5月はコロナ禍による緊急事態宣言の範囲拡大、さらに期間の延長が決まりました。休業要請などが一部緩和される部分は出ていますが、依然として厳しい状況は続いています。
本記事では、5月の小売業界の動向についてまとめます。
5月の小売業界動向
5月は前月から続く新型コロナウイルスの拡大により、緊急事態宣言が延長されるなど小売業界にとっても厳しい月となりました。
日本経済新聞の報道によれば、三越伊勢丹ホールディングスなど大手百貨店5社が発表した5月の売上高は、全社が前年同月比で増収となりました。前年同月(2020年5月)、店舗を休業した反動で伸びたものとみられます。
一方2019年5月比では各社とも減少しており、厳しい状況が継続しているようすだということです。
オンライン×小売でコロナ禍を乗り切る取り組み
厳しい状況が続く中、コロナ禍での消費傾向に対応するべく、小売業の中には新たにVRやライブコマースなどに取り組む企業が出てきています。
仮想空間上に店舗をオープン
小売業において多く見られるのは、VRなどを活用した仮想空間上の店舗の展開です。
例えば伊勢丹新宿本店では、スマホアプリ「REV WORLD」内に「VR伊勢丹新宿本店」を開業しています。これはアバターを操作することでアプリ内に設置された架空の空間を移動し、そのままECサイトを通した商品購入ができるものです。
VR空間で行われる世界的なイベントである「バーチャルマーケット」にも出展されました。
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伊勢丹新宿、VRアプリで「仮想の店舗」展開。コロナで苦境の百貨店業界…新しい風起こせるか
他にも、KDDIと一般社団法人渋谷未来デザイン、一般財団法人渋谷区観光協会による「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」では、渋谷区公認の配信プラットフォームとして展開されていた「バーチャル渋谷」などがあります。
これは仮想空間で渋谷の街を再現したもので、バーチャル店舗の出展などが行われています。
2021年5月には「原宿」エリアが拡張され、アパレルショップである「atoms」が期間限定でバーチャル店舗を出店するなどしています。
<参照>
KDDI:渋谷区公認の仮想空間「バーチャル渋谷」を拡張、「原宿」新エリアを5月25日から提供開始
無料オンラインツアーでライブコマース
ECの一形態として、ライブコマースも注目されています。
えひめ南予きずな博実行委員会は、「デジタル愛媛ツアー」としてオンラインツアーを開催しています。
愛媛県の文化を紹介するオンラインツアーとともにライブコマースを実施し、ガイドが紹介した食べ物や商品などをその場で購入することができます。
ツアーへの参加は無料で、ECによる売上によって利益を確保することを目的とした取り組みです。
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オンラインツアー×ライブコマースで生産者応援!デジタル愛媛ツアーの魅力とは
5月に発表された小売業関連のデータ紹介
ここでは、5月に発表された小売業に関するデータを紹介します。
JCB、ナウキャストが「JCB消費NOW」による2021年4月の消費動向を発表
JCBとナウキャストがクレジットカードの利用情報をもとに作成する消費動向指数「JCB消費NOW」によると、2021年4月の小売業は前々年同期比で5.4%のプラスで、前月より3.5ポイント改善しました。
業態別では、「百貨店」が前々年同期比-12.4%で前月より7.5ポイント増、「スーパー」は前々年同期比15.0%でこれも前月から増加するなど、依然として厳しい状態ではあるものの回復傾向が見られます。
「コンビニエンスストア」は前々年同期比で13.6%と、前月からほぼ横ばいとなりました。
▲小売の「JCB消費NOW」推移:JCB・ナウキャスト<参照>PRTIMES:3回目の緊急事態宣言が発出された2021年4月の国内消費動向指数、「旅行」は大幅減も「交通」は増加
各業態4月の売上動向
ここでは、各業態における売上動向をまとめます。特にショッピングセンター、百貨店は前年同月(2020年4月)に休業する店舗が多かったことから、反動で大きく伸長する傾向がみられます。
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4月のチェーンストア販売概況(日本チェーンストア協会)
:チェーンストアでの総販売額は1兆815億円、前年同月比6.0%増 -
4月度のコンビニエンスストア統計調査月報(日本フランチャイズチェーン協会)
:コンビニエンスストアにおける既存店ベースの売上高は8,425億400万円、前年同月比6.6%増 -
スーパーマーケット販売統計調査資料 2021年4月実績(オール日本スーパーマーケット協会)
:スーパーマーケットにおける総売上高は9,499億7,517万円、既存店前年同期比6.0%減 -
4月のショッピングセンター販売状況(日本ショッピングセンター協会)
:ショッピングセンターの売上高は前年同月比141.2%増 -
4月の全国百貨店売上高概況(日本百貨店協会)
:全国の百貨店の売り上げ総額は約3,178億円、前年同月比167.0%増
博報堂が「来月の消費予報・6月」を発表
博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は5月26日、「来月の消費予報・2021年6月」を発表しました。
それによると、6月の消費意欲指数は45.2点で、前月比2.4ポイント減、前年比は-2.6ポイント減と、ともに低下しました。コロナ禍の長期化と感染者数増がマイナス材料となり、消費意欲が例年低下する6月のにおいても過去10年の最低値となりました。
小売関係をカテゴリー別に見るとファッションへの消費意欲が、女性を中心に前年比で大幅に低下していることが見られます。その他書籍などのエンタメ、レジャー、IT機器などに消費意欲の減退が見られます。
アンケート結果にも、「緊急事態宣言で外に出にくいので、買い物を楽しめない」「コロナで出かけられないし、そこまで急いでほしいものもない」などの、ネガティブなものが目立っています。
緊急事態宣言の再延長もあり、今後も小売消費に関して厳しい状況が続くことが予想されますが、オンラインツアーやバーチャル店舗などコロナ禍ならではの取り組みも広がり始めています。
新たな販売チャネルや有効な戦略に繋がるニュースを見逃さず、チャンスとしていく姿勢が必要だといえるでしょう。
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