XRとはVRやAR、MR、SRの総称で、Xは「未知数」を表しています。さまざまな場面で現実世界と仮想世界が融合したことでこの言葉が使われるようになりました。
IoT技術や通信技術が発展してきている背景から、XR技術をビジネスや医療現場で活用する試みが進んでいます。また今後も広く発展していくとされています。本記事ではXRの概要に触れながら、今後の展望や具体的な活用事例を解説します。
XRとは/さまざまな仮想現実と現実世界との融合のあり方の総称
XRとは、さまざまな仮想現実と現実世界の融合の在り方を総称したものです。「X」は複数の文字と入れ替わるものとしてあてがわれています。
XRが意味する概念に、VR、AR、MR、SRがあります。まずはそれぞれの特徴を解説します。
VR(仮想現実)
VRとはVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略で、日本語では仮想現実を指します。
VR技術を用いることで、コンピューターで作成された3次元空間を視覚感覚などの刺激により現実世界のように感じさせられることが特徴です。XRの代表格ともいえ、2016年以降の技術は急速に発達してきています。
VRを体験する際には、通常専用のゴーグルを着用します。ゲームや観光業界など多くの分野で活用されています。
AR(拡張現実)
ARとはAugmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)の略で、日本語では拡張現実を指します。
VRとの最も大きな違いは、すべてコンピューターで作成された世界によって構成されるVRに対し、ARでは実際の風景にコンピューターで作成された情報を重ね、拡張された世界を作り出しているという点です。
これにより、現実世界に実際は存在しないものが、あたかも存在するかのように描き出すことができます。
ARの代表例はポケモンGOですが、ゲーム以外にもあらゆる場面で活用されています。たとえば家具や家電メーカーは、室内に商品を配置するとどの程度の空間を占めるのか把握するためのアプリケーションを提供しています。
Google 翻訳の機能であるGoogle レンズもARの技術を活用しています。
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MR(複合現実)
MRとはMixed Reality(ミックスド・リアリティ)の略で、日本語では複合現実を指します。
MRではカメラやセンサーを活用し情報処理することによって、現実の世界と視界に入っているバーチャルな世界とが連動しているように感じられます。
現実世界とバーチャル世界が重なっているという点でARと似ているものの、MRではそれら2つの世界が連動する点が異なります。MRでは仮想空間に表示されたものを360℃どの方向からでも眺められますが、ARではこれはできません。
SR(代替現実)
SRはSubstitutional Reality(サブスティチューショナル・リアリティ)の略で、日本語では代替現実を指します。
SRでは過去に撮影された映像などを用いて、作成されたバーチャルな世界を実存の世界のように見せる技術です。
現実世界とバーチャル世界が重なるという点ではARやMRと似ているものの、SRにおいてはバーチャル世界を現実世界のように錯覚させるという点に違いがあります。
SRはほかの3つの技術と比較して、最も現実感のある仮想空間を体験できるものですが、今のところ産業に応用されている代表例はありません。
XRの市場規模/2025年には1兆円越えとも
XRは前述の通り、ゲームや観光業界などさまざまな分野ですでに活用されています。しかしその市場規模は今後さらに拡大すると予想されています。そこで本記事では、XRの近年の動向や市場規模の予測について解説します。
急速に拡大するXRの市場規模
現在技術の発達とともにXRの市場規模は急速に拡大しており、その中でも2016年からVRが急速に発展を始めたことから、2016年はVR元年と呼ばれています。
またその市場規模はすでに非常に大きなものとなっており、矢野経済研究所が実施した調査の結果において、2019年の時点ですでに約4,000億円もの規模にまで成長していたことが分かっています。
今後さらに成長していくとされており、その成長を支えている技術のひとつが5Gです。また2025年には1兆円に達するという見方もあり、市場は拡大し続けています。
XRのこれから
XRの市場規模が拡大しているもう一つの原因が新型コロナウイルスの感染拡大です。外出や旅行の自由が制限されていることから、XRへの需要はさらに高まりをみせています。
またXRを利用する際には大きなデータ通信が必要になるものの、前述の通り5Gの登場により大量のデータ通信ができるようになることでXRの発展を手助けしています。
さらに先ほど紹介した4つの技術の中にもSRなど、まだまだ研究や活用が進んでいない分野もあり、こういった未発展の分野の研究が進むこともXRの可能性に期待が高まる要因のひとつです。
各業界におけるXR活用事例
今後も広く発展するとされているXRですが、すでにあらゆる分野で活用されています。本記事では、社員教育、小売業、観光業、医療現場の4つの場面における活用について、具体的な事例を紹介します。
XR活用事例1. 社員教育(ダイキン工業)
ダイキン工業株式会社滋賀製作所では、社員教育にVRが活用されています。VRコンテンツ制作会社である株式会社ビーネックスグループと協力し、作業のルールや安全に作業することをVRによって周知させるコンテンツを取り入れています。
これにより研修時間を短縮したり、安全性が向上することはもちろん、データを収集して適切なフィードバックや人材配置ができることが特徴です。また実際の現場に近い環境で研修することで認識のずれがなくなるというメリットもあります。
XR活用事例2. 家具の配置を確認(IKEA Place)
家具を販売しているIKEAでは、AR技術を取り入れたIKEA Placeというアプリをリリースしました。このアプリを利用し購入したい家具をバーチャル空間に表示させることで、大きさや雰囲気がつかみやすくなります。
家具は手軽に部屋に置くことが難しいため、事前のイメージが難しいという課題がありました。しかしこれにより商品購入前に、実際に部屋に家具を置く前にイメージがしやすく、安心して商品を購入してもらえるようになります。
XR活用事例3. 観光コンテンツ(三重津海軍所跡)
観光業にもXRが導入されています。佐賀県にある三重津海軍所跡では、VRを活用して当時の大砲訓練などの状況をVR世界で構築し観光客に提供しています。
観光業において遺跡や壊れた建物、当時の様子を再現するにはかなり費用がかかります。しかしVRを用いてバーチャル上で再現することで、観光客にリアルな様子を体験してもらえることが特徴です。
また施設側としても施設を復旧するよりも費用をかけずに観光資源を用意できます。
XR活用事例4. 医療
医療現場でもXR技術が活用されています。ドコモとMoloyesが共同開発した「Magic Leap 1」と「Holoeyes MD(R)」は、MRI検査で取得した2次元のデータを3次元に変換する技術です。
この技術で3次元でデータ分析することによって、得られたデータを直感的に理解できるため、より正確に診察できるようになりました。
また作成された症例のデータは具体的に症例を示せるため、診察のみならず教育現場においても活用できることがメリットです。
今後も成長し続けるXR市場、仮想空間を活用したサービスの創造
XRとは、VRやAR、MR、SRなど仮想現実の総称で、あらゆる現実世界と現実世界の融合の在り方を総称したものです。XR市場は2019年時点で約4,000臆円といわれているものの、2025年までにその規模は1兆円にまで発展するとされており、今後のさらなる発展が見込まれています。
すでに日本でもXRが社員教育や小売業、観光業、医療分野などさまざまな分野で活用されています。この先5Gの導入など環境の変化に伴いさらに多くの分野で活用されることが予測されます。
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<参照>
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PRTIMES:IKEA原宿アプリのAR機能をつかって、インタラクティブなお買い物体験を楽しもう!
三重津海軍所跡
docomoXR:Magic Leap 1×Holoeyes MD