サブスクリプションは、利用者が一定の料金を払うことで、製品やサービスを自由に利用できるサービスです。
日本国内でのサブスクリプション市場には、アパレル、食品、家財、住宅、語学、デジタルコンテンツ、化粧品、車やオンラインソフトなど、枚挙にいとまがありません。
この記事では、サブスクリプションの用語の意味や市場規模、サブスクリプションを展開するにあたってのメリットやデメリット、サービスの具体例について解説します。
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サブスクリプションとは?
サブスクリプションとは、一定の料金を支払うことで、製品やサービスを所定の期間だけ利用することができるビジネスモデルです。
従来は定期購読を指す言葉として認識されており、日本においては定期購読といえば新聞や雑誌が想定されていました。
以下では、定額制とサブスクリプションのビジネスモデルの違いや市場規模について解説します。
定期購入との違いは?
定期購入とサブスクリプションの違いは、前者は定期的な購入であるのに対し、後者は物を所有するのではなく、一定期間に商品を複数回利用できる権利を買っている点にあります。
定期購入の場合は、顧客が指定した商品が手元に届けば企業と顧客の関係は完結します。一方でサブスクリプションの場合は、企業がサービスや商品を提供して終わりではありません。
会員がその権利を持ち続けたいと思ってもらえるようなサービスとなるよう、サブスクリプションの会員にとって魅力のある商品やサービスであるように、ラインナップを充実させる必要があります。
市場は年々増加傾向、2023年度には市場規模1兆円との予測も
サブスクリプションの市場は拡大傾向にあります。2019年度のサブスクリプションサービス国内市場規模は、食品や化粧品類の定期宅配サービス分野を含めると、消費者支払額ベースで6,835億2,900万円でした。
この市場規模は、2020年度には前年度比15.2%増の7,873億円になり、2023年度には市場規模が1兆円を超える規模になると予測されています。
サブスクリプションにおいて、現状人気を誇っているのはデジタルコンテンツや食品・化粧品類の定期宅配サービス分野のみです。これらを除くと小規模な分野も存在しているため、小規模分野のさらなる発展を見込んで、市場全体が今後も成長していくと予想されます。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、売上が大きく影響を受ける業界も多数あります。一方、サブスクリプションのサービスを提供する企業においては、85%がパンデミック以降の3か月間でも成長を続けています。
そのうち5割は売上の成長に大きな影響を受けていないほか、18.3%の企業はむしろ成長を加速させています。
サブスクリプションが企業にもたらすメリット
サブスクリプションは、月単位もしくは年単位で購読することで、事業者が提供するサービスを受けることのできるビジネスモデルです。
利用者にとってのメリットは、定額制モデルと比較して、比較的低いコストで高い品質や価格のサービス・商品の提供を受けられたり、常に進化し続けるサービス・商品の提供を受けられることにあります。
以下では、事業者におけるサブスクリプションのメリットを3点解説します。
1. 新規ユーザーの加入のハードルを下げられる
一つ目のメリットは、購入するよりも小さな価格を設定することで、ユーザーの経済的事情に制限を受けず新規顧客の獲得ができる点です。
サブスクリプションの利用は、商品の一般的価格と比べた場合非常に小さくなります。たとえばハイブランドのバッグは1点数十万円という値段で販売されていますが、これを毎月数千円の支払いで、しかも途中で異なる種類に変えながら利用することができます。
2. 継続的な収入源になる、売上の予測が立てやすい
二つ目のメリットは、月単位もしくは年単位で継続的な収入が見込めることです。一度会員となったサブスクリプションの会員は、サービスに大きなデメリットを感じなければ継続して利用すると考えられます。
もちろん解約手続きによる会員の減少は起こり得ますが、個別の商品を毎月、顧客の意思で購入してもらうよりもずっとハードルは低くなります。
毎月定額のサービスであれば、利用者数に単価を乗じて売上の試算ができます。一方で、サブスクリプションではなく買い切り型の場合、売り上げ実績からの予測、広告費用など多くの要素が売上に影響するため、毎月や毎年の売上試算が比較的難しいといえるでしょう。
3. ユーザーの利用状況などのデータが集まり、マーケティング施策に活かせる
3つ目のメリットは、ユーザーの行動を追跡できる場合、データをマーケティングに役立てることができる点です。主にオンラインで利用される動画や音楽などのコンテンツ配信、オンラインツールなどの場合が考えられます。
それ以外の場合は、アンケートにより会員の意見を収集するといった形が考えられます。
たとえば毎月定額制の動画配信サービスの場合、各ユーザーが視聴したコンテンツや人気のコンテンツなどを日々集計できます。集計したデータは、今後のコンテンツや商品開発のほか、広告などのプロモーションの方針を決める判断材料にもなるでしょう。
アンケートを通じて会員の意見を収集できれば、新規ユーザー獲得数の伸び悩みや既存ユーザーの解約率の上昇に対しても、データを用いて対策することが可能です。
サブスクリプションのデメリット
サブスクリプションには先述したようなメリットがある一方で、デメリットも存在します。事業者がサブスクリプションの提供を開始する際には、メリットのみに焦点を当てるのではなく、デメリットも理解しておく必要があります。
以下では、サブスクリプションのデメリットについて、収入やブランドイメージの点から2つ解説します。
1. 安定した収入源になるまでに時間がかかる
デメリット1点目は、サブスクリプションを導入した場合、収入が安定するまでに時間がかかることです。
サブスクリプションは、ユーザーを徐々に獲得していき、緩やかに利益を計上していくモデルです。そのため、サービス開始直後に多くのユーザーを集めることは非常に困難であり、企業側にも体力がないと早期に破綻してしまうリスクもあります。
一方、サブスクリプションの導入前に、入念な計画と準備を行うことで、サービス開始からいつのタイミングで資金の回収ができるか、利益が出るかを試算することも可能です。企業は安易にサブスクリプションへ踏み切らず、損益分岐点を把握した上で進めることが重要です。
2. ブランドイメージを損なう可能性がある
デメリット2点目は、特に高級な商品やサービスを扱っている場合、サブスクリプションを導入することで、ブランドイメージを損なうリスクがあることです。
近年、自動車のサブスクリプションサービスも普及してきました。しかし、高級車を安価な価格で利用できるとなると、築いてきたブランドイメージを傷つけるおそれがあります。利益を追求するばかりに安価な価格設定をしては、長年の努力が無駄になってしまいます。
ブランドイメージを損なわないためにも、サブスクリプション導入の際は、価格設定や広告の打ち出し方などを時間をかけて検討する必要があります。
サブスクリプションの代表例
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、サブスクリプションを利用する消費者が増加傾向にあります。動画配信サービスを提供するNetflixは、2020年8月末時点で、日本での有料会員数が500万人を突破したことを発表しています。
以下では、サブスクリプションの具体例として、動画配信サービスと飲食品供給サービスの2点について解説します。
1. 動画配信サービス
動画配信でのサブスクリプションは、定額の会員費用を支払うことで、映画やドラマ、バラエティ番組、アニメなどの動画を視聴できるサービスです。
NetflixやAmazonプライム・ビデオ、Hulu、U-NEXTなどがあります。
これらのサービスは、無料でのお試し期間を設けたり、サービスオリジナルコンテンツを公開したりなど、常にユーザーの興味を惹く工夫をしています。
2. セレクトされた食材
消費者の代わりに提供元が商品を選定し支持を得たサブスクリプションもあります。
オイシックス・ラ・大地社が提供するサブスクリプションサービスのOisix(オイシックス)は、同社の用意した献立をもとに食材を利用者に届けています。
ミールキットと呼ばれるこの商品は、レシピ付きかつ調理に必要な食材が全て揃っているため、献立を考える必要がなくなると人気を集めています。また、全ての商品が安全基準をクリアしており、安心して口にできることも人気のポイントです。
消費者のライフスタイルにマッチするサブスクリプション
生活環境や生活スタイルが変化することを体験したり、今後起こる変化を見越したりして、消費者は商品の購入や所有に対し抵抗感を抱く場合も少なくありません。こうした心境の消費者からすれば、所有するリスクをおかさずに商品を利用できるサブスクリプションサービスは魅力的です。
またリモートワークが進むなかでも、都心での生活にメリットを見出す消費者は変わらず存在します。自宅面積の大きくない都心で、身軽な生活を理想とする人も多く、こうした人々により今後もさらにサブスクリプションモデルの人気は高まっていくと予想されます。
サブスクリプションサービスは、会費制にして会員を募って終わりではありません。継続した利用を保持するために、ユーザーの声を聞き、あるいはデータから分析し、常に魅力的であるかをチェックし、利用者の関心が離れてしまうようなことがあれば改善を図ることが大切です。
<参照>
DreamNews:【矢野経済研究所プレスリリース】サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2020年)~2019年度のサブスクリプションサービス国内市場規模は6,835億2,900万円(7市場計)~
ZDNetJapan:第1回:新型コロナがもたらしたサブスクビジネスへの影響と業界別分析
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