口コミで営業妨害された際の対処法とは|名誉棄損、信用毀損罪が成立する可能性も

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ネット上で悪質な口コミによる営業妨害を被った際、信用毀損罪、偽計業務妨害罪、名誉毀損罪といった犯罪に該当する可能性があります。

口コミやレビューが集客に左右する昨今、悪質な口コミに関しては、客観的に判断して対処することが重要です。

この記事では、飲食店を経営するにあたって押さえておきたい悪質な口コミの例や法律に基づいた対策法をご紹介します。


ネット上での悪質な口コミが営業妨害に

口コミは顧客が来店する際に参考にするため、事業者は口コミをたくさん集めたい反面、営業に支障きたす危険性もあります。

飲食店に対する悪質な口コミが書き込まれる場所や悪い口コミの例などを紹介します。


悪質な口コミの例

口コミを書き込む先は、食べログぐるなびなどのレビューサイトGoogleマップブログSNS掲示板などがあります。

悪質な口コミの例としては「とても不味かった」「ボッタクリされた」など、料理の味・品質・衛生面・サービス・経営面などについていわれのない悪評を書かれるというものが挙げられます。

さらに「あのお店のウェイターが彼氏と別れたらしい」などと従業員のプライベートな情報を流出させたり、反対に従業員が悪ふざけしている写真をTwitter投稿してしまったりなどの例もあります。

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風評被害の影響

悪質な口コミは、来店を検討している新規顧客が別の店舗を選び来店を中止したり、予約を別の店舗に変更するなどの影響がもっともわかりやすいでしょう。

それだけではなく、信頼関係を築いてきたリピーターの心も離れてしまう可能性があります。

さらには社会的イメージが低下することで、テレビや雑誌などの取材や特集などの対象から外されてしまい、自社をピーアールする機会を失ってしまうことも考えられます。

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悪質な口コミで被害を受けたとき成立する犯罪

ネット上での口コミによって店舗がなんらかの被害を受けた場合、大きく分けて3つの犯罪が成立する可能性があります。

飲食店を経営するにあたって、どのような口コミでどのような罪が成立するのかを把握しておくことが大切です。

1. 信用毀損罪

信用毀損罪とは、わざと悪い噂を流したり、インターネット上に嘘の情報の書き込みをするなどして、他社の信用を失わせる行為を裁く法律です。企業などの法人・法人格のない団体を含む、人の経済的・財産的な信用を保護する目的があります。

偽計業務妨害罪とともに刑法第233条で規定されており、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の信用を毀損し、業務を妨害した者は3年以下の懲役、又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。

ここでいう「虚偽の風説を流布」には、「インターネット上で嘘の口コミを流す」ことも該当します。

インターネット上での飲食店に向けた悪評は、例え1人に向けて伝えた情報だとしても不特定多数の人に伝わり誹謗中傷へとなり得ます。そのため店舗の信用を失わせてしまうので業務を妨害したことになり、信用毀損罪に該当します。

信用毀損罪は、書き込まれた内容が真実ではなく、「虚偽」である場合にのみ罪が適用されます。

2. 偽計業務妨害罪

偽計業務妨害罪とは、真実を知らない人を騙すことによって業務を妨害する人を裁く法律です。刑法第233条では、信用毀損罪とともに「偽計を用いて業務を妨害した者」を偽計業務妨害罪で処すると記されています。

ここでいう「偽計」は、「まだその店舗に行ったことがない人に向けて悪質な口コミを書き込む行為」を指します。その口コミを見た人が、店舗に来店しなくなる恐れがあり、業務妨害につながるからです。

また、実際に店舗の売上が減ったり評判が下がったかどうかではなく、「そうなる恐れがある行為」自体が偽計業務妨害罪に該当します。

その際に注意すべきことは、1度や2度の口コミでは単なる感想と捉えられることもあり、同じ人が何度も悪評を流した場合に偽計業務妨害罪に問われるという点です。

3. 名誉毀損罪

名誉毀損罪とは、具体的な事実を挙げて、それを多数の人に伝えることで社会的評価を低下させる人を裁く法律です。

刑法第230条で「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、3年以下の懲役、若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金に処する」と定められています。

たとえば、「Aさんは部下に対して暴力を振るっている」と多数の人に伝え、Aさんの社会的評価を下げた場合、名誉棄損罪に当たります。

気をつけなければならないのは、名誉毀損罪は信用毀損罪・偽計業務妨害罪と異なり、内容が事実であってもなくても罪となる場合があることです。また、被害者が刑事告訴しなければ書き込んだ人が起訴されない点も、他の2つの罪と異なります。

なお、ネット上で嘘の悪評を書き込まれた場合は、人の信用を毀損したうえに社会的評価を下げる恐れがあるため、信用毀損罪と名誉毀損罪の両方が成立する可能性があります。

ネット上の悪質な口コミで営業妨害されたときの対処法

営業妨害につながりそうな悪質な口コミに対して、いくつかの対策があります。

プロバイダ責任制限法や刑事告訴などを使って、悪質な口コミから飲食店を守る方法をご紹介します。

サイト運営者に削除依頼をする

自身の店舗に対する悪質な口コミを見つけた場合、最初に推奨したい行動は、該当する口コミが書かれているサイト運営者への削除依頼です。口コミが削除されなければその悪評がいつまでも不特定多数の人の目に触れることとなり、さらなる被害拡大につながりかねません。

口コミが投稿できるサイトのほとんどが、削除依頼ができるような問い合わせページが設けられています。もし、そのようなページが見当たらない場合は、サイトや運営者についての概要欄などからメールアドレスを探し、連絡すると良いでしょう。

ただし、削除依頼をすることで、必ず口コミを削除してくれるとは限りません。削除されない場合は、プロバイダ責任制限法に伴い送信防止措置依頼を書面で送ることで、運営側も真摯に受け止めてくれるでしょう。

発信者情報開示請求で犯人を特定

悪評を書き込んだ人に対して損害賠償請求や刑事告訴をする場合、まずは犯人を特定しなければなりません。そのため、プロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求をする必要があります。

発信者情報開示請求とは、サイト運営者に対して犯人のアカウントのIPアドレス開示や、プロバイダに対して個人情報の開示を求める制度です。

発信者情報開示請求をしたとしても、個人的な開示請求に応じる運営者やプロバイダは多くはありません。そのため、仮処分命令や開示請求訴訟の申し立てなどの法的手続きを取ってから開示請求をするのが一般的です。

犯人を特定して損害賠償を請求

飲食店の中には、法人化していて株式市場に上場しているなど、知名度が高い店舗もあります。もしも悪質な口コミによって法人の信用が低下させられた場合、株価に悪影響が及び会社として大きな損害を受けることになります。

法人化していない場合でも、飲食店の売上が下がるなどの営業妨害につながる可能性があります。そのような場合は、口コミを書き込んだ相手に慰謝料や損害賠償を請求できるケースも存在します。

しかし犯人を特定するには費用がかかり、場合によっては起訴までたどり着けずに、それに費やした費用と労力が無駄に終わることもあります。そのため、悪評は無視して放っておくという対処法をとる飲食店も少なくないようです。


削除の要求・専門サービスへの相談など、冷静な対応を


悪質な口コミの投稿は、飲食店の営業妨害になり得ると同時に、刑罰が成立する場合もあります。信用毀損罪、偽計業務妨害罪、名誉毀損罪のいずれかに該当する場合が多く、そのときの状況や専門家のアドバイスを元に法律に基づいた対処をする必要があります。

刑事告訴などをするのは簡単なことではないため、本当に必要かどうかを冷静に考えてから対応することが大切です。自社に対する悪質な口コミを発見した場合は、冷静に判断してから、どのような対策をとるか決めると良いでしょう。

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