事業者に委託することで食品類の取扱いを実現しています。
2020年6月1日から2021年2月28日の期間における「一般食品」区分の売上構成比は57.9%となっており、食品類が売上げを支える構造が確立されています。
また、コスモス薬品では「ON365」や「おいしい惣菜」などの食品プライベートブランドも展開しています。
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ゲンキー 生鮮食品の徹底したSPAを実現
ゲンキーは、福井県に本社を構えるドラッグストアチェーンです。2021年4月時点では北陸、東海地方に合計322店舗を出店しています。
クスリのアオキやコスモス薬品が生鮮食品を外部に委託していることに対し、ゲンキーでは自社の生鮮食品拠点(生鮮プロセスセンター、生鮮PC)を活用し、製造から販売までを自社で統括するSPAを採用しています。
また、ゲンキーではコスモス薬品と同じく「わが家の美味しさ」や「賢の食卓」などのプライベートブランドを展開しています。
クスリのアオキのこれから
クスリのアオキでは、石川県の「ナルックス」や「サン・フラワー・マリヤマ」、茨城県の「スーパーマルモ」、京都府の「フクヤ」など、スーパーマーケットを次々と買収しています。
2020年12月には「ナルックス」の元店舗を「スーパーのアオキ」として新装開店させるなど、スーパーマーケット業界への本格的な進出をはじめました。
コスモス薬品やゲンキーでもスーパーマーケットを意識した新規店舗の出店が進んでおり、ドラッグストア業界がスーパーマーケット業界へと攻勢をかける様子が見て取れます。
各ドラッグストアチェーン企業が差別化を狙いどのような戦略を取るか、今後の展開にも注目すべきでしょう。
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<参考>
クスリのアオキ:ごあいさつ
ーーアオキの戦略力
株式会社クスリのアオキホールディングス:決算短信
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