2020年より続く新型コロナウイルスの流行により多くの業界が苦戦を強いられていますが、そんな中でも業績を好調に伸ばし、躍進する企業が存在します。
その一つとして、家具小売業大手の「ニトリ」が挙げられます。ニトリはコロナ禍にあっても2020年の売上を対前年比で大きく伸ばし、今も新規出店を続けるなど成長を続けています。
本記事では、ニトリのコロナ禍における好調の理由について解説します。
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ニトリ、コロナ禍でも33期連続で増収増益
ニトリの業績はコロナ禍でも好調に推移しており、2020年度の売上高は、第1、第2、第3四半期すべての期間で前年比を上回っています。
2020年4月には、緊急事態宣言の発令を受けて国内店舗の5分の1にあたる110店舗を臨時休業し、その他店舗でも時短営業を実施しました。にもかかわらず、第1四半期(3〜5月)の売上も前年比プラスとなりました。
また、第3四半期(9〜11月)における売上高は前年比12.2%増の5,401億円、営業利益は前年比40.3%増の1,185億円と、大幅に躍進しています。
ニトリは過去33期連続で増収増益を達成しており、コロナ禍を経験した2020年度においてもその記録は継続されていく見込みです。
ニトリ好調、3つの理由
緊急事態宣言下で休業・時短営業を実施したにもかかわらず、好調を続けるニトリ。その理由は、コロナ禍での家具業界への「追い風」と、その追い風を逃さない戦略にあります。
以下では、ニトリが業績を伸ばし続ける理由について解説します。
1. 「巣ごもり需要」により、家具の売上が好調
新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛の影響で、「巣ごもり需要」と呼ばれる、家での生活を充実させるような商品の売上が大きく伸びています。これにより、ニトリでも家具の売上が好調となっているようです。
たとえば、同じく家電・家具を扱うヤマダ電機もコロナ禍において好調な売上を維持しており、2020年4〜6月において売上が前期比で8%増となっています。巣ごもり需要による、家具・家電売上への影響の高さがうかがえるでしょう。
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またニトリは、メインである家具以外にも自社開発のシンプル家電シリーズを展開しており、これらが好調であったことも売上増を下支えした可能性があります。
2020年8月には同ブランドからエアコンも発売しており、猛暑によるエアコン需要の高まりにも対応しています。
2. ECでの購入呼びかけ
ニトリのコロナ禍で好調なもう一つの理由は、ECの積極的な活用と推進です。
外出自粛となり実店舗での販売が落ち込む中、自社ECでの売上を大きく伸ばしました。2020年9〜11月の決算資料によると、11月の通販事業の売上高は前年比で59.7%増となっています。
ニトリは2019年に自社のECプラットフォーム「ニトリネット」を大幅にリニューアルしており、ECチャネルの基盤固めを行っていたことが、コロナ禍でも活きた形となりました。
また実店舗や公式サイトで「ニトリネット」の利用を推奨するなど、ユーザーへの呼びかけを行ったことも、EC売上の成功を後押ししたと考えられます。
3. 「製造物流小売業」で圧倒的な低価格を実現
ニトリは、自らの業種を「製造物流小売業」と位置付けています。商品の企画開発から物流、販売までを一貫して自社で管理し、製造は海外の自社工場や委託工場から行っています。
さらに店舗数を拡大することによって、原材料や製造の発注をまとめて大量に行い、「規模の経済」による大幅なコストダウンを実現させています。
今後も出店を増やす見通しで、前述のECなど販売チャネルの増加もあるため、その規模はさらに拡大し、コストダウンを継続していくものと思われます。
「不況こそチャンス」変化を見極め、柔軟に対応する姿勢が成長を支えた
ニトリホールディングスの似鳥会長は2020年4月決算発表の際、「不況こそチャンス」と発言しました。不況になり土地や建築費が安くなる時こそ、拡大のための一手を打つべきであるとしています。2020年末には「ヒト・モノ・カネすべてを使って再び攻勢に出る」とし、出店を加速させるとの発表もありました。
さらに2019年に立ち上げた自社アパレルブランド「Nプラス」を拡大するなど、新しい分野への投資と拡大も行っています。
このように時代における変化を見極め、柔軟に対応していく姿勢が、ニトリの成長を支えているといえるでしょう。
<参考>
ニトリ公式サイト:決算説明会資料
ーービジネスモデル
日本経済新聞:ニトリ絶好調、110店舗休んでも売上高プラスに
ITmediaビジネスonline:コロナ禍でも絶好調のニトリ 2割増益の3~5月期、2つのポイント
NHK NEWS WEB:ニトリ「巣ごもり需要」で販売好調 9か月間の決算 過去最高益
流通ニュース:ニトリ/シンプル家電シリーズでエアコン発売
TECH+:製造物流小売から製造物流IT小売へ ニトリ独自のビジネスモデルを支える新EC基盤を構築
文春オンライン:いきなり!ステーキが大量閉店、ニトリとくら寿司は急成長…「決定的な2つの違い」とは?
東洋経済新聞:ニトリ、コロナ禍でも「増収増益宣言」の衝撃
WWD JAPAN:ニトリが来年から出店再加速、倍増の100店舗をSC中心に出店 アパレルはM&Aも
FASHONSNAP.COM:ニトリ、コロナ禍も自社アパレルブランド「Nプラス」の出店強化 下期は14店舗オープンへ
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