オンラインショッピングが一般的となり、新型コロナウイルスの流行の影響によりECサイト(Electronic Commerce Site)から買い物をする人が増加しています。
ECサイトは種類も多く、事業者の中にはどのECサイトに出店すべきか悩む人も多いでしょう。
この記事ではECサイトを導入するメリットに触れつつ、日本でユーザーの多いAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの3のECモールについてその特徴や利用時の料金について詳しく解説します。
EC導入 2つのメリット
インターネットの普及によりその需要が増加しているECサイトですが、顧客の需要増加以外にも売上増や顧客増につながるメリットがいくつもあります。
その中でも特に大きなメリットが市場の幅広さと購買データの活用がしやすいことです。この2つのメリットについて詳しく解説します。
1. 市場が幅広い
店頭で商品を販売するよりも市場が幅広いのがメリットです。ECサイトはインターネット上で提供されるサービスであり、その特性を活かして国内だけでなく海外のユーザーをターゲットに据えた幅広い市場での売買ができます。
もちろん国内での需要も増加傾向にあります。
経済産業省の調査では、2018年のBtoCにおけるEC市場規模は17兆9,845億円であり、前年比8.96%増加と大きく伸びています。
2. 購買データからプロモーションを行える
データの収集やそれによるプロモーションが容易であることもメリットの一つです。ECサイトでは、どのような人がどの商品を購入したのかというデータを収集し、顧客情報として管理することが可能です。
データを活かすことでプロモーションやCRMに取り組み、売上を伸ばしたり安定させたりしやすくなります。
同時にマーケティングや販促活動にデータを活かすこともでき、顧客の継続した利用や新規顧客の獲得にも期待が持てます。
主要ECモールの比較:特徴
ECサイトの需要が広がるにつれて、それらECサイトが複数集まって1つの大きなお店を作っているシステムがECモールです。ECモールを利用することでより多くの人にショップの存在を訴求でき、認知度の向上につながります。
さらにテンプレートがあるため簡単に出店できることもメリットです。
eMark+の「Site Analyzer」によると、2018年8月から2019年7月のユーザー数の推移においてAmazon、楽天、ヤフーショッピングの順でユーザーが多いことが明らかとなっています。
以下ではユーザー数の多い3つのECモールの特徴について紹介します。
Amazon:商品数が少なくても出品しやすい
「Amazon」はAmazon株式会社が提供するECモールです。Amazonの最大の特徴は「フルフィルメント by Amazon(FBA)」と呼ばれる独自のシステムです。
このシステムを利用することで、他社のサービスを使わず商品の保管、梱包、出荷、配送、返品まで一貫してAmazonで行われます。これにより少数での運営が可能となりました。
出品方法においてもほかのモールでは「出店型」というECモール上に店舗を出す方法を採用している一方で、Amazonは「出品型」というECモール上に商品を出す方法を採用しています。
この出品型を採用しているおかげで商品数が少なくても出品しやすいのがAmazonの魅力です。
ほかにも法人向けの大きな数量での販売やそれに伴う法人価格での取引が可能な上、海外展開もできます。
楽天市場:顧客へメールマガジンを送れる
「楽天市場」は楽天株式会社が提供するECモールです。年間国内EC流通額は3兆9,000億円とECモールの中では国内最大級の流通額を誇り、インターネット通販市場において国内最大のシェアを獲得しているといえます。
Amazonと違い出店型のシステムを採用しているため、店舗へのファンがつきやすくリピーターを作れます。
加えてフォーマットが固定されているAmazonとは違い、店舗ページのカスタマイズが自由にできるので、店舗のイメージに合わせた店舗ページの作成が可能です。
店舗から顧客へメールマガジンを送れるのも楽天市場の魅力です。
またユーザ数3位のYahoo!ショッピングと流通額を比較すると、その差は3.4倍にも及びます。月間ページビュー数も7倍と非常に高く、集客力の高さがうかがえます。
Yahoo!ショッピング:月額固定費などが無料、安く出店できる
「Yahoo!ショッピング」はヤフー株式会社が提供するECモールです。Yahoo!ショッピングは、Yahoo! JAPANのトップページや検索結果ページ、各サービスページ、アプリといった外部リンクを利用できます。
Yahoo! JAPANを利用する人は毎月4,158万人とされており、ECモール利用者以外への訴求効果が期待できます。
最大の魅力は初期費用や月額固定費、売上ロイヤリティといった費用が無料で出店できることです。これにより決まった時期だけ出店したい方や、一時的に出店したい方も利用しやすくなります。
さらにCSVで商品を管理、統計しており、これを活かした分析ツールでより効果的な販促戦略を立てることもできます。
店舗のページはHTMLを採用しているため、カスタマイズの自由度が高いことも特徴です。
主要ECモールの比較:料金
ECモールに出店するには出店料やシステム料といった費用が必要です。流通額や出店システム同様、出店にまつわる費用も出店時の重要な判断基準の一つとなります。
先に紹介した3つのECモールについて、出店時にかかる費用をまとめました。
Amazon:大口出品では月額4,900円
Amazonでは初期費用が無料です。しかし毎月商品50点以上販売する大口出品では出店料として月額4,900円がかかります。
一方月に49点までの出品であれば小口出品となり、販売商品1点につき100円が出店料としてかかります。
販売時には販売手数料が別途約8~15%かかり、Kindleアクセサリを販売する場合には販売手数料が45%となります。
さらに商品により所定の配送料が必要です。決済手数料は販売手数料に含まれているため、別途徴収されることはありません。
楽天市場:出店プランに応じて19,500円〜10万円
楽天市場では出店にあたって初期費用60,000円がかかり、4つの出店プランに応じてそれぞれ19,500円から100,000円の月額出店料が必要です。
販売手数料もプランによって、2.0%から7.0%と異なります。さらに楽天ペイを利用する場合は利用料が決済額の2.5%から3.5%が決済手数料となります。
ほかにもシステム料金として、楽天スーパーポイント負担が1.0%、安全性や利便性向上のための費用として月売り上げの0.1%かかります。アフィリエイトを経由して売り上げた場合の手数料や成果報酬も必要です。
Yahoo!ショッピング:決済手数料など以外は無料
Yahoo!ショッピングに出店するにあたって初期費用、月額出店料、販売手数料、システム利用料は無料です。
基本的な費用がかからないことがYahoo!ショッピングの大きな魅力です。しかし販売時には決済手数料が必要です。例えばクレジットカード決済の場合は決済額の3.24%が決済手数料としてかかります。
ほかにも購入者は金額に応じてTポイントが貯まるため、Tポイントの負担として1%~15%が、アフィリエイトを経由した売上であればアフィリエイトパートナー報酬原資の30%が徴収されます。
ECサイト比較表
以下では、3つのECサイトを表にまとめました。
特徴や料金を比較することで、自社に合わせたサイトの選択をするとよいでしょう。
- 特徴:他社サービスを使わず商品の保管から返品まで可能。出品型(商品単位で売買を行う)
- 初期費用:無料
- 出品料 大口:月額4,900円、小口:1点100円
販売手数料:8~15%
(+配送料)
<楽天市場>
- 特徴:店舗ページを自由にカスタマイズでき、メルマガが送れる。出店型(1企業が1つのショップを運営する形式)
- 初期費用:6万円
- 出店料 プランに応じて月額1万9,500円~10万円
販売手数料:2~7%
(+決済手数料、システム料金など)
<Yahoo!ショッピング>
- 特徴:分析ツールで効果的に販促できる。出店型(1企業が1つのショップを運営する形式)
- 初期費用:無料
- 出店料:無料
販売手数料:無料
(+決済手数料、Tポイント、アフィリエイト料金など)
それぞれの特徴を吟味し、自社に合わせたECサイトの選択を
ECサイトは市場を世界規模に広げられるだけでなく、購入者のデータを蓄積することでプロモーションやマーケティングに活用できる販売方法です。
「出品型」という商品単位での出店を実施するAmazon、国内最大の流通額を誇る楽天市場、商品の管理、統計ツールが充実しているYahoo!ショッピングなど、その特徴はさまざまです。
料金も利用するサービスや料金プランによって大きく違います。
ECサイトを導入する際には、販売する商品や販売予定額、どのような層に商品を販売したいのかといった分析を正確に行い、自社に合ったECモールを選択することが重要です。
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