新型コロナウイルスの影響で、さまざまな業界で廃業や事業の撤退が相次いでいます。緊急事態宣言は解除されましたが、民泊営業者にとって気がかりなのは、今後の動向ではないでしょうか。
消費者が今後、いつ頃にどのような旅行を考えているのか知ることは、民泊の営業において有効です。同時に、民泊を営業するにあたり、新型コロナウイルス感染予防対策を行うことが必須になっています。
緊急事態宣言が全国で解除されるまでの流れを振り返りながら、消費者の動向と感染対策について、調査結果と感染予防対策のガイドラインを基に解説します。
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民泊のコロナ対策事例
緊急事態宣言解除の動き
4月7日に発令された緊急事態宣言は、5月6日という当初の期限を過ぎたものの、5月14日には39県で解除されました。同25日には東京や北海道を含め全国で解除となり、長期に渡った外出自粛制限は終止符を打ちました。
ここでは、緊急事態宣言解除の動きを振り返ります。
【5/14】39県の緊急事態宣言の解除
安倍晋三首相が5月14日の記者会見で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を一部解除することを表明したことをうけ、日本政府はこの日、47都道府県のうち39県で緊急事態宣言を解除しました。
解除されたのは、特定警戒の対象となっていない34県と特定警戒都道府県のうちの茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県でした。東京、大阪を含む大都市や、感染が広がっていた北海道など8都道府県については、21日をめどに専門家による評価を行い、状況によって期限の31日より前に解除するとしました。
【5/21】関西3府県の緊急事態宣言の解除
5月14日以降も新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が続いていた8都道府県のうち、京都、大阪、兵庫の関西3府県は、21日の午後に宣言が解除されました。
政府は東京をはじめとする埼玉、千葉、神奈川の首都圏4都県と北海道は以降も継続し、宣言の期限である31日までに解除が可能か、28日をめどに判断する方針であることを発表しました。
首都圏1都3県と北海道も解除へ
政府は5月25日午前9時半から緊急事態宣言の解除に向け、感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」を開催しました。西村経済再生担当大臣は、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言について、宣言が続いていた東京など首都圏の1都3県と北海道をし、全国47都道府県の解除宣言を行う方針を諮問しました。
西村経済再生担当大臣は諮問委員会の冒頭で、感染状況等について改めて分析と評価を行い、総合的な判断を行った結果、47都道府県において緊急事態の解除宣言を行いたい旨を述べました。さらに諮問委員会では、基本的対処方針を改定し、宣言を解除した後の、都道府県をまたぐ移動や外出自粛、イベント開催制限の段階的緩和についても諮問されました。
この内容には、宣言解除後に新しい生活様式が定着するまでは、約3週間ごとに地域の感染状況をみながら外出の自粛やイベントの開催制限などを段階的に緩和することを5月末までは避けることなどが盛り込まれていました。
国内の消費者の動向は?旅行業界に関するトレンドを整理
緊急事態宣言が解除された今、旅行業界では消費者の動向が注目されています。消費者が抱く今後の旅行計画について、ある調査結果が発表されました。
今後の消費者の動向と予想される入国制限の展開とともに詳しくみていきます。
緊急事態宣言解除の後は国内旅行需要が高まる可能性
厳選した旅・食・遊情報を提供するメディア「Travelzoo(トラベルズー)」を運営するトラベルズー・ジャパン株式会社は、旅行好きを中心とした日本国内の会員を対象に調査を実施しました。この「緊急事態宣言解除後の旅行意向に関する調査」では、国内旅行の早期再開を望む回答が半数以上にのぼりました。
まず、国内旅行の再開時期を問う質問では、「すぐにでも」と回答した会員が23.6%、「1~3か月後」が41.6%と、3か月以内の国内旅行の再開意向を持つ回答者が65.2%という結果でした。
次の海外旅行の再開時期に関する質問では、「すぐにでも」と回答した会員が8.7%、続く「1~3か月後」が15.3%、「4~6か月後」が23.0%と、合わせて6か月以内の海外旅行の再開意向を持つ回答者が47.0%でした。
しかし、「1年以上先」と回答した会員が32.9%いることから、海外旅行の早期の再開に対しては慎重な意見もみられます。
事実、182か国の国や地域が日本人の入国ないし入国制限を設けているため、海外旅行の早期再開は難しいといえます。
国内旅行再開の場合も、感染リスクを心配する傾向
緊急事態宣言解除後に、最初に行きたい旅行についての質問では、「自宅から片道2時間圏内でマイカーを利用する個人旅行」と答えた回答者が29.9%、「自宅から片道2時間半以上でマイカーを利用する個人旅行」が17.0%と、移動手段をマイカーと答えた回答者の割合が合わせて46.9%に達しました。
このことから、感染リスクを心配し、鉄道やバスなどの公共交通機関の使用を避けた旅行を考えている回答者が多いことがわかりました。
その一方では、「国内で航空機を利用する個人旅行」を選んだ回答者が20.3%、「海外で航空機を利用する個人旅行」と回答した会員が14.0%いました。マイカーでは赴けない遠方や近場では代替できない観光資源を持つ旅先であれば航空機を利用するといった回答もみられました。
今後の入国制限の展開予想
5月22日に行われた記者会見で茂木敏充外務大臣は、5月末までの予定であった全世界の国・地域を対象にした5入国規制を1か月程度延長する方針を示しました。同時にインドやアルゼンチンをはじめとする11か国の新型コロナウイルスに関する感染症危険情報をレベル3「渡航中止勧告」に引き上げたことも発表しました。
発給済み査証(ビザ)の効力停止やビザ免除の凍結などの現行措置は継続実施し、日本人も含め入国者には入国後14日間の自宅や宿泊施設での待機が要請されます。
茂木外相は入国規制を巡り、国内での感染収束後に3段階で緩和することを明らかにしました。第1段はビジネス客、第2段に留学生らが対象になり、観光客はかなり先になると述べ、訪日外国人を再び迎えるのはまだまだ先になりそうです。
民泊がとるべき今後の感染予防対策は?
世の中で感染症対策が叫ばれるなか、旅館やホテルといった宿泊施設向けのガイドラインが公開されました。OTAのAirbnbも衛生強化に乗り出しており、感染予防対策は民泊においても必須といえます。
宿泊施設におけるガイドラインとAirbnbの衛生強化プログラムについて解説します。
宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン第1版を公開
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟は5月14日、「宿泊施設における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」を発表しました。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の提言を受けて作成されたこのガイドラインは、新型コロナウイルス感染症の流行が終息するまでの対策をとりまとめています。
項目は、留意すべき基本原則と各エリア・場面の共通事項、各エリアごとの留意点、宿泊客の感染疑いの際の対応と大きく3項目です。内容には従業員と顧客の接触をなるべくさけることやその方法、消毒すべき箇所が細かく明記されています。
もともとは旅館とホテル向けに作成されたガイドラインではありますが、宿泊施設での感染予防対策として、民泊でも参考になる内容になっています。
Airbnbも衛生強化プログラムを作成中
Airbnbも新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、清掃・衛生強化プログラムを作成し、開催する旨を発表しました。世界中にホストを抱えるAirbnbでは、ホストと実施したリスニングセッションにおいて清掃や消毒方法に関するガイダンスの提供が求められていました。
Airbnbはホストが効果的な清掃ができるよう、元米国公衆衛生局長官ビベック・マーシー氏やサービス業・医療衛生業で使用される清掃基準の設定に協力した企業の指導のもと、新しいガイドラインを作成しています。このガイドラインには、米国疾病管理予防センター(CDC)の推奨事項も含まれていることも明らかにしています。
AirbnbのようなOTAも専門家の指導を基にしたガイドラインを作成していることから、宿泊サービスを提供する民泊営業者も、感染予防に関するガイドライン作成には注視する必要があります。
集客の前にコロナウイルス感染対策のガイドラインをチェック
新型コロナウイルス感染対策おける緊急事態宣言解除後は、国内旅行の需要が高まっています。かつてない程の移動制限で国内旅行が注目されているなか、この需要を取りこぼすことは民泊の営業に大きな痛手となるでしょう。
観光客に安心して宿泊施設を提供するためには、民泊営業者も感染対策をしっかりと行っていかなければなりません。旅館・ホテル、Airbnbが行うガイドラインを参考にしながら、すぐにやってくる観光シーズンに向けて衛生面の対策をはじめることが、民泊事業者の「今できること」の1つといえます。
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