日本フードサービス協会は5月25日、2022年4月度の外食産業市場動向調査を発表しました。それによると、外食産業全体の4月度売り上げ状況は、前年同月比13.5%増となりました。
5業態別では、ファストフードが8.4%増、ファミリーレストランが17.5%増、パブ・居酒屋が81.9%増、ディナーレストランが36.3%増、喫茶が13.0%増となり、全ての業態で前年同月比プラスとなりました。
【5業態全体】外食産業の売上推移
外食産業全体の2022年4月の月次売上推移です。
売上高:113.5%
店舗数:99.1%
客数:106.5%
客単価:106.6%
まん延防止等重点措置が解除されており、前年同月比はおおむね回復傾向にあります。週末や祝祭日に家族連れが増加したことで、商業施設立地の店舗などの売上が好調でした。
一方、2019年比では8.1%減となり、コロナ禍前の水準には届いていません。長引くコロナ禍によって生活習慣が変化したことにより、制限緩和後も夜間は客足が戻っていないようです。また、人手不足に起因して、売上の回復が遅れている傾向もみられます。以前の活気を徐々に取り戻しつつある外食産業ですが、コロナ以前に来ていた人々をどのように呼び戻すか、そして人員をどのように確保していくのかが今後の課題となります。
【ファストフード】コロナ前比で7.7%増、テイクアウトで売上堅調
ファストフードの2022年4月の月次売上推移です。
- 売上高:108.4%
- 店舗数: 99.6%
- 客数:103.7%
- 客単価:104.5%
ファストフードは外食産業5業態の中で唯一、1年以上続けての売上増となりました。コロナ前の2019年同月比でも7.7%増となっています。
ファストフードはテイクアウト向けの商品が多いため、コロナ禍に需要が拡大した業態です。
カテゴリ別にみてみると、「洋風」が10.7%増、「持ち帰り米飯/回転寿司」が2.8%増で、テイクアウトやデリバリー、ドライブスルーを積極的に活用することによって順調に売上を伸ばしました。また、4月は酒類提供制限の緩和や商業施設の活気が戻ったことから、「和風」や「麺類」もプラス圏で推移しています。
【ファミリーレストラン】夜間需要が戻らない一方、休日に家族客が増加
ファミリーレストランの2022年4月の月次売上推移です。
- 売上高:117.5%
- 店舗数:99.2%
- 客数:111.9%
- 客単価:105.0%
ファミリーレストランは夜間営業の需要は戻らず、コロナ禍前の2019年比では20.1%減と、依然として回復には至っていません。さらに、昨今の原材料費の高騰により、価格を改定せざるを得ない状況になったチェーン店も多く見られました。
しかし、値上げによる客離れが懸念される中でも、家族客の需要が徐々に回復したことで売上高を堅調に伸ばしました。4月初旬の春休み期間や4月末の祝祭日を中心に家族客が増加し、「洋風」は12.5%増、「和風」は24.3%増となりました。「焼き肉」は夜間営業も再開されたことで28.1%増となっています。「中華」は、テイクアウトとデリバリーが快調であることに加え、店内飲食も回復したことで売上14.3%増と売上を着実に伸ばしています。
【パブ・居酒屋】前年同月比で181.9%に伸びるも、コロナ前の半分に届かず
パブ・居酒屋の2022年4月の月次売上推移です。
- 売上高:181.9%
- 店舗数:94.1%
- 客数:161.0%
- 客単価:113.0%
パブ・居酒屋は規制緩和の影響を最も大きく受けた業態といえるでしょう。酒類提供の規制により前年に売り上げが激減していたため、前年と比べると81.9%増と大きく伸びたように見えますが、2019年比で52.4%減と、コロナ前売上の半分に届かないのが実態です。
長引いた規制の影響により、二次会や夜遅い時間帯の飲み会を避ける傾向が強く、特に居酒屋はパブ・ビアホールと比べてもかなり低調で、苦戦を強いられています。
【ディナーレストラン】商業施設で少人数客戻る傾向に
ディナーレストランの2022年4月の月次売上推移です。
- 売上高:136.3%
- 店舗数:98.6%
- 客数:125.9%
- 客単価:108.2%
ディナーレストランは、百貨店などの商業施設で少人数客が戻りつつあり、前年比では売上36.3%増となりました。
一方、コロナ禍の生活が日常化したことにより、夜間の入店、長時間の滞在は減少傾向にあります。さらに、大人数での来店や法人宴会の需要はまだまだ戻らないことなどから、19年比では25.8%減となっています。
【喫茶】商業施設立地の店舗で客足戻る
喫茶の2022年4月の月次売上推移です。
- 売上高:113.0%
- 店舗数:97.9%
- 客数:106.8%
- 客単価:105.8%
喫茶は、規制緩和に伴い以前より動きが活発になったことで、ファストフードやディナーレストランと同様に商業施設内の店舗で客足が戻り、13.0%増となりました。
しかしオフィス街立地の店舗では、通勤客がコロナ前に戻りつつありますが、リモートワークの定着もあり需要の回復が厳しく、2019年比では売上23.7%減となっています。
<参照>
一般社団法人日本フードサービス協会:日本フードサービス協会加盟会員社による 外食産業市場動向調査 2022年4月度 結果報告
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