「アパレルは高すぎる」論は正しいのか Tabio・靴下屋の指摘にみる、品質維持とブランディングの重要性

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「Tabio」「靴下屋」などのブランドを展開するタビオ株式会社は運営する公式Twitterアカウントで、靴下産業の課題について言及しました。

靴下の全体的な品質の低下を指摘するような内容で、1万回以上リツイートされるなど注目を集めています。

▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット

Twitter:Tabio 靴下屋による投稿

本記事では靴下ブランドであるTabio・靴下屋による指摘を通して、アパレル業界における品質の維持、そしてブランディングの重要性を考察します。

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価格競争が激しい靴下産業

日本では国内の製造業全体の傾向として、低価格な輸入製品が市場を席巻し、価格競争が激化してきています。

靴下産業においても「3足1,000円」など低価格帯の輸入商品が人気を集めていますが、実は1970年代後半以降からこの傾向があったようです。

そしてその後「作った分だけ売れる」時代から、消費者ニーズをより意識した売り手主導の市場構造へ変化していきます。これによりメーカーへの取引価格の抑制圧力が強くなり、輸入価格に対抗するため製造委託先を海外に委託する動きも加速しました。

日本靴下協会のデータによれば、靴下産業における輸入浸透率は2007年に78.3%だったところから2020年には90.2%にまで上昇しており、海外で製造された靴下は広く国内に普及しています。

タビオ株式会社の決算資料上でも、2011年度には中国をはじめ海外からの輸入量が増加傾向にあったことが示されており、以前から国産の靴下を脅かしている状況が見てとれます。

<参照>
タビオ株式会社:平成24年2月期 決算短信
J-Stage:寺前俊考、堀川新吾「靴下産業の現状と課題」
日本靴下協会:靴下統計情報

低価格商品が溢れる現状に対するTabio・靴下屋の持論がTwitter上で話題に

Twitter上で話題となったのは、「Tabio」「靴下屋」ブランドの公式アカウントから、7月13日にツイートされた投稿です。

このツイートでは、「アパレルは高すぎる(=もっと安くしてほしい)」という消費者ニーズを背景に、「3足1,000円」など低価格な靴下が一般的になり、全体的な品質の低下が引き起こされていると指摘しています。

▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット

Twitter:Tabio 靴下屋による投稿

それに続けて、靴下は機械による自動化では再現できない部分も多いといい、価格競争・低品質化が招く技術の喪失にも懸念を示しています。

▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット

Twitter:Tabio 靴下屋による投稿

そのうえで、品質にこだわる自社の方針では大きな市場シェアを狙うことは難しいとしつつも、「最高品質」や「こだわり」という顧客の選択肢を担保するのが使命なのではないかとしています。

▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット

Twitter:Tabio 靴下屋による投稿

この投稿は1万回以上リツイートされるなど大きな反響を読んでおり、ツイートへの返信ではTabio・靴下屋の品質の高さを評価する声が多く寄せられています。

▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット

Twitter:ひー さん @hea444co の投稿

靴下を単なる消耗品として捉えるのではなく、快適性やファッション性などの付加価値を有する商品として評価する返信もみられました。

▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット
Twitter:Haru さん @cocco_0430 の投稿
▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット

Twitter:ももんぶらん さん @nVAHM0RXgscx0lU の投稿

「品質維持」と「ブランディング」の重要性

Tabio・靴下屋の指摘は、「SDGs」が叫ばれそれに向けた企業の社会的責任が問われる現在において、非常に示唆に富むものだといえます。

指摘されている靴下産業をはじめ多くの産業では、低品質・低価格な商品を大量に生産・販売し、すぐに使えなくなり新しいものを買うという大量消費を繰り返しています。

しかし「他社より安く」を追求すると、利益が原価に近づき大量に販売することでしか利益を出せなくなってしまい、自社より安い製品が出てくれば戦えなくなってしまいます。

そうではなく「ここの靴下は履きやすい」といった価格以外の点に価値を見出してもらい、高品質な商品をそれに合った価格で購入してもらう方が息の長い商品になります。持続的な経済活動を促すSDGsの考え方にもマッチするでしょう。

価格以外の点に価値を見出してもらうためには、ブランディングの取り組みが必要です。商品そのものだけでなく、

  • 商品との出会い
  • →店頭・ECを訪れ、色々な商品を見る
  • →購入する
  • →商品の良さを実感する、アフターサービスを受ける
  • →商品のリピート、シェア(他の人に薦める)

といった一連の流れ顧客体験(CX)の価値を向上させ、顧客のエンゲージメントを高めることが求められます。

Tabio・靴下屋が取り組むブランディングとは

Tabioや靴下屋を手がけるタビオ株式会社は、低価格商品に対抗すべくブランディングにつながる取り組みを実施しているようです。

企業理念である「足に優しい上質の靴下を適正価格でお客様に提供する」ことを実現するために、高い技術力と繊細な感性を有する国内工場を厳選し、世界最高峰と言われる日本の靴下製造技術を駆使して商品企画・開発に活かしているといいます。

一方、「3足1,000円」を手がけないというわけではなく、低価格帯の商品が欲しいという需要にも応え、品質をできるだけ維持しながら「3足1,000円」の靴下を展開しています。

▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋による投稿:Twitterのスクリーンショット

Twitter:Tabio 靴下屋による投稿

これについてTwitter上で、「3足1,000円」であっても靴下屋の品質の高さを評価する声が寄せられています。

▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット
▲Tabio 靴下屋の投稿に対する反応:Twitterのスクリーンショット

Twitter:より さん @yo_r1_chan の投稿

そのほかにもEC販売に力を入れ、コロナ禍の非接触需要に対応するなどしています。

そしてなんと2021年6月、Tabio・靴下屋Uber Eatsに対応し、靴下のデリバリーを開始しました。Uber Eatsによる靴下専門店からのデリバリーは初めての取り組みであり、靴下やレギンス、ストッキングなど130点以上の商品がラインナップされ、ギフトにも対応しているということです。

低価格商品がひしめく靴下産業の中で、タビオ株式会社はさまざまな取り組みにより、顧客体験の価値を高め続けています。


<参照>
タビオ株式会社:2022年2月期 第1四半期決算短信
タビオ株式会社:経営方針・中期戦略
Uber Newsroom:Uber Eats で靴下もデリバリー

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