スーパーマーケットのプロモーション方法|海外、国内の先進事例紹介

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スーパーマーケットは、少子高齢化、ネットスーパーの台頭、人手不足など、さまざまな課題を抱えており、顧客を獲得し売り上げをのばすにはどのようにプロモーションを行えば良いのか、悩む事業者も多いでしょう。

今回の記事では、現状の課題と、それに対する国内外での対策の例について紹介します。

スーパーマーケットが直面している課題

スーパーマーケットが抱えている課題は、人口減少、購買形式の変化などさまざまです。

少子高齢化

日本では、約50年以内に高齢化率が10%程度上昇すると予測され、子どもが少なく高齢者の多い「少子高齢化社会」が進行していています。

人口減少に伴う内需の低下はスーパーマーケットの利益に大きな影響を与えます。人口が減れば、それに合わせてスーパーマーケットに足を運ぶ人の数も減少する上、高齢者は若年層よりも食品摂取量が少ないため、全体の消費量の低下が見込まれます。

人口問題研究所の行った「日本の将来推計人口」今後の「食品支出額」に関する試算によれば、日本全国の2010年~2040年までの30年間での食品支出額は約2割減少すると言われています。

食料品を中心に展開しているスーパーマーケットにとっては、人口の減少は売り上げの低下に大きな影響を与える要素となります。

ビジネスモデルの変化:ネットスーパーの利用の増加

インターネット上でのサービスが充実している現代において、食料品を含む生活必需品の購買方法の変化もスーパーマーケットに大きな打撃を与えています。

株式会社ジャストシステムが、マーケティングリサーチに関する情報サイトである「Marketing Research Camp」上で行った『Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2020年3月度)』によると、オンラインネットショッピングを利用したことがある人の中で、「ネットスーパー」を「知っている」人は95.1%でした。

その中で、実際に「利用している人」は22.3%「利用している人」のうち「利用頻度が増加した(直近3か月で)」人は28.6%「やや増加した」人は32.7%という結果でした。

ネットスーパーを利用している人のうち、合計61.3%の人が直近3か月での利用頻度が増加しており、反対に「頻度がやや減少した」と回答した人は6.1%、「頻度が減少した」人は2.0でした。このことから、ネットスーパーを利用する人の数は今後も増加していくことが予想されます。

人手不足

2020年に世界的な感染拡大が起こった新型コロナウィルスの影響で、スーパーマーケット利用をする人の数は大幅に増えました。その結果、従業員は通常以上の業務量をこなす必要があり、大きな負担がかかっているという問題があります。

株式会社大成広告社が現在スーパーマーケットで勤務する人を対象にして行った「緊急事態宣言下におけるスーパー勤務の実態」調査によると、実際に「緊急事態宣言前と後で、仕事の忙しさに変化はありましたか」とのアンケート調査に対し、34.0%の人が「とても忙しくなった」、33.0%の人が「忙しくなった」、13.2%の人が「少し忙しくなった」と回答しました。合計80.2%の人が、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言以降に仕事が忙しくなったと感じていることになります。

2019年のスーパーマーケット年次統計調査報告書によると、人手不足を解消するためセルフレジの導入が進められており、清算を機械で行うセルフ精算レジ(セミセルフレジ)の設置率(「設置店舗がある」企業割合)は57.9%となりました。人手不足の問題を解決するため、セルフレジ、セミセルフレジの設置率は、年々増加傾向にあります。

スーパーマーケットが取り入れたい3つのポイント

スーパーマーケットが抱える課題を解決するためには、画一的な対応をとるよりも、地域性を見極め、現状に合った対策をとることが必要です。

「消費者」を考えた売り場作り

スーパーマーケットの特徴は、実際に売り場に足を運んで必要なものを購入するという購買の形式です。

「インストア・マーケティングとは、売り場を訪れた消費者に対して、いかに効果的に商品の宣伝を行うかを考えるマーケティングです。店頭における商品の見え方や、消費者の動線を意識した商品の配列を行うことで、より効果的に商品を手にとってもらうことを目指します。

店内における「実演販売」インストアプロモーションの一つとして挙げられます。商品サービスをより詳細に説明することができ、魅力を知ってもらうきっかけになります。

実演を実際に行うスタッフのスキルによって売上が大きく変わるため、スタッフの訓練が必要となります。消費者を引き付けるような宣伝を行うことができる上、ネットスーパーにはない実店舗を持つスーパーマーケットならではの強みとなります。

ウェルネスサポート

全国スーパーマーケット協会は、今後のスーパーマーケットの在り方として、「ウェルネスサポート」の必要性を提唱しています。

「ウェルネスサポート」とは、「地域の健康を支えるのはスーパーマーケット」として、消費者の健康をサポートできるような商売の展開を指します。来店者が健康的な生活を送れるよう、献立提案を積極的に行い、また、従業員もやりがいをもって働くことのできるような店舗づくりを目指します。

大手スーパーのダイエーでは、消費者が購入したものから栄養状況が把握できるようなアプリを導入しました。ユーザーはこのアプリを使用することで、どのような食生活を送っているかを管理できます。スーパーマーケットが商品販売の枠を超え、「ウェルネスサポート」として健康的な生活の支援を行うことの一例と言えます。

デジタルマーケティング

一昔前のスーパーマーケットの集客方法としては、新聞の折り込みチラシなどの特売品情報を載せ、それを見た人が目当ての商品を買うために足を運ぶというものが主流でした。

しかし、この方法ではどの消費者がチラシを見て来店したのかを知ることは難しく、広告を打つことへの費用対効果を掴むことが難しいという問題がありました。

現代では、広告宣伝の方法は、紙媒体からデジタルに大きく変化しています。そのため、消費者のスマートフォンのGPSやWi-Fiの接続を確認することで、位置情報や消費行動を把握できます。

消費者の位置情報を得るためには、「GPS」「Wi-Fi」「ビーコン」があります。「ビーコン」とは、消費者の現在位置に合わせて近くにあるショップやサービス情報を提供する媒体です。

これらの要素を活用し、消費者のオフラインでの行動を把握することで、宣伝効果をより詳細につかむことができ、マーケティングに活用できます。

スーパーマーケットでのプロモーション事例

スーパーマーケットのプロモーションでは、実店舗への呼び込みが重要です。日本国内、海外における事例をいくつか紹介します。

国内事例1.エブリイ:アプリを利用して販促強化

広島県、岡山県で食品スーパー直営34店舗を持つエブリイでは、15期連続で売上2桁成長を達成しています。人気の秘密は食品の鮮度と価格力で、開店前には100人以上の行列ができることもあります。

エブリイが行っているプロモーションの一つが、現在32店舗展開されているエブリイのアプリです。エブリイのアプリを利用することで、各店舗のチラシを閲覧することができるだけではなく、新鮮な魚などの生鮮食品の情報を得ることができます。

アプリ導入のきっかけは、少子高齢化に伴い紙媒体を活用した宣伝方法の効果が薄れたため、より若年層にアプローチすることができる宣伝方法を模索したことでした。時代背景に適応したプロモーションの好例と言えます。

国内事例2.イトーヨーカドーなど: ジオターゲティングで広告

大手スーパーのイトーヨーカドーでは、凸版印刷株式会社が運営する「ココチラ」というジオターゲティング広告を導入しています。

ジオターゲティング広告とは、消費者の位置情報を解析した上で広告を配信する方法です。現在の位置情報の他に、過去にどこにどの程度滞在していたのかを知ることができるため、消費者の興味関心を知ったうえでマーケティングに活かせます。

不特定多数に向けて広く発信する広告よりも、特定のより訪店確率の高いユーザーに向けた対応が可能で、低コストで高い集客効果が望めるという特徴があります。

海外事例1.ALDI:健康を考えた6種類の品を低価格で提供

ドイツの大手スーパーALDIでは、Super 6というプロモーションを実施しています。

これは、消費者が選ばなくてもいいように2週間ごとに新鮮な肉、魚、果物、野菜が6種類選出される仕組みです。選出されたSuper 6は、健康で超低価格な食材として提供されます。

ALDI Kantar Worldpanelによると、ALDIの売上は2017年1月29日までの12週間で前年比12.4%も上昇したことが分かりました。

海外事例2. Target:アプリで買い物の利便性を高める

アメリカの大手スーパーTargetでは、ユーザー向けのさまざまな機能を融合させた独自のアプリを導入しています。

このアプリでは、クーポン商品がセール中かどうか、在庫・レビューチェック、配達、決済など、幅広い機能が一つにまとまっています。

アプリ内にクーポンがあるため、購買予定になかったものを買ってもらえる機会を創出できます。

スーパーマーケットは消費者目線のプロモーションで差別化

ネットスーパーの利用者増加や少子高齢化などの課題により、スーパーマーケットにとって厳しい状況が続いています。さまざまな課題を抱えているスーパーマーケットにとって、問題解決のカギとなるのはリアル店舗への呼び込みを目的としたプロモーションです。

地域にとって人口分布や消費の特徴は異なるため、画一的な対応をしても効果が出るとは限りません。海外事例にもあるように、単に商品を陳列して待つだけでなく、時代背景に合った広告の方法を用い、健康的な消費者の生活を支えるような提案型の商品展開・発信が必要です。

自身の店舗がどのような状況にあるのかを丁寧に分析し、対策を練ることが求められます。

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    口コミラボ編集部

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