2022年は、小売業界全体において、生体認証や自動決済を活用した無人店舗や、ECサイトと連携したリアル店舗、品質保証へのブロックチェーン導入など、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが推進されました。
また、家電と家具の大手企業が業務提携することによって売上を伸ばしたり、リアル店舗マーケティングとデジタル技術を組み合わせて小売DX支援事業を展開したりなど、他社と合同で取り組むことで新たなサービスや価値を提供する動きも多く見られました。
2022年後半には、コロナ禍がひと段落したことにより小売業界の復活の兆しが見られるなど、前向きなニュースも多くみられましたが、一方、円安などに伴い企業が原価上昇の煽りを受けるなど、ネガティブなニュースもありました。
この記事では、2022年1月〜12月に起きた小売業界の最新ニュースや動向をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ 本レポートの内容は、原則各月レポート作成当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。(本レポート作成時に追記したものに関しては 「※編集部注:」としています)
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- 1月:世界初の「空中ディスプレイ」をセルフレジに導入、4年間で2万店へ / セブンイレブン
- 2月:ヤマダデンキ、大塚家具を吸収合併
- 3月:ブロックチェーンで産地偽装防止/ローソン
- 4月:高島屋、Z世代を狙う「売らない店」をオープン
- 5月:AI映像解析で消費分析 ソフトバンク
- 6月:店頭POPソリューション「LINE POP Media」リリース 24,000店に導入予定/LINE
- 7月:アイリスオーヤマ:小売店支援事業に参入
- 8月:レジなし、スタッフなしのハイテク店舗実証実験/カインズ
- 9月:ローソン、アバター接客導入
- 10月:離島にドローンで商品配達 / セブンイレブン・ANA
- 11月:ZOZO、初の実店舗オープンへ 「売らない店」で情報収集狙い
- 12月:ファミマのデジタルサイネージ強化へ、伊藤忠がAI開発のスタートアップに投資
目次
1月:世界初の「空中ディスプレイ」をセルフレジに導入、4年間で2万店へ / セブンイレブン
1月28日にコンビニ大手のセブン‐イレブンは、「空中ディスプレイ」技術を活用したセルフレジの実証実験を都内の6店舗にて行うことを発表しました。
この実証実験はアスカネット、神田工業、東芝テック、三井化学、三井物産プラスチックと共同で行われ、コロナ禍での非接触ニーズや人手不足の解消、レジカウンターの省スペース化などの狙いがあります。
実証実験は2月1日から開始され、4年後までには全国で2万店舗にまで無人レジを導入する計画だとのことです。
<関連記事>口コミラボ:世界初「完全非接触」空中ディスプレイのセルフレジ、実証実験開始
<参照>セブン-イレブン・ジャパン:世界初!非接触・空中ディスプレイ技術をPOSレジに採用 『デジPOS』の実証実験をセブン-イレブン店舗にて開始
NHK NEWS WEB:“空中ディスプレー” 非接触技術の無人レジ実証実験 コンビニ
2月:ヤマダデンキ、大塚家具を吸収合併
ヤマダHDは2月14日に、ヤマダデンキが家具専門店の大塚家具を吸収合併することを発表しました。
ヤマダデンキは2019年より大塚家具を子会社化し、ヤマダデンキの店舗で大塚家具の商品を販売するなど、両社の連携を深めてきました。
また、2月10日にはヤマダHDが住宅事業のヒノキヤグループを完全子会社化の契約を締結したことが発表されています。
ヤマダが新しく展開している家電やリフォーム、家具を包括的にそろえる新業態店舗との、共同出店も視野に入れているとのことです。
<参照>
- ヤマダデンキ:子会社間の合併に関するお知らせ
- 株式会社ヒノキヤグループ:株式会社ヤマダ電機による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明 のお知らせ
3月:ブロックチェーンで産地偽装防止/ローソン
コンビニエンスストア大手のローソンは3月17日に、上海の店舗で販売するおにぎりに使用される米の生産地情報について、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ・サービス「SHIMENAWA」で証明する取り組みを開始したことを発表しました。
このサービスは一般社団法人全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会が主催する事業で、「SBIトレーサビリティ」「digglue」「IT FORCE」の3社が合同でSHIMENAWAを提供しています。
この事業を通して、日本産の米を味だけでなく、生産地の魅力や生産から輸送までの一貫した供給体制などを中国の消費者に伝えることで、中国での更なる日本産米の販売拡大が期待されます。
<関連記事>ローソン、ブロックチェーンで産地偽装防止 中国へのコメ輸出拡大に活用
<参照>SBIトレーサビリティ株式会社:上海コンビニエンスストアを活用した日本産米輸出に関する事業において、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ・サービス「SHIMENAWA」を提供
4月:高島屋、Z世代を狙う「売らない店」をオープン
店舗には在庫を置かず、消費者は専用のECサイトを通じて購入する「売らない店」、Meetz STORE(ミーツストア)が4月29日よりオープンしました。
すでにマルイや大丸松坂屋も同じ形式の売り場を持っていますが、高島屋としては今回オープンした新宿店が初店舗となりました。
トレンドに敏感なものの百貨店になじみがないとされる「Z世代」向けの商品をそろえることで、幅広い顧客層の獲得につなげることを狙いとしています。
<関連記事>大丸松坂屋も「売らない店」に 購入はECで、店頭は接客特化
<参照>高島屋:“新たな出会い”がテーマのショールーム型店舗「Meetz STORE」が髙島屋新宿店に4月29日(金・祝)オープン
5月:AI映像解析で消費分析 ソフトバンク
ソフトバンク株式会社は2021年9月、AI映像解析プラットフォーム「STAION(スタイオン)」の提供を2021年度中に開始すると発表しました。
AI(人工知能)がカメラ映像を解析することで、防犯対策や業務効率化に活用するだけでなく、マーケティングや人流分析に活用することで生産性向上につなげることもできます。
これに伴い、「STAION」で利用できる各種サービスやカメラ、AI映像解析機器などを共に提供・開発するパートナー企業を2021年9月21日から募集していました。
「STAION」では、店内商品の欠品、陳列棚の品切れを自動で感知して通知するサービスや工場での不良品、危険な行動、車両番号を検知するサービスなどが提供されます。
<参照>
6月:店頭POPソリューション「LINE POP Media」リリース 24,000店に導入予定/LINE
LINEは6月15日、「LINE Beacon」を活用したデジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」の正式提供を開始しました。
同サービスはユーザーが小売店に来店すると、店内に設置した「LINE Beacon」を通じ、LINEのトークリスト最上部にメーカー企業の広告を掲載できるというものです。
プロトタイプでの実証実験では、店内で広告を受信したユーザーのうち約53%が広告を認知し、そのうち約75%が今後も広告を受け取りたいと回答しました。
2022年6月現在で「LINE POP Media」は、コンビニ大手のローソンのほか、ドラッグストア大手のサンドラッグなど、小売企業合計22社、約24,000店舗での導入が予定されています。
<参照>
- LINE:LINE、デジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」のサービス提供を開始
- exchangewire:LINE、デジタル店頭POPソリューション「LINE POP Media」を開始[ニュース]
7月:アイリスオーヤマ:小売店支援事業に参入
アイリスオーヤマは7月19日、小売店舗を支援する「ストアソリューション事業」に新規参入することを発表しました。
小売業における慢性的な人員不足や新型コロナ対策など店舗運営の業務負担が増加しているほか、電気料金の値上げによる運営経費の負担増、EC市場の成長による消費者の購買行動の変化などにより、実店舗は店舗運営に一層の工夫が求められる状況です。
こうした背景から、小売の実店舗でしか得られない顧客体験と価値創造を提供することが実店舗の課題となっており、アイリスオーヤマはAIのデータ解析やIotセンサー技術を活用し、店舗における様々な記録作業を自動化することで業務のDXを推進するとしています。
<参照>アイリスオーヤマ:法人事業の基盤を拡大「ストアソリューション事業」に新規参入
8月:レジなし、スタッフなしのハイテク店舗実証実験/カインズ
カインズは、デジタル技術を活用し、レジを通らずに買い物が可能な店舗「CAINZ Mobile Store」の実証実験を、9月1日から開始します。
「CAINZ Mobile Store」は、会計時のわずらわしさをなくし、スピーディーに買い物を楽しめるレジのない無人店舗です。店舗入り口にあるゲートに専用アプリのコードをかざして入店し、買い物後、店舗出口から出ると自動的に決済が完了するシステムとなっています。
米AiFiが提供するテクノロジーを採用した本無人店舗により、入店客は非接触かつ買い物にかかる時間を短縮でき、店舗側は省人化による効率向上を期待できるとしています。
カインズ本社1階ロビーに設置し、同店舗の利用はカインズメンバー(従業員)限定とし、今後の展開を検討する予定です。
<参照>株式会社カインズ:「AI と高度なカメラセンサーによる最先端テクノロジー店舗 CAINZ Mobile Store
9月:ローソン、アバター接客導入
ローソンは9月22日、11月末から店舗に設置したモニターに表示したアバターを使った接客を始めると発表しました。
専用オペレーターが自宅などから遠隔操作し、セルフレジや商品の説明などリモート接客を行う想定です。
アバター事業を手掛けるAVITA社のサービス「AVACOM」を導入することで、アバターとオペレーターの動きを連動することが可能になり、音声だけでなく身ぶりや表情を通じて接客を行うことができます。
まず11月末に都内にオープン予定の未来型店舗「グリーンローソン」で実験し、2025年度を目処に全国200〜500店規模に拡大する計画です。
店舗のサービス拡充やセルフレジと組み合わせた省人化、複数店舗での勤務など多様な働き方の実現、アバターを通じた従来のコンビニにはないサービスの提供の実現につなげたい考えを示しています。
<参照>LAWSON:ローソン×AVITA アバター活用で協業開始!
10月:離島にドローンで商品配達 / セブンイレブン・ANA
セブン-イレブン・ジャパンとANAホールディングスは10月17日、福岡の店舗から離島の配送地点まで、夜間にドローンで商品を配送する実証実験を始めたと発表しました。
本実証実験は、セブンの商品配送サービス「7NOW」で注文された商品を、セブン-イレブン福岡横浜2丁目店から能古島島内に設置した5地点の配送先に、日中から日没後の夜間まで、ドローンで即時配送するサービスを実証するもので、10月19日から23日まで実施されました。
日本のドローン物流において日没後の夜間配送サービスの実証は日本初の試みです。
夜間配送により、日中に島外に働きに出ている住民の夕方以降の買い物など、夜間帯のニーズへの対応が可能となります。
今後は本格運用を見据え、配送料や土日配送などの課題の解消に取り組むとしています。
<参照>ANAホールディングス株式会社:ドローン配送サービスの本格運用に向け、夜間飛行・配送の実証を実施
11月:ZOZO、初の実店舗オープンへ 「売らない店」で情報収集狙い
ZOZOは11月9日、表参道に初の実店舗「niaulab(似合うラボ) by ZOZO」を12月16日にオープンすると発表しました。
「niaulab(似合うラボ) by ZOZO」は販売機能を持たない「服を売らない店」で、プロのスタイリストがZOZO独自のAI機能を活用しながら、貸切の空間で来店客それぞれに合った衣服やコーディネートを提案します。利用者は試着した状態でヘアメイクや写真撮影もできます。気に入った商品は商品情報が入ったQRコードを受け取り、ECサイトで購入する仕組みです。
顧客への提案情報を収集し、データ分析の精度を向上させ、AI機能を強化することで、電子商取引(EC)事業の再成長につなげる考えとみられます。
<参照>ZOZO:ZOZO初のリアル店舗を表参道にオープン、 自分の「似合う」が見つかる 超パーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」を開始
12月:ファミマのデジタルサイネージ強化へ、伊藤忠がAI開発のスタートアップに投資
伊藤忠商事は12月23日、スタートアップ企業のIdeinとの資本業務提携に合意したと発表しました。
Ideinは、安価な汎用デバイス「Raspberry Pi」でエッジAI解析を可能にする技術を持つ企業です。
両社はこれまで、伊藤忠商事グループ最大の消費者基盤「ファミリーマート」と、伊藤忠商事とファミリーマートの合弁会社ゲート・ワンと共同で、全国34都道府県・合計3,000店のファミリーマートの店内に設置したデジタルサイネージメディア「FamilyMartVision」を用いて、AIカメラを活用した顧客行動の分析などを行ってきました。
今後はこのモデルをパッケージサービス化し、スーパーマーケットやドラッグストアなどの小売事業者や他業態への展開を予定しているということです。
<参照>伊藤忠商事株式会社:エッジAIスタートアップ企業のIdein株式会社との資本・業務提携について
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本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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