顧客を動かすナラティブマーケティングとは?手法や4つの事例を紹介

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ナラティブマーケティングとは、顧客を主人公にした物語を基盤に、商品サービスの魅力に気づいてもらい、購買行動にみちびくマーケティング手法です。

ブランドや商品ではなく、消費者一人ひとりの体験や記憶を主眼に置き訴求する点が特徴です。商品の機能や価格が市場における差別化につながらない今、顧客の心をつかめるとして注目されています。

この記事では、ナラティブマーケティングの概要、手法と事例、メリットを紹介します。

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ナラティブマーケティングとは

ナラティブマーケティングとは、顧客を主人公とする物語によるマーケティング手法です。企業がユーザーの物語を調査し、見聞きしたうえで、コミュニケーションや商品開発に取り組みます。

以下では、ナラティブマーケティングの概要を紹介します。

ナラティブとは?

ナラティブとは、「物語」を意味する英単語のnarrativeをカタカナで表記したものです。

ストーリーも同じく「物語」を意味しますが、こちらは話者を主人公とする物語を指します。ナラティブの場合は、読み手が主体となる物語を意味し、主役が異なります。

ストーリーは作者により物語中の出来事の展開が提示されていきます。ナラティブにおいても、出来事や現象が発生していきますが、それらが読み手の選択や経験と重なり合うもののように感じられることが特徴です。

また、ストーリーは起承転結の構造を持ちますが、ナラティブにはかならずしも終わりはありません。

ストーリーテリングとの違い

ストーリーテリングマーケティングにおいては、企業が商品サービスのストーリーを通して訴求します。ストーリー化して共感や周知を図る方法で、集客や販促を促します。

一方、ナラティブマーケティングは個々のユーザーがもつ物語にフォーカスします。ユーザーを主体としており、終わりは存在しない点がストーリーテリングとの違いです。

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ナラティブアプローチが重要な理由

モノや情報があふれる現代において、ブランドは存在意義を問われています。商品の機能や価格だけでなく、背景にある物語や価値が重視されています。こうした中、ナラティブアプローチは、消費者が商品サービスを購入する動機づけの役割を果たします。

またSNSをはじめオンラインで価値観の共有や発信に対するハードルが下がると同時に、人々は共通した価値観を軸に他人とつながることに喜びを見出しています。消費者にとって「なぜこの商品、ブランドを使うか」は重要なトピックです。

ユーザーによる発信は、商品やブランドの認知を高め、新たな購買行動を呼び起こすきっかけとなります。

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ナラティブマーケティングの手法

ナラティブマーケティングにはさまざまな方法がありますが、アプローチには共通している部分も多く存在します。企業とユーザーのコミュニケーションです。

具体的には、体験型のイベントを実施して消費者に体験してもらったり、インタビューやアンケートによりユーザーの考えを理解したり、SNSを通したコミュニケーションによりユーザーの製品体験の質を高めたりといった方法などがあります。

顧客を深く理解したうえで、企業とのつながりをもてるコンテンツを提供することがポイントです。

ナラティブマーケティングの事例

ナラティブマーケティングにおける顧客へのアプローチは多種多様です。業種や商材によって効果的なアプローチは異なるため、自社のコンセプトやユーザー層を理解したうえで検討すべきでしょう。

以下では、企業が実施したナラティブマーケティングの事例を紹介します。

1. パンテーン「#この髪どうしてダメですか?」

ヘアケア用品メーカーのPANTENEは、日本における企業の採用現場、学校への問題提起を通して、ナラティブマーケティングに取り組んでいます。

髪色や髪型の多様性に対する理解不足を主題として、「#この髪どうしてダメですか?」のハッシュタグをコンセプトに、先生と生徒の本音を語り合うコンテンツを公開しています。

実際に悩みをもつ生徒を起用することで、似たような経験を持つ消費者一人ひとりに自分の体験を想起させるような内容になっています。体験を重ね合わせ、商品への関心を誘い、購買意欲を高める効果が生まれたといえるでしょう。

パンテーン「#この髪どうしてダメですか?」キャンペーン第2弾広告
▲パンテーン「#この髪どうしてダメですか?」キャンペーン第2弾広告:プレスリリースより

<参照>
全国合計1000人の中高生、卒業生、先生の“髪型校則へのホンネ”を徹底調査 パンテーン 『#この髪どうしてダメですか』|P&Gジャパン合同会社のプレスリリース
キャンペーン展開から3日で、20,000件を超えるTwitter上の反響 パンテーン 『#この髪どうしてダメですか』 第2弾始動!|P&Gジャパン合同会社のプレスリリース

2. FABLIC TOKYO/オーダーメイドスーツを作る体験

FABLIC TOKYOは、リーズナブルな価格でオーダースーツを提供するDtoCブランドです。顧客に合ったサイズを見つけるための採寸や細部のカスタマイズといったサービスを提供しています。

ショールームの店舗体験から商品の受け取りは、ブランドと顧客が作り出した物語(ナラティブ)となり、顧客の商品やブランドに対する愛着の増大が期待できるでしょう。

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)公式サイト
▲FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ):公式サイト


<参照>
FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)公式サイト

3. SUBARU「あなたとクルマの物語」

大手自動車メーカーのSUBARUは、ドラマ仕立ての動画でナラティブマーケティングに取り組んでいます。

SUBARUの動画は「あなたとクルマの物語」をコンセプトとしており、1人の製品ユーザーを主人公とする物語で構成されています。

このコンテンツのねらいは、1人のユーザー体験を共有することで、動画を観た消費者自身の物語を想起させることです。同社が提示する物語は、CMからドラマや小説にも発展するほど多くのユーザーからの共感を得ています。

あなたとクルマの物語、SUBARU公式サイト
▲あなたとクルマの物語:SUBARU公式サイト


<参照>
あなたとクルマの物語:Your story with|SUBARU

4. GoPro/ユーザーの「日常」を物語に

アクションカメラのGoProは、コロナ禍におけるステイホームを前向きにとらえて、家の中でクリエイティブな写真や動画を撮影するキャンペーンを実施しました。

HomeProチャレンジと銘打ったキャンペーンは、TwitterInstagramなどのSNSでハッシュタグとしても話題となっています。

GoProの従来のコンセプトであるエクストリームスポーツの撮影ではなく、日常生活の中からクリエイティビティによってエキサイティングな瞬間を切り取る試みは、個々のユーザーの日常をナラティブ化しています。

こうした発信は、既存ユーザーの製品への愛着を高めるだけでなく、コンテンツを目にする非ユーザー層にとっても、彼らのの日常に重ね合わせられ製品への関心を高めているといえるでしょう。

GoPro公式サイトHomeProチャレンジ
▲HomeProチャレンジ:GoPro公式サイト

<参照>
#HOMEPROチャレンジ 開催!家などで撮影したコンテンツを大募集

ナラティブマーケティングのメリット

ナラティブマーケティングには、主に2つのメリットがあります。1つはユーザーが愛着を抱きやすい、もう1つはユーザーがブランドの意義を理解しやすい点です。

以下では、それぞれのメリットを解説します。

愛着を抱きやすい

ナラティブマーケティングは、ブランドや商品ではなく、ユーザーを主人公としています。ブランドや商品が主役である物語が画一的な印象を与えてしまうことに比べ、個別具体的な体験とリンクし共感を得やすい点が特徴です。

ユーザーの共感は、思い入れや愛着がうまれるきっかけでもあります。愛着をもったユーザーの獲得は、ロイヤルカスタマーの育成にもつながります。

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ロイヤルカスタマーとは?メリットから育成方法まで徹底解説

魅力や意義を本質的に理解しやすい

これまで多くの場合、企業は製品やサービスがもつデザインや機能、価格によって、魅力や意義を示してきました。価格やスペックを重視する消費者に商品に反映したコンセプトをユーザーに汲み取ってもらうのは容易ではありません。

しかし、ナラティブマーケティングではこれらの表面的な価値は前面に出されません。ナラティブマーケティングでは、ブランドが重視する価値観をベースに物語を提示し、それに対し共感を引き起こします。自分の体験を重ね合わせ共感を抱いた消費者であれば、ブランドの本質的価値への理解を得ることも可能でしょう。

ナラティブマーケティングではユーザーと物語を作り上げる

ナラティブマーケティングは、顧客がまるで自分のことのうように感じられる物語を提示することで、商品サービスを訴求する手法です。ブランドや商品を主役とするのではなく、ユーザーの持つ個別具体的な体験や価値観に焦点を合わせてメッセージを発信する点がこれまでのマーケティングと異なります。

個々の消費者のナラティブにフォーカスすることで、共感や本質的な理解を得やすいというメリットがあります。顧客の体験に寄り添ったナラティブを発見し提示することは、新たなユーザー層の開拓にもつながるでしょう。

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