株式会社電通デジタルは、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に急速に進行しているリテール(小売)業界のDX支援のため、消費者の実態を調査した「リテールDX調査」の2021年度版を実施しました。
調査によれば、コロナ禍が収まった後、来店頻度が元に戻る理由は「実物を見て購入したいから」が63.3%、「様々な商品を比較して購入したいから」が40.0%でした。
また、生活者がセミセルフレジやモバイルオーダーといった非接触サービスに触れる機会が増え、デジタル化が進んだことが明らかとなっています。
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コロナ前後での店舗利用の変化とは?
まず、コロナの感染流行前後での店舗利用の頻度の変化とその理由について聞いています。
どの業態でも来店頻度は増加した人よりも減少した人が多く、最も減少幅が大きかったのは外食分野の6割でした。
コロナ前後での来店頻度、「行く回数減った」外食で6割弱
リアル店舗の分野別に、来店頻度について「行く回数が増えた」「行く回数が減った」「行く回数は変わらない」「わからない」とそれぞれ答えた人の割合です。
唯一、外食が「行く回数が減った」が最多の回答割合となり、55.5%と6割弱でした。百貨店は外食に次いで、35.2%の人が「行く回数が減った」と答えています。
その他の分野では、「行く回数は変わらない」が最多の回答割合となっています。銀行やコンビニエンスストア、ドラッグストアなどは「行く回数は変わらない」と答えた人が多数の割合を占めました。
一方で、すべての分野の中で「行く回数が増えた」と答えた人の割合が最も多かったのは、スーパーマーケットでした。
これは、コロナの流行で外食自粛が叫ばれていた中で、食材をスーパーマーケットで調達し、家で食事をする人が増えたことが要因と考えられます。
来店頻度が減った理由
来店頻度が減った理由の上位3位は、「人との接触を避けたいから」(68.8%)、「1度にまとめ買い(まとめて手続き)するようになったから」(28.9%)、「インターネットサービスの方が便利だから」(15.4%)でした。電通デジタルは、「いずれも感染を回避するための行動変化と捉えられる」と答えています。
1位の「人との接触を避けたいから」や「1度にまとめ買いするようになったから」はコロナの影響をまさに受けている理由と考えられるのに対し、オンラインショッピングなどの方が便利だからという回答は、DXを取り入れたことによる購買行動の変化を受けたものでもあると考えられます。
コロナ収束後はどうなる?
また、電通デジタルは「コロナ収束後」の来店頻度の変化についてもアンケートを取っています。
来店頻度が減った人、外食分野で約7割が「元に戻ると思う」
「Q.コロナ前とコロナ後で店舗に行く頻度に変化はありましたか。」という質問で来店頻度が、「行く回数が減った」と答えた人に対して、「コロナ収束後、来店頻度は変化すると思いますか。」と聞いたところ、多くの分野では「今のまま変わらないと思う」という答えが半数以上という結果になりました。
しかし、外食分野は唯一約7割の人が「元に戻ると思う」と回答しており、外食分野ではコロナ収束後に人が戻るであろうことを示唆しています。
リアル店舗に戻る理由「実物を見て購入したいから」
「Q.コロナ禍が収まった後、来店頻度が元に戻る理由は何ですか。(全業態平均TOP2/n=600 ※複数回答可)」という質問に対しては、「実物を見て購入したいから」が63.3%と最多の回答となりました。続いて多かった理由は、「様々な商品を比較して購入したいから」(40.0%)でした。
実物を見て購入することや、様々な商品を比較するというところに、リアル店舗のニーズがまだあると考えられます。
百貨店に戻る理由「非日常や店の世界観を楽しみたい」
分野別での理由の回答状況を見ると、百貨店ならではの回答理由が挙げられています。
百貨店でも、上位は「実物を見て購入したいから」などが挙がっていますが、4人に1人以上が「店の世界観、雰囲気を楽しみたいから」、「様々な商品との新しい出会いを期待しているから」などと回答しており、百貨店の世界観や雰囲気、さまざまな商品を出会えるなどのリアルな感覚が求められていることがわかります。
外食に戻る理由「店舗ならではの体験」を期待
外食に戻る理由の回答の上位を見ると、「店舗ならではの体験」を価値に見出していることがわかります。
特に、最多の回答理由として、上位から「店舗でしか食べることができないメニューがあるから」が56.6%と半数以上が回答しており、続いて「複数人で外食する場合は、店舗の方がコミュニケーションが楽しいから」が46.5%、様々なメニューとの新しい出会いを期待しているからが38.1%、「店舗の世界観、雰囲気を楽しみたいから」が31.0%、「店舗でのサービスに期待しているから」28.3%と、多くの理由が店舗だからこそできる体験やサービスを価値を感じています。
デジタル技術の利用状況、コロナでセルフレジ利用増加
店舗におけるデジタル技術の利用状況について、使ったことのあるデジタル技術と利用開始時期について質問しています。
「Q.利用したことがあるデジタルサービスは何ですか。また、いつから利用していますか。」に対して、最も利用したことがあり、そしてコロナ流行前から利用されているのは、オンラインショッピング(88.3%)でした。続いて、キャッシュレス決済も78.8%とコロナ流行前から利用されていることがわかります。
一方で、バーチャル接客やバーチャルフィッティング、サブスクリプションサービス、ライブコマースなどは8割近くの人が「利用したことが無い」と答えています。
「コロナ禍になって利用し始めた」サービスでの最多は、セミセルフレジの23.0%でした。セミセルフレジとは、商品登録のみ従業員が行い、顧客自身が精算機で決済するレジのことです。また、続いてモバイルオーダーの回答が16.8%と、省人化や非接触を目的としたサービスの利用が増加しています。
<参照>
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