8月8日に閉幕した東京オリンピック期間中、五輪選手への誹謗中傷問題が相次いで報道されました。
誹謗中傷の問題をめぐっては、いわゆる有名人のみならず、一般人・企業も被害者となる可能性があります。TwitterなどSNS上で炎上したり、企業の場合はGoogle マップなど口コミサイト上の口コミが荒らされたりといった被害が起きています。
本記事では、五輪選手への誹謗中傷問題に加え、誹謗中傷された際の対処法についても解説します。
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五輪選手に向けた誹謗中傷、相次いで報道される
8月8日に閉幕した東京オリンピックで、日本は史上最多となるメダル数を獲得し、選手の活躍が大きな注目を集めました。
一方で五輪選手のTwitterの個人アカウントに、多数の誹謗中傷が投稿されるケースが相次ぎました。
卓球で金メダルを獲得した水谷隼選手は、「くたばれ」「消えろ」などと書かれたダイレクトメッセージが相次いでいるとツイートしました（参照：時事通信）。悪質な誹謗中傷は全て記録し、関係各所に連絡を行い然るべき措置を取るとしています。
また体操男子個人総合で金メダルを獲得した橋本大輝選手への誹謗中傷を受けては、国際体操連盟が採点の詳細を公表し、審査の正当性をSNS上で説明する事態となっています。
メダル獲得後、ネガティブな投稿が急増
ITmediaは、7月23日から8月2日までの間に、卓球の水谷選手に寄せられたTwitter上のメンション（@を付けて言及するツイート）約2万2,000件の内容を分析し、ポジティブな投稿とネガティブな投稿の割合の推移を調査しています（参照：ITmediaNEWS）。
これによればポジティブな投稿の割合は、開会式の行われた7月23日から、水谷選手が混合ダブルスで金メダルを獲得した26日まで増加し、27日にはピークで約45%となりました。
一方で25日までほぼゼロだったネガティブな投稿は、メダル獲得の26日から見受けられ始め、31日にはピークで20%にものぼりました。
※ただしネガティブな投稿には「中傷に対する批判」が含まれる場合もあるため、全てが選手に対する中傷とは限りません。ITmediaは、26日と27日に選手への中傷・批判的な内容が投稿され、それに対する批判のツイートが28日以降に増えたと分析しています。
ネット上の誹謗中傷、他人事ではない
インターネット上の誹謗中傷は他人事ではありません。TwitterやGoogle マップ、口コミサイトなどで、誹謗中傷を目的とした投稿が行われることがあります。
2020年9月には人気ラーメン店で、「業務用スープを使用している」などと虚偽の投稿が繰り返されたことに対し、店側が裁判を起こした事件もありました。
また最近では、江ノ島電鉄線の列車の試運転を撮影しようとした人々が、自転車に乗って列車の近くを走っていた男性を邪魔に感じたことから、自転車に乗っていた男性が働いている飲食店のGoogle マップ情報に多数の誹謗中傷を投稿したことも話題を集めました。
Twitter・Google口コミで誹謗中傷された時の対処法
もしもTwitterやGoogle口コミで誹謗中傷されてしまった場合は、どう対処すればよいのでしょうか。対処法として、主に以下の3つの方法が挙げられます。
1. プラットフォーム側（Twitter・Google）に報告する
まず、問題のツイートや口コミについて、Twitterの運営元やGoogleなどに報告する方法があります。
Google マップに寄せられた口コミに対して、削除のリクエストを送る手順は次の通りです。
- Google マイビジネスにログインする
- 「クチコミを管理」をクリック（ビジネス情報が1つの場合は、左側のメニューで「クチコミ」をクリック）
- 削除したい口コミの右に表示される3つの点（縦3点リーダー）をクリック
- 「不適切なクチコミとして報告」をクリック
またTwitterの投稿の削除依頼をする方法は、次の通りです。
- 報告したいツイートを表示する
- アイコンをクリックまたはタップする
- [報告] を選択し、[不適切または攻撃的な内容を含んでいる] を選ぶ
- 報告対象の問題に関する追加情報を入力し、送信する
プラットフォーム側に認められれば削除され、悪質なアカウントは停止される場合もあります。
2. 口コミサイトでは、返信により事実でない箇所を訂正する
返信機能を利用して、事実でない箇所を訂正するという方法があります。
特にGoogle マップなど口コミサイトでは、他のユーザーが口コミを見て来店するかどうかを決めるため、事実と異なる口コミにより悪印象を与えることを防ぐために実施したい施策です。
ネガティブな投稿に対して旅館側が返信したことで、ユーザーへの印象を変えることにつながった事例もあります。
プラットフォームに削除依頼を送る方法では、プラットフォーム側に認められないと問題の口コミは削除されません。返信により店舗側の主張を述べておくことは重要といえます。
3. 法的措置をとる
度を越した悪質な中傷に対しては、法的措置をとるという手段もあります。
Google マップ上で違法または権利を侵害していると考えられる口コミが投稿された場合は、Google側が「法的な理由でコンテンツを報告する（https://support.google.com/legal/answer/3110420）」という専門窓口を用意しています。
投稿者を特定し、投稿の削除を直接要求する、もしくは投稿者に対し訴訟を起こす場合は、SNSとプロバイダ（通信事業者）への情報開示請求を行います。
これらの詳細については弁護士に相談するのが確実です。
なお、これまでその煩雑さが課題となっていた投稿者特定の手続きについて、投稿者情報の開示を容易にする改正プロバイダ責任制限法が4月に成立しました。裁判所がSNSと通信事業者へ同時に開示を命令できるようになります。
投稿者特定にかかる期間を半年程度に短縮し、被害者側の手続きを簡略化することで被害者の救済につなげる狙いで、2022年中に施行される見通しです。
企業では日頃から口コミを監視し、誹謗中傷・炎上リスクへの備えを
東京五輪で多数の日本人選手が被害に遭った誹謗中傷は、店舗経営者など一般の人にとっても身近な問題です。
特に企業では口コミを放置しておくと、知らないところで炎上するリスクもあります。
日頃から悪質な口コミがないか監視しておくとともに、いざという場合の対処方法を理解し、備えておくことが重要です。
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＜参照＞
NHK NEWS WEB：五輪 選手へのSNS中傷 “許されない”
日経ビジネス：誹謗中傷とは？ネット上に飛び交うデマが企業や人命に及ぼす影響
JCAST NEWS：「チャリ乗ってんな！」「どけ！」「金だろ」撮り鉄が通行人に次々罵声 深夜の江ノ電で何が起きた
一般社団法人ネット削除協会：今すぐツイート削除依頼！Twitterの誹謗中傷・個人情報の削除方法
時事ドットコムニュース：投稿者特定、半年で ネット中傷対策、改正法成立
