一つの文字や記号に、色のような別の情報が組み合わさり、2つの情報が干渉しあうことをストループ効果といいます。ストループ効果により、人は示されているものを理解しづらくなってしまいます。
本記事ではストループ効果の内容や関連する用語について触れながら、日常的にストループ効果が使われている場面やマーケティングにおいてストループ効果をどのように意識するのかについて解説します。
ストループ効果とは
ストループ効果とは、異なる2つの情報が同時に提示されることで、情報理解を妨げることを指します。
ストループ効果がどのように引き起こされるのか、またそれによってもたらされる影響について解説します。
2つの情報が干渉、理解が遅れる
人は視覚から得られる情報と意味から得られる情報に差異が生じると、直感的に情報を処理することができなくなってしまい、結果として情報の処理に時間がかかってしまいます。
たとえば「文字の色」を答える場合を考えます。
青い色で「青色」と書かれている文字を見た場合は、すぐに「青色」と答えることができます。ところが、青色で「黄色」と書かれたものを見た場合には、同じような速度で「青色」と答えられません。
これはストループ効果の影響で、視覚から得られる「青色」という情報と、文字のもたらす「黄色」という情報が一致しないため、処理が遅れてしまっていることに起因します。
情報の受け手がストレスを抱く原因にも
ストループ効果は情報処理のスピードが落ちてしまうだけでなく、上記のように情報処理の過程で葛藤が生じるため受け取り手にストレスを感じさせてしまいます。
情報を発信するためのデザインで相手に不快感を与えてしまっては本末転倒です。意外性を狙う場合を除き、ストループ効果によって感じられるストレスを避けるためにも、情報伝達デザインの分野においては一般的に認知されているものを利用したデザインが好まれます。
身の回りにあるストループ効果が考慮されているもの
ストループ効果は日常生活においてあらゆる場面に応用されています。
その中でも本記事では、「トイレ」と「信号」の例について解説します。
1. トイレ
トイレの男女を示すマークは、ストループ効果が取り入れられたものの一つです。
日本では一般的に男性トイレと女性トイレはそれぞれ青と赤で示されています。これは日本人が青いマークから「男性」だという情報を読み取り、赤いマークから「女性」だという情報を読み取るためです。
それぞれの形状はそのままに、色のみを入れ替えると、それぞれのトイレがどちらの性別向けであるかが直感的に判断できなくなります。
青や赤が使われていない場合でも、一般的に男性トイレにおいては寒色系が、女性トイレにおいては暖色系が使われています。
2. 信号
信号機の色も、ストループ効果が取り入れられている代表例です。
人は直感的に赤いものから警告や注意を連想し、青いものからは指示を受け取ろうとします。
信号機の色はこのストループ効果を応用して作られており、仮に信号機の色が赤が「進め」、青が「止まれ」と普段とは逆の意味を表していると、交通事故が起こることが容易に想像できます。
信号機の色に関する認識については幼いころから刷り込まれていることもあり、その色が逆になってしまうと認知的なずれが生じてしまうことは避けられません。
ストループ効果と深い関連性がある用語
ストループ効果には深い関連性のある効果や現象があります。これらは相互に影響を及ぼすことも珍しくありません。
本記事では干渉効果、サイモン効果、選択的注意の3つについて紹介します。
1. 干渉効果
干渉効果は、認識する人が常識だととらえているものと、実際に目にするものに違いがあると理解の速度が遅くなる現象です。
たとえば、ウェブサイトの選択肢でグレーで示されているものがあれば、それは決定事項ではなく「キャンセル」や「戻る」ボタンであることが通例です。反対に、決定したり次に進む場合には、着色されたり、太字になったボタンが用意されています。
これが反対でデザインされていると、人は直感的に自分の要望に沿ったボタンを選ぶことができなくなってしまいます。
ストループ効果は干渉効果の一つですが、常識との比較ではなく、文字と、文字のデザインに含まれる色や太さなどの情報が一致せず、干渉することによる判断の遅延を指しています。
2. サイモン効果
サイモン効果は情報の位置と、意味に対して矛盾が生じた場合に反応速度が遅くなる現象です。
紙の左側に「右」と書かれていた場合には、書かれている位置と、書かれている文字の意味が一致しないため、何が書かれているか、それが左右どちらなのか識別するのに時間がかかります。
3. 選択的注意
選択的注意とは、視覚や聴覚、嗅覚などあらゆる情報があふれている状況において、情報の受け取り手に取って重要だと判断された情報を選択し、その情報に注意を向ける認知機能です。
たとえば人が多く集まっている場所や周囲が騒がしい状況であっても、一緒に会話をしている人の声や気になる情報の音に夢中になっている間は、そのほかの人の声や音が聞こえなかったり気にならなかったりします。
また一緒に話しているグループの会話以外が気になるときには、隣のグループであるにも関わらずその声が大きく聞こえるような感覚になります。これが選択的注意です。
ストループ効果をマーケティングで活用、気を付けるべきこととは?
前述の通り、情報を処理する中でストループ効果によって生まれる違和感は、情報の受け取り手に大きなストレスを与える原因となります。
そのため情報デザインの分野では、意外性を狙ったもの以外は広く認知されている色合いを活用しストループ効果を感じさせない、つまり「違和感を感じさせないデザイン」が望ましいといえます。
「いいデザイン」といわれているものは基本的に、受け取り手が直感的にとらえられるデザインの文脈に沿って作られていることが多いです。
意外性を狙ってあえてストループ効果を生じさせるデザインもあるものの、それはデザインの整合性を理解したうえで作成されており、違和感をうまく利用したものではなければなりません。
ストループ効果を理解し、ストレスのない情報伝達
ストループ効果は、2つの情報が同時に提示されるときにその2つの情報に差異が生じると、直感的に情報を処理できなくなるため情報処理が遅れる現象を指します。ストループ効果が生じるということは情報処理の過程に葛藤があるということになり、この状態は情報の受け取り手にとってはストレスになります。
マーケティングにおいてこのストループ効果の存在を認識していないと、購買の前の情報収集の段階で顧客を逃してしまいます。消費者に向けた情報発信においては、ストループ効果による違和感を生じさせないために、文字色や配置にも注意を払うべきでしょう。
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