ショップアロング調査とは市場調査の一種で、調査対象となる人が実際に買い物する様子を観察し、調査対象者の意識、心理、行動の実態を探る調査です。
ショップアロング調査では、顧客の行動と心理の両方を把握でき、その結果は施策の選定や改善に役立てることができます。
この記事ではショップアロング調査の特徴をはじめ、活用事例を含めた調査方法について解説します。
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ショップアロング調査とは
ショップアロング調査とは、消費者の行動のうち、購入の検討から購入までの行動を観察し、その後インタビューを実施することで購買行動時の心理状態を探ることです。ショップアロング調査は定性調査に含まれます。定量調査から知ることのできる数字だけでは探ることのできない調査対象者の意見や行動を探ることが可能です。
調査はインタビュアーが調査対象者に付き添いながら買い物して、ヒアリングしながら調査することもあります。顧客観察調査、アカンパニードショッピングなどとも呼ばれています。
ショップアロング調査の特徴
ショップアロング調査の特徴は実際に営業をしている店舗やWebサイトを使って観察調査を行い、対象者の生の声を聞けることです。ここでは、その特徴について詳しく解説します。
1. 店舗・Webサイトにおける購買行動の実体を知れる
実際に実店舗内での顧客の行動やWebサイトを利用する人の手元の動作を調査するため、消費者の購買行動の実態を知れます。対象となるのはコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストアなどで、どんな店舗でも調査することが可能です。
売り場レイアウトや陳列方法、商品価格など、消費者の本音や反応が分かります。
最近では、実店舗だけでなくオンラインショッピングの購買行動の把握にも活用されています。
2. 映像データを用いて消費者の行動の細かい部分まで分析
行動の全てを写す映像データを用いることで、購買行動時の目の動きなどのより細かな動きを分析できます。また、オンラインショッピングの行動観察では対象者の手元の行動に着目することで顧客の使いやすさに寄り添った購買までの流れを知ることが可能です。
パソコンとスマートフォン共にボタンを押すタイミングやスクロールをするタイミングや速さなどを観察することで調査できます。
ショップアロング調査の手順
ショップアロング調査は課題の洗い出しから始まり、調査対象へのインタービューまでのステップを踏むことで調査を進められます。インタビューをするだけではわからないことも行動観察することで判明します。
1. 課題の洗い出し
まず、店舗が抱えるマーケティング課題を洗い出します。たとえば、顧客から商品の売り場をよく聞かれるなど、売り場レイアウトに問題を抱えている場合があります。店舗の課題によって調査方法やどこに着眼するかを検討します。
2. 調査設計
調査日に向けて日程などを決めます。調査日時、調査場所、調査対象者、インタビュアー、調査項目について計画を立てます。また、調査対象者やインタビュアーなど、人員の確保も進めていきます。
3. 行動観察の実施
調査対象者の買い物に同行し観察します。さらに動画や写真などの映像データによる撮影することでより効果的な深い分析することが可能です。また、行動観察をしながらインタビュアー、書記、カメラマンが調査対象者に付き添い、店内で買い物するのと同時にヒアリングすることもあります。
この場合、調査者は離れた場所からモニタリングします。買い物しながらヒアリングすることでより生の消費者の声を聞けます。
4. インタビュー
調査対象者が買い物したあとにインタビューを実施します。店舗が抱えるマーケティング課題をもとに、あらかじめ質問項目を考えておくことでスムーズに質問ができます。それによって調査対象者から有益な話を聞くことが可能になります。
ショップアロング調査の活用例
ショップアロング調査は商品を購入する際の決定要因を探るために有効な手段です。活用例としてはPOPやクロスマーチャンダイジングなど、商品同士の相乗効果で販売を向上させることなどがあります。
具体的な例を挙げるとおつまみとビールなど、用途は同じですが種類の違うものを近くに置くことで購買意欲が上がるという事例について、効果を検証することが可能です。
そのため、商品の陳列を考える際にも参考になります。
市場調査をする上での注意点
市場調査をする上でデータの取扱いに注意が必要です。もし、仮説や期待していたデータと異なる結果が出た場合は、目的を明確にすることで解決します。ここでは、調査の注意点について解説します。
目的を明確にし、データをそのまま使う
市場調査をする際に、何のために調査をするのかという目的を明確にしておく必要があります。また、市場調査の結果は正確性が大事です。自店にとって推測とは異なる結果やデータが出てくることもあるでしょう。こうしたデータは、マーケティング施策に活用することで自社の売上を上げてることが期待できるものです。
隠ぺいや改ざんはせず、ありのままの調査結果を活用することが大切です。
事前に仮説を立てる
調査では現状を確認するだけでなく、立てた仮説を検証をすることが大切です。仮説を持つことによってより深い洞察が可能になります。市場調査をする前にあらかじめ仮説を立てた上で調査をし、結果との相違がないか検証していきます。
たとえば、売れ行きのよくない商品の問題点に対して、仮説を立てます。そして、仮説が正しいのかどうか調査対象者にヒアリングすることで分析をします。
もし、仮説が正しくなかった場合は改めて仮説を立て検証します。仮説と検証を繰り返して商品の問題点を探し出します。
コストや時間も考慮して調査方法を選ぶ
調査方法によってコストや調査時間は異なります。必要なコストと時間を想定してから調査方法を選びましょう。アンケート調査などの定量調査は短時間で大量のデータを得られますが、ショップアロング調査などの定性調査は時間がかかる上に一度に調査できる対象者の数も少なくなります。
しかし、定性調査は定量調査ではわからない消費者の行動実態を知れるというメリットがあります。多角的に調査をすることも有効な手段です。
ショップアロング調査では消費者の購買行動の実態を深く探れる
ショップアロング調査は調査時間やコストが必要で、一度に調査できる対象者の数も多くありません。しかし、購買行動の観察調査とヒアリングによる丁寧で細かい調査ができます。
そのため、定量調査ではわからない消費者の生の声を聞くことが可能です。このように、顧客の細かい行動や行動の意図を掴むにはショップアロング調査が有効でしょう。
市場調査にはアンケート調査などの定量調査もあるため、調査目的やコストに応じて自店に合った調査をすることで、効果的な販促に活かせます。
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