牛丼3社相次ぎ値上げ、マクドナルドのポテトM・Lサイズ販売休止…世界的な物流の混乱が影響【飲食業界動向まとめ2021年12月】

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2021年12月はクリスマスや忘年会シーズンを迎え、ディナー帯の客足が戻りつつあり明るい兆しが見え始めていたところでした。一方で、オミクロン株の市中感染が確認され、飲食店業界は再び正念場に立たされています。

本記事では、12月の飲食業界関連ニュースや市場の動向を紹介します。

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飲食業界動向

緊急事態宣言・まん延防止等重点措置は全面解除され、緩和措置も全て終了し、飲食店は通常営業を再開しました。

期待と不安が入り混じる12月

本来12月は飲食店にとってクリスマスや忘年会シーズンでかき入れ時で大忙しの時期ですが、昨年に続き今年も厳しい状況に立たされています。

一部ディナーの客足が戻り始めるなど明るい兆しが見え始めた一方で、変異株の感染が広まりをみせています。

また、これまで自治体の時短要請に従い受け取っていた協力金の支給も10月分で終了し、利益を協力金で補填していた店舗にとってはこれからが正念場となります。

ディナー帯の動向は?

度重なる緊急事態宣言により、飲食店ではディナーよりもランチの客数が多いという逆転減少が続いていましたが、12月は忘年会やクリスマスといったイベントによりディナーがランチ客数を上回ったというデータが株式会社テーブルチェックより発表されました。

一方日本経済新聞の報道では、11月末から12月はじめの来店客数は3週ぶり減と報じており、その原因としてディナー帯需要の戻りが鈍いことを挙げています。調査によってディナー帯の回復に対する見方は異なるようです。

なお、1月には沖縄県など3県にまん延防止等重点措置が適用されました。適用地域は知事の判断で時短営業や酒類提供の停止などの要請が可能になり、ディナー帯は再び苦戦することが予想されます。

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ファミリーレストラン業界の動向

ファミリーレストラン大手5社の公表資料によると、ロイヤルホスト以外軒並み減少していた10月に比べて、11月の既存店売上は全体的に回復の兆しが見えてきました。

営業時間短縮や酒類提供の制限の要請などが解除され、通常営業を再開しており、ディナー帯の売上が伸びています。

内訳は前年同月比で、すかいらーく4.7%減、セブン&アイ・フードシステムズ(デニーズ)7.3%減となった一方で、サイゼリヤ4.6%増、ジョイフル2.4%増、ロイヤルホスト5.9%増となりました。

このうちすかいらーくは全体としては減少しているものの、緊急事態宣言解除前と比較して2019年比ディナー時間帯の売上が約30%回復しています。また、同グループのカフェ「むさしの森珈琲」、ハワイ料理専門店「La Ohana」、回転寿司「魚屋路」は2019年並みの売上水準を記録しており、好材料といえます。

アルコール1杯「99円」/すかいらーくグループ

株式会社すかいらーくホールディングスの7ブランド(ガストやバーミヤン、ガストなど)で年末まで対象のアルコール(計70種類以上)が1杯99円(税込)で提供されます。

2杯目以降も同価格、対象外のアルコールも特別価格で提供されます。

今後は従来のターゲットであるファミリー層に加えて、お酒を楽しむ中高年層もターゲットとし、客単価を上げる狙いです。

ファストフード業界の動向

ファストフード業界では、原材料や原油価格の高騰により、値上げの動きが続いています。

牛丼チェーン3社が相次ぎ値上げ

ゼンショーホールディングスが展開するすき家では、12月23日にメニューの値上げを発表しました。牛肉は中国や米国での需要が高まる一方で、干ばつによりオーストラリア産の出荷が減少、原油高、さらには2年近く続いている新型コロナウイルスの影響もあって物流コストが上昇しています。

これまでに、松屋は9月28日、吉野家は10月29日と牛丼大手チェーン店が次々と値上げに踏み切っています。牛丼チェーンはこれまで価格競争の激しい業界として知られていましたが、今回値上げに踏み切ったことで外食やサービス業界にも影響を及ぼすものとみられます。

マックフライポテトM・Lサイズが販売休止

日本マクドナルドホールディングスは、12月24日から30日までマックフライポテトのM、Lサイズの販売を休止し、Sサイズのみ販売することを発表しました。

ポテトは北米から輸入されているもので、経由地であるカナダのバンクーバー近郊で大規模な水害が起きたことや、コロナ禍による物流・生産への影響により、輸入に遅れが生じているためと説明しました。

販売休止直前には、消費者が駆け込みで店舗を訪れる様子が各地でみられました。

※なお、31日午前10時半から通常販売が開始されたものの、1月には再び販売が休止されています。

多様性とテイクアウト重視のフラッグシップ店舗オープン/モスバーガー

株式会社モスフードサービスは、12月15日にフラッグシップ店舗として原宿表参道店をオープンしました。店内には、障害のある方たちの作品が内装デザインとして採用され、アートギャラリーのような空間が作られています。

また、同店舗には外部デリバリー専用の「ピックアップロッカー」が設置されています。注文番号を入力するとロッカーの扉が開き、商品を受け取る仕組みです。商品の受け取りをスムーズにし、デリバリー需要に応えていく狙いです。

回転寿司業界の動向

回転ずしチェーン店では、客層の焦点をZ世代に当てたり、テイクアウトに注力したりといった取り組みがありました。

Z世代向け店舗オープン/くら寿司

くら寿司は、原宿にZ世代向けの店舗を12月9日にオープンしました。日本を代表する佐藤可士和氏のプロデュースによって、「世界一映える」寿司屋を目指しているといいます。

店舗内には、浮世絵が装飾された巨大パネルや、東京タワーやスカイツリーが見えるテラス席、自撮り用スタンドの設置といったSNS映えする仕掛けが数々設けられています。また屋台を併設しており、自動ロボットがクレープ生地を焼き、従業員がクレープを作り上げる様子を目の前で見られます。

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テイクアウト専門店、続々オープン/スシロー

株式会社あきんどが展開する回転寿司チェーンスシローでは12月9日、テイクアウト専門店To Goスシローを、大阪でも初めて出店しました。

これまでにも全国各地で出店を加速化させており、高まるテイクアウト需要に応えようとしています。

カフェ業界の動向

カフェチェーン店は、テイクアウト専門店の試みやフードロスの削減の取り組みに積極的です。

駅構内にテイクアウト専門店/サンマルクカフェ

株式会社サンマルクカフェは、テイクアウト専門店として「サンマルクMICRO(ミクロ)」を関東に初めてJR大井町駅の構内に12月13日にオープンしました。

既存店舗の設備を活用するサテライト店舗として運営する新業態で、狭いスーペースを活用できるよう商品は主力商品のみを置き、近隣の店舗から配送されます。テイクアウトデリバリー向けの商品に特化し、最近の中食需要に応えていく狙いです。

タリーズ/「ECO割」でフードロス削減

タリーズコーヒージャパン株式会社が展開するタリーズコーヒーでは12月17日から、当日賞味期限を迎えるフード商品を、閉店2時間前をめどに20%割り引いて販売する「ECO割」を実施しています。

フードロス削減はSDGs(持続可能な開発目標)の一環で、今や世界的なトレンドとなっています。

「サステナビリティ ハブ」店舗オープン/スターバックス

スターバックスコーヒージャパン株式会社は、皇居外苑和田倉噴水公園内に、日本で初となるサステナビリティの実践店を12月1日にオープンしました。

店舗では、二酸化炭素の排出量は約30%、水の使用量は約20%、店舗から排出される廃棄物量は約40%をそれぞれ削減していくといいます。

たとえば、使い捨てカップを削減するために、樹脂製のグラスやタンブラー、繰り返し使えるリユーザブルカップでドリンクが提供されます。フードは陳列せず、表示されるデジタルサインを通じて注文する形で、フードロス削減につなげます。内装もリサイクル素材やリサイクルにつながるものを用いています。

居酒屋業界の動向

大手居酒屋店が他業態の寿司業界に進出したり、新たなマーケティングを行ったりしています。

ワタミ、寿司業界にも進出

居酒屋のワタミ、ミライザカなどを手掛けるワタミ株式会社は、12月9日にお寿司と焼き鳥を主力とする「すしの和」を都内の錦糸町駅前にオープンしました。

ワタミによれば、5年間に100店舗展開する構想を持っているとのことです。

これまでにもワタミは、居酒屋部門がコロナ禍により打撃を受けたことで、焼肉やから揚げなどへの異業態に積極的に参入しています。

ポスティング販促に注力/ワタミ

加えて、ワタミ株式会社が運営する「から揚げの天才」は、インターネット上で印刷や広告の注文を展開しているラクスル株式会社とオンラインとオフラインを融合するOMOマーケティングを用いてポスティングの実証実験を始めました。

チラシに印刷されたQRコードからのアクセス状況などの分析を通じて、OMOマーケティングの成功パターンを探る計画です。

飲食業界データ

12月に発表された飲食業界関連のデータを紹介します。

日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」(11月分)

11月は、多くの飲食店が約1年ぶりに通常営業に戻りました。

日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によれば、テイクアウト需要などでコロナ禍でも好調なファストフード業界は前年比101.9%、コロナ前の19年比でも103.1%と好調を保っています。

また緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で最も打撃を受けていた「居酒屋・パブ業界」は、2020年比96.8%まで回復するなど、明るい兆しが見えてきています。

一方で、2019年比では51.9%にとどまっています。長引くコロナ禍で生活様式が変化している側面もあり、時短営業要請が解除され酒類提供の制限もなくなったとはいえ、依然として厳しい状況は続いているようです。

内閣府「景気ウォッチャー調査」(11月)

内閣府が公表した「景気ウォッチャー調査」によると、11月の指数は3か月連続で改善しています。飲食業界を見てみると、前の月に続き景気の現状判断DI が改善しています。

調査内で紹介された街の声を見ると、全国的に感染者数が落ち着き徐々に客足が戻りつつあることが伺えます。一方、夜の時間帯の客足はまだ戻ってきておらず、感染が再び拡大することを警戒している声も見られました。

博報堂生活総研 [来月の消費予報・1月]

スコアは51.4点と前月からマイナス4.7ポイント、前年比ではプラス2.8ポイント
▲来月(1月)の消費予想:博報堂生活総研

博報堂生活総合研究所が来年1月の消費意欲を調査したところ、スコアは51.4点と前月からマイナス4.7ポイント、前年比ではプラス2.8ポイントという結果になりました。

1月はクリスマスや年末年始の後ということもあり、もともと消費意欲指数が低下する月です。それを踏まえた上で、前年比でプラスを記録したことは、12月に広まり始めたオミクロン株の影響が限定的である可能性を示唆しているといえます。

カテゴリー別消費動向をみると、前年と比べて「食品」「飲料」「外食」を含む11分野で増加しています。

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<参照>
すかいらーく:2021年12月度 すかいらーくグループIRレポート
ジョイフル:月次データ | IR情報
サイゼリヤ:サイゼリヤ月次報告(2022年8月期)
ロイヤルホールディングス:月次売上|財務・業績|IR情報
セブン&アイ・ホールディングス:月次営業情報 | 株主・投資家(IR)
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すき家:値段改定のお知らせ
マクドナルド:北米からのポテトの輸入遅延に伴う「マックフライポテト®」MおよびLサイズの一時販売制限について
モスバーガー:モスバーガー原宿表参道店 12月15日(水)オープン
PRTIMES:出店を加速しているスシローのテイクアウト専門店『スシロー To Go』が大阪初進出!<『スシロー To Go 堺東駅前店』が12月9日(木)オープン>
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    口コミラボ編集部

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