楽天が1月27日に公開した「2021年 ポイントに関する調査」によれば、消費者の3割以上がポイント失効の経験があり、7割以上が2〜5種類のポイントを活用していることが明らかになりました。
本調査をもとにポイントの利用動向や、ポイント還元による割引と現金値引きによる割引のどちらが消費者にとってお得、もしくは店舗にとって戦略的なのかを改めて見ていきます。
ポイントサービス複数利用はあたりまえ 2〜5種類活用が一般的
ポイントカード・ポイントサービス(以下、ポイント)の利用有無については、96.8%の人がポイントを利用している、という結果に。本調査が20歳~60歳の男女にしたインターネット調査であることも影響していそうですが、消費者の中でもボリュームゾーンとなる全ての性年代でポイントが浸透していることがわかります。
利用種数については「2〜3種類」(36.5%)と「4〜5種類」(35.7%)の合計で、2〜5種類のポイントを利用している人が7割以上を占めました。
楽天はこれを「様々な店舗やサービスで新たなポイントカードの作成や提示を求められることなどにより、複数のポイントカードやサービスを利用している人が多い」と分析しています。
3割以上の消費者がポイント失効経験あり
2020年に失効させてしまったポイントがあるか、という質問については「ある」が33.8%、「失効させたかどうかわからない」が19.3%、「ない」で47.1%という結果に。
「ある」と「わからない」を合計すれば過半数がポイントを管理しきれていない状況であることがわかります。これは前述の複数ポイントの利用に関連するものと考えられます。
店舗目線・消費者目線でみるポイントカード
ポイントによる還元は店舗や電子決済、クレジットカードなどの金融サービスが消費者の消費促進のために付与されているものです。同じく、消費促進に用いられるものとして「(現金)割引」がありますが、それぞれの違いはどこにあるのでしょうか。
先日口コミラボで解説した内容から抜粋して解決します。
そもそもポイント還元と現金割引の違いは?
ポイント還元と現金割引の大きな違いは以下の2つです。
- 実質割引率が異なる
- 実質割引を受けるタイミングが異なる
実質割引率については、例えば10%割引は実質的にも10%割引であるのに対して、10%ポイント還元の場合、実質割引はおよそ9.1%になります。また、実質割引が発生するタイミングが、10%割引が即時であるのに対し、10%ポイント還元は次回来店時(支払いするタイミング)まで延期されます。
なぜ実質割引額がポイント還元のほうが低いのか?などの詳細は以下の記事で解説しています。
10%割引 vs 10%ポイント還元 どっちが得!? 知らないと損する仕組みと店舗の戦略
多くの小売店や飲食店では、代金の割引やポイントの還元が販売戦略の一環として実施されています。そこで問題になるのが戦略として「割引」「ポイント還元にすべきか」どちらを選択すべきかです。「10%割引」と「10%ポイント還元」では、実際の割引率が異なり、また消費者にとってお得になるタイミングも異なります。そのため、プロモーションの観点から得られる効果は違ったものになります。今回は、一般的な事業における現金割引とポイント還元の違いについてわかりやすく解説し、それぞれの特徴について詳しく見てみます。...
どちらも消費者にとってはお得であり、店舗にとっても消費促進になるのですが、比較的割引のほうが消費者にとってお得で、ポイント還元は店舗など事業者にとってお得な仕組みとなっています。
ポイント還元と現金割引の使い分けはどうすべき?
消費者目線では、実際のところポイント還元か現金割引かを選択できるケースは少ないでしょう。そのため「どちらを選ぶべきか」を思考してもあまり意味がないでしょう。
一方、店舗や事業者目線では、戦略としてどちらかを選択することができます。さらに、それぞれで期待される効果が異なるため、何を目的とするかで判断が必要です。
現金割引はその場で値引きをすることで、消費者に当初想定よりも高いグレードの商品を購入してもらったり、もう一品購入してもらったりすることが効果として見込めます。
一方、ポイント還元の場合は、ポイント還元分お得に買えるという心理から販促効果がある他、実質的割引が2度目の来店時(消費時)になるので、消費者のリピーター化につながる効果が期待されます。さらに、前述の調査によればポイントを利用する消費者の過半数がポイントを失効させたり、失効しているかどうかわからない状況であることを考えると、実際のコストも現金割引よりもかからない可能性があることも、ある種メリットと言えます。
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