カクテルパーティー効果とは?マーケティング担当者必見、活用時のポイントと具体例を紹介

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人間は物を見ているようで見ていないことがあります。

これは視野に飛び込んでくるものの中から、脳が自分に興味がある物、強烈なインパクトがある物、注視しなければ危険なものなどを無意識に取捨選択しているためです。目の前の風景すべてを視覚として捉えているわけではないことを端的に表しています。

これと同じような現象は聴覚でも起こります。それがカクテルパーティー効果と呼ばれるもので、この現象を活用してマーケティング戦略に取り込んでいるケースがあります。

そこで本記事では、カクテルパーティー効果について、そしてマーケティングにおける具体的な実用例を紹介します。

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カクテルパーティー効果とは

大音量でBGMが流れ、大勢の人の話し声が飛び交っているようなパーティー会場にいるときに、自分のビジネスに関連することを話している声に振り返ったり、自分の好きなタレントの名前が聞こえて耳に残ったりした経験があるかもしれません。

こうした現象はカクテルパーティー効果と呼ばれます。

脳が音声情報を無意識に選択して、喧騒の中でも自分に関連性の高いキーワードが発せられると、その音だけを拾って聞き取ってしまう現象を指します。

カクテルパーティー効果を証明した実験

カクテルパーティー効果は、イギリスの心理学者コリン・チェリーが1953年に提唱しました。

彼はカクテルパーティー効果を証明するため、ある実験を行いました。被験者には片方の耳だけに注意を傾けるよう指示し、左右の耳に対して同時に、異なる音声を流しました。被験者は意識を向けていなかった方の音声が聞き取れず、この結果から人は意識を向けた情報を優先し、それ以外の情報を無視していることが証明されました。

次に彼は、意識を傾けていないほうの耳に被験者の名前を含めた音声を流しました。すると意識を向けておらず聞き取りづらいにもかかわらず、自分の名前を聞いた途端、被験者の意識がそちらに移りました。

このことから、「自分の名前」のように意識が向きやすい言葉を耳にしたときには、人は無意識のうちに半ば強制的にそちらに意識が向くということが証明されました。

カクテルパーティー効果が生じるメカニズム

パソコンを使って作業しているとき、大容量の情報を処理させると、作業が終了するまでに時間を要します。

人間の脳内でも同様のことが起こります。

普段、家族とリビングでのんびり過ごしているだけでも、家族の声、テレビの音、機械音、窓にあたる雨粒の音など、人間の耳には想像以上に多くの音が流れ込んできます。そのすべての音を拾って脳内で処理しても、脳の情報処理能力は追いつきません。

そこで脳にかかる負荷を抑えるために、脳は必要な音とそうではない音を無意識に取捨選択しています。「自分に強く関係する情報」や「関心のある情報」に関する音かどうかが、取捨選択の基準のひとつとなります。

喧騒の中でも自分に興味や関心がある音は聞き取りやすくなるのは、こうした理由からです。

カクテルパーティー効果の影響

カクテルパーティー効果は日常生活のあらゆる場面で発生します。

ここではカクテルパーティー効果に類似した効果や、心理的影響について紹介します。


1. カクテルパーティー効果の視覚的影響(カラーバス効果)

冒頭に紹介したように、視覚にもカクテルパーティー効果と同様のことが起こります。

街に看板やポップ、ポスターが溢れているのに、自分に関係がある商品の割引情報のポスターだけが目にとまる、自分の好きなアーティストのポスターは遠くからでも見える、といった経験があるかもしれません。

この現象は視覚におけるカクテルパーティー効果であり、「カラーバス効果」と呼ばれます。

カラーバス効果は、関心のないものは無意識のうちに視界からはじいていることも示しています。

たとえばスイーツ好きでお酒を飲まない人が、知らない街でも小さなケーキ屋に気づくのに、毎日通る道に大きな赤ちょうちんがぶら下がっている居酒屋があっても気づけないのは、カラーバス効果のためだといえます。


2. カクテルパーティー効果の心理的影響

カクテルパーティー効果は、自分の意識が向いているすべてのことに対して作用します。そのため、自分が聞きたくないネガティブな言葉を拾ってしまう場合もあります。

たとえばCMなどを見ていて「血圧130を超えたらあなたは高血圧予備軍!」といったセリフが流れてきたとき、健康診断で高血圧傾向を指摘されている人であれば、自分が高血圧予備軍に含まれるという情報は、不安をかき立てられる材料となります。

その人にとっての「血圧」情報は日ごろ気にしている話題であるため、否が応でも無意識に関心がそちらに向いて、そのフレーズが耳に飛び込んできてしまいます。

こうした現象をうまく利用すれば、マーケティング戦略としては有効な手段の1つとなりえます。

カクテルパーティー効果を販促に活用する時のポイント

カクテルパーティー効果の仕組みを正しく理解し、マーケティング戦略に活用していけば、効果的な販促につなげられます。ここでは、販促に活用する時のポイントについて解説していきます。

1. ターゲットを設定し、ユーザーの関心ごとを理解する

人間の関心事は、性別、年代、ライフスタイルなどにより千差万別です。広く、浅く、誰にでもリーチするように仕掛けた施策が、逆に誰に対してもリーチしない場合があります。

扱う商品には、メインユーザーとなるターゲットが存在します。たとえば食育玩具の場合、小学生で、インドアで手先を使って遊ぶことが多い女子、さらに実際にその商品を買い与える30代の母親、といったように具体的な購買層が想定できます。

自社商品のターゲットが現在どんなことに関心を持ち、情報のアンテナを張っているのかを正しくリサーチすることが、その意識のアンテナにかかるキーワードの発見につながり、カクテルパーティー効果を生むためのポイントになります。

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2.宣伝を具体化する

マーケティング戦略の中でカクテルパーティー効果を活用するためには、その商品がどれだけターゲットに関係しているものなのか伝わることがポイントになります。

たとえば「おいしいリンゴ発売中!」だけでは、リンゴを好きな人の関心を集められるかもしれませんが、その他の人の意識を引くことは困難です。

「朝一番のリンゴがあなたの血圧を下げる!」とすれば健康や血圧に関心のある人に、「1日1個リンゴを食べれば、内臓脂肪を落とすのに効果的!」と発信すれば美容やダイエットに関心がある人に、「これは自分に関係している商品なのだ」と感じてもらえるでしょう。

キャッチコピーを考える場合には、ターゲットを限定して伝えることでカクテルパーティー効果が生まれ、より効果的なマーケティングが可能になります。

3. 心をつかむ強い呼びかけをする

ターゲットを定めてPR用のフレーズを決める場合、そのターゲットの心理状態をより強く表している言葉を用いると、カクテルパーティー効果が生まれやすくなります。

「25%割引実施中!」とするよりも「タイムセール!今だけ25%割引!」とした方が、購買意欲が喚起されるのはその好例といえます。

ダイエット食品などの場合も、「ダイエットしたいあなたのための新商品」というフレーズでも、ターゲットに届けたい内容は伝わります。しかしそこでもう一押し強いフレーズを入れれば、より人々の意識を惹きつけられます。たとえば、「ダイエットに失敗したあなたもこれなら続けられる!」と、ダイエットに挫折した経験がある人に対するメッセージを加えてもよいでしょう。

このようにターゲットを狭めた一言を付け加えることが、カクテルパーティー効果を生むためには必要となります。

【業種別】カクテルパーティー効果を宣伝で利用する方法

ここからは業種別に、カクテルパーティー効果を宣伝で利用する方法について検証します。

業種の違いによりターゲットが異なるほか、ターゲットの心に刺さるフレーズにも違いがあります。ターゲットに関する細かいデータを分析することで、カクテルパーティー効果をより有効に活用できるようになるでしょう。

ヘルスケア系:季節や状況を考慮した宣伝文

ダイエットや美容に代表されるヘルスケア業界では、季節に関するフレーズを入れることが効果的です。

その代表的なものに「正月のおせち太りで困っているあなたをバレンタインまでにスリムに!」「今ならまだ間に合う!肌見せの夏に備えて今から始める脱毛!」といったフレーズがあります。

また、具体的な状況を加えるのも有効な手段です。「美肌になりたいあなたへ」とターゲットを広げるのではなく「イチゴ鼻に悩むあなたならこの美容液で決まり!」「ペンライトを振る時大きく揺れる”振り袖二の腕”にピンポイントで集中ケア!」といったように、より細かい状況を設定することでターゲットをさらに絞れます。

ダイエットジムの「24/7workout」の以下の投稿は、ターゲットに訴求する文章の好例といえるでしょう。

247workout_officialによるプログラム紹介の投稿
▲24/7workoutのInstagram公式アカウント:口コミラボ編集部スクリーンショット

Instagram:247workout_officialによる投稿(https://www.instagram.com/p/B7LG8p9hK1i/)

不動産会社:地名、属性を入れる

不動産会社で扱う物件の場合、ターゲットを明確にするために盛り込む代表的な要素の1つに、「地名」があります。

「二世帯住宅用に土地を探しています」とするよりも「〇〇区**町△丁目付近で二世帯住宅用に土地を探しているお客様がいます」とすることで、より強いインパクトを与えられます。

地名以外にも、「二世帯住宅用」のように、職業、家族構成、世代、共働き、子育てなど、住居を探す上でポイントとなる個人的な属性を加えると、よりターゲットが鮮明になります。

「小学校まで徒歩5分、公園も近く子育手に適した環境」「〇〇駅直結!アーケードのある都内有数の商店街隣接で共働き世帯に最適!」といったフレーズが例としてあげられます。

美容室:ターゲットの悩みに寄り添う

美容室の場合、髪質やヘアケアに対して悩みを抱えているユーザーも多いことが予想されます。ターゲットの悩みに寄り添うフレーズを入れることで、ターゲットの意識に働きかけやすくなり、宣伝効果が高まります。

たとえば中高年層の女性がメインターゲットであれば、「ヘッドスパの隠れた効果! リフトアップで5歳若見え!」などと、ヘッドスパの意外な美容効果をアピールする方法があります。

男性の中高年層がターゲットであれば「ストレス解消に! 育毛に! 加齢臭対策に! ヘッドスパで毛穴の詰まりと悩みを解消!」といったように、中高年男性の多くが抱える髪や加齢変化に対して具体的な効果を謳ったフレーズを入れることで、宣伝効果が向上します。

カクテルパーティー効果を利用して、ユーザーの購買意欲を刺激

昨今ユーザーが獲得できる情報量は格段に多くなっています。それだけに、ターゲットの意識をうまく惹きつけるキャッチコピーを打ち出さなければ情報が届きません。

マーケティングにはターゲットに対する徹底した分析、さらにはカクテルパーティー効果に代表されるような、ユーザーの購買意欲のスイッチを入れる行動心理に基づく科学的なアプローチが必要な時代を迎えています。

ターゲットを明確に設定して彼らの関心を探っていくことは、これからより一層重要となるでしょう。

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