エリアマネジメントとは、特定のエリア単位で民間が主体となり、地域の魅力創出やまちづくりに取り組むことです。
過疎化や過密化、環境問題などの課題を抱える地域は多く、全国的にも地域を盛り上げるようなエリアマネジメントが注目されています。
本記事では、エリアマネジメントの定義や必要性、成功に必要な9つのキーワード、エリアマネジメントの事例を紹介します。
エリアマネジメント
エリアマネジメントは地域の価値を維持、向上させるための、住民や、その土地で各種事業を展開する事業者、土地を所有したり利用したりする人々による取り組みを意味します。
民間主体の地域に対するはたらきかけは、以前これほどまでの存在感はなく、注目を集めています。
まずはエリアマネジメントの定義や活動の詳細、活動が生み出す効果についてまとめます。
エリアマネジメントとは|民間主体で地域単位で活動する
エリアマネジメントとは、民間が主体となって各地域が抱える課題を解消し、地域の魅力を維持または創出を目的に活動することです。主体となる民間は住民や企業のことを指し、時には国や地方公共団体と共同して活動することがあります。活動を通し、地域の活性化や賑わいの創出、イメージアップなどの効果を期待できます。
また、地域単位で取り組むことで地域のコミュニティが形成されたり、地域が抱える独自の問題を解決できます。
複数のエリアマネジメント組織が全国各地に存在し、継続的に各地域の魅力の創出に取り組んでいます。
エリアマネジメントの背景|地域のソフト面での課題解決に役立つ
エリアマネジメントが登場した背景には、公共団体だけでは解決できない地域の問題を解決する必要がありました。従来のまちづくりは公共団体がインフラ整備を行い、デベロッパーが商業施設の建設を担当するものでした。しかし、この体制ではハード面ばかりが整備されて街の活性化が不十分でになり、地域が抱える問題まで対処することが困難でした。
そこで民間主導で地域の問題を解決するエリアマネジメントが登場し、ソフト面に重点を置いて活動できる組織を生み出しました。ハード面を公共団体が担い、ソフト面をエリアマネジメントでカバーすることで、地域特有の魅力の創出または維持を可能にしました。
エリアマネジメントの効果|地域の魅力に気づき、発信する
エリアマネジメントに取り組むことで客観的な視点を持つことができ、気づかなかった地域の魅力を再確認または発見できます。地域に住んでいる住人は気づかなかった魅力を知ることで、自身の地域への愛着が湧くようになります。素敵な地域であったり、住みやすい環境が整っていると住民が離れる可能性が低くなり、賑やかな街になるでしょう。
また、このような地域の魅力に関する情報を積極的に発信すると地域外の人にアピールでき、地域の活性化につながります。
エリアマネジメントの9つのキーワード
エリアマネジメントに取り組むにあたり、下記の9つのポイントを気をつける必要があります。- 交流性:地域での交流を増加させる取り組み
- 自発性:地域住人が積極的に参加できる取り組み
- 定着性:その活動が地域に根付くものであるか
- 独自性:地域ならではの魅力を活かし、独自の価値を創出する
- 発信性:地域の情報を外部へ積極的に発信する
- 多様性:地域のさまざまな可能性を活かす
- 人材性:活動を支える人材を重要視する
- 財源性:活動ができる資金を確保する
- 継続性:持続できる活動であるか
これら9つのキーワードを意識することで、エリアマネジメントは本来の目的である地域の価値向上を実現し、その場限りではなく継続的に、地域で人々が生活することを可能にします。
エリアマネジメントの3つのステップ
エリアマネジメントの成功にはその過程を理解することが重要です。エリアマネジメントには大きく分けて3つのステップが存在します。
それぞれのステップと、その過程で気を付けるべき内容を紹介します。
1. 課題を見つけ、解決する
対象となる地域が抱える問題を分析して解決策を考案します。エリアマネジメントの場合は環境保全や景観保全などを中心に活動するケースが多数存在します。
環境保全や景観保全とは、経済活動の影響で環境の負担になる問題を解決するものであり、地域のイメージに直結する重要な働きを持ちます。
具体的な対処としては、環境保全や景観保全を目的に住民と民間企業が共同で清掃活動を実施したケースがあります。
このように、現在どのような課題を抱えており、どのような解決策を実施すればより地域を活性化できるのかを試行錯誤することが重要です。
2. 魅力の再発見・創出する
ソフト面から地域を盛り上げるためには、地域にどのような魅力があるのかを整理する必要があります。どのような郷土料理があるのか、観光スポットや遺跡など、地域独自の魅力になりそうなポイントを再発見します。
また、地域にあるものをブランド化することで新たな地域の魅力となり、情報発信にも活用できます。
3. 情報を発信する
ステップ3は上記の活動やイベントを外部に情報発信して地域活性化を狙います。地域が抱える課題をどのような解決策を実施したのか、新たな地域の魅力とはなにかをウェブサイトやSNSなどで発信します。
同じような課題を抱える地域の助けになり、地域間のコミュニケーションが生まれるかもしれません。
また、素敵な魅力を持っていても知ってもらわなければ意味がありません。
外部への情報発信を通して魅力を知ってもらい、さらに住民も再認識してもらうきっかけになります。
エリアマネジメントの事例|渋谷駅前
現在の渋谷はスクランブル交差点以外にも魅力的な施設が増え、世界でも、日本の観光名所として知られています。ここでは渋谷が取り組んだエリアマネジメントについてを紹介します。
渋谷駅前エリアマネジメント協議会|活動主体を立ち上げ、継続的に取り組む
渋谷駅前のエリアマネジメントは2013年からスタートし、官庁と民間企業が共同でまちづくりをするエリアマネジメント協議会を立ち上げました。このエリアマネジメント協議会が100年に一度といわれる渋谷大改造事業の一翼を担い、現在の渋谷をつくり上げています。
このように官民が主体的に地域の活性化に取り組み、継続的な活動をすることで渋谷の魅力を重視したエリアマネジメントを実現しました。
遊び心で渋谷を動かせ。|魅力を発見・創出し、発信する
渋谷のエリアマネジメントは「遊び心で渋谷を動かせ。」というスローガンを掲げ、渋谷に住んでいる人から新しく渋谷に来る人、あらゆる人がつながる地域を目指しています。このように渋谷は方向性を明確にしてエリアマネジメントに取り組んでいます。
また、エリアマネジメントに取り組むにあたり、渋谷が持つ洗練された都会の空気感と庶民的な雰囲気を魅力として再確認し、これらの雰囲気を崩さずに新たな魅力の創出に尽力しました。
さらに魅力を発信するために渋谷駅前に広告を増やし、現在では巨大な広告は渋谷のトレンドマークになっています。
まちづくり|さまざまな組織・機関と連携する
渋谷駅前のエリアマネジメントは官庁と民間企業が力を合わせて取り組んでおり、さまざまな人が協力したことで成功した事業です。エリアマネジメント協議会はさらに細かく組織化され、ハブの役割を担当する一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメントをつくりました。
ハブの役割とは、人と人を繋ぐ仕事のことを指し、さまざまな組織と機関が連携するのに重要な働きを持ちます。
渋谷駅前のエリアマネジメントは、ハブの役割を持つ組織をつくることで行政や他の有識者との協力関係を強めました。
エリアマネジメントには実効性を高めるためのポイントが複数ある
エリアマネジメントとは、民間が主体となってソフト面からまちおこしに協力し、地域独自の課題解決や魅力の創出を目的に活動をすることです。メリットとしては地域の活性化やイメージアップ、地域のコミュニティ形成があげられます。
また、エリアマネジメントの実効性を高めるためには、交流性や自発性を持った活動や情報の発信など、9つのキーワードを意識した取り組みが重要です。
本記事で紹介した渋谷駅前のエリアマネジメントのように、地方公共団体やデベロッパーとの連携をとるハブの役割を担当する組織を形成し、目標に向かって継続的に協力することで地域に新たな価値を生み出せるでしょう。
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