ウクライナの「ライブ交通状況」がGoogleマップから消えた理由

ロシアのウクライナ侵攻に対して、世界のIT企業はそれぞれ自らのビジネス領域においてロシアへの反発や、ウクライナへの支援をする動きをみせています。

ウクライナ情勢をめぐるIT業界の動きをまとめます。

地図サービスの動き

ロシアのウクライナ侵攻を受け、地図サービスではウクライナやその周辺の地図表記に変化が見られました。

今回はGoogle、Apple、百度(バイドゥ)、Yandexの4社の地図サービスでどのような変化があったのか、また2014年にロシアに「併合」されたクリミアをどのように表示しているのか見ていきます。

Googleマップ

Googleの親会社であるAlphabet(アルファベット)は、米国時間2月28日、ウクライナでGoogleマップのライブ交通状況ツールの一部を無効にしたことを明らかにしました。

以下のように、他の国では緑色やオレンジ色の線で渋滞状況が表示されていますが、ウクライナやその周囲は表示されていません。

Googleマップスクリーンショット
▲ウクライナとその周囲の交通状況は表示されず

Googleマップの交通データは、衛星画像を組み合わせることで交通渋滞を発見し、意外にもウクライナ国境に向かうロシア軍の接近を察知することができたといいます。

しかしこれはロシア軍にも同様のことが可能になるというリスクがあります。研究者のJeffrey Lewis博士は、「今日ではGoogleマップを開くと、キエフから逃げる人々を見ることができてしまう」と語っています。

つまりGoogleマップの今回の動きは、ロシア軍がウクライナ軍の動きを追跡し、悪用するかもしれないという懸念からきているようです。

なお、海外からのグローバルアクセスした際の表示は無効になりますが、現地ドライバーのためのローカルのターンバイターンナビゲーション(GPS機器による、目的地へのルートをたどるための情報を逐次表示する機能)は有効のままになっているとのことです。

Appleマップ

Appleが運営している地図アプリ「Appleマップ」はクリミアをウクライナ領土として表記するように変更しました。

遡ること2014年、クリミアはウクライナからロシアへ「併合」されました(なお、ウクライナ、国際連合、日本を含む西側諸国などはこれを認めていません)。これに際して2019年からAppleはマップ上でクリミアとロシアの国境を削除し、天気アプリにおいてもクリミアを独立地域として表示していました。

ところが、2022年3月3日、クリミアはウクライナの一部として表記されるように変更されました。

2022年3月13日時点でもAppleマップで「クリミア」と検索すると、国名が「ウクライナ」と表記されています。天気アプリも同様に「クリミア ウクライナの天気」と表記されています。

Appleのマップアプリと天気アプリ
▲Appleのマップアプリと天気アプリ

百度地图(中国)

中国企業である百度(バイドゥ)の地図サービスを用いてクリミアの都市である「シンフェロポリ(辛菲罗波尔)」を検索したところ、国名の部分には「乌克兰(ウクライナ)」と表示されました。

百度地图(中国の地図サービス)スクリーンショット
▲百度地图(中国の地図サービス)

Yandex Maps(ロシア)

一方、ロシアの企業であるYandex(ヤンデックス)が運営する地図サービスで「crimea(クリミア)」と検索すると、「クリミア共和国」と表示され、国名は「ロシア」となっていました。

Yandex Maps(ロシアの地図サービス)
▲Yandex Maps(ロシアの地図サービス)

ウクライナ情勢をめぐる世界の動き

ロシアのウクライナ侵攻に伴い、企業はロシアに対して制限をかけるなど、偽情報の拡散やロシア国家による情報操作を抑制する対応に追われています。

ロシアでのApple製品購入に制限

ロシア版の「Apple Store」にアクセスして製品を購入しようとすると、「現在、Apple Storeは閉店しています」という案内が表示され、Apple製品を購入することができなくなっています。国内外の一部報道では、ロシアでのApple製品の販売が停止されたと報じています。

また、Apple PayやGoogle Payもロシアで利用できなくなったと報道されています。

ロシア国営メディアに広告規制

YouTubeは、ロシア国営メディアであるRT(ロシア・トゥデイ)を含むロシアのチャンネルに対して、広告の記載に制限をかけ、収益を確保できないようにすると発表しました。

YouTubeはここ数日だけでも数百のチャンネル・数千の動画を削除したと説明しています。その中には情報操作を狙って連携しているチャンネルもあったとしています。

収益化の制限以外にも、これらのチャンネルがおすすめに登場する頻度が低くする対応が行われており、GmailやGoogle ChromeといったGoogleサービス上の広告にも規制をかける方針を示しています。

また、FacebookやInstagramを運営するMeta(メタ)も、ロシアの国営メディアに対して広告記載や収益化を禁止するほか、ロシア国営メディアの投稿したコンテンツの表示順位を下げると発表しました。

ロシア政府関連のツイートに警告マーク

Twitter(ツイッター)は米国時間2月28日、ロシア政府とのつながりを持つとみられるメディアのリンクを含むツイートにラベルを追加しました。

このラベルにはオレンジ色の感嘆符と「stay informed」という文言が書かれています。これは「情報(源)に注意しましょう」という意味があります。

同社は今後、他の政府系メディアアカウントについても同様にラベルを追加する予定だとしています。

ウクライナ情勢をめぐる国内の動き

ウクライナから遠く離れた日本も攻撃を受け、各企業でセキュリティ強化の動きが出ています。また、国内企業ではウクライナを支援する動きが多く見られます。

サイバーセキュリティ対策の強化

2022年3月1日、トヨタ自動車の取引先がサイバー攻撃を受けました。

これを踏まえ、経済産業省は、総務省や警察庁など6つの省庁と連名で、サイバー攻撃事案のリスクは高まっているとして注意と対策を促しています。

企業によるウクライナ支援

1.楽天

楽天グループ株式会社は、ウクライナを含む34カ国で音声コミュニケーションアプリ「Viber」の通話機能「Viber Out」を無料で利用できるプログラムを提供するとしています。

またウクライナとロシアにおいてはViber上からすべての広告を削除するとしています。さらに、ユーザーの合法的かつ自由な言論活動に関する情報は、いかなる政府とも共有しておらず、今後も共有しないと説明しています。

2.ソフトバンク

ソフトバンク株式会社は、ウクライナへ渡航中のソフトバンク、ワイモバイル、LINEMOを使うユーザーについて、3月3日から3月31日の「海外パケットし放題」のデータ通信料を無償にすると発表しました。

ソフトバンクは、「料金を気にすることなく情報収集や安否確認などができるように現地の通信料を無料にする」としています。

3.ZOZO

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOは、ウクライナを支援するチャリティTシャツ「ウクライナ人道支援チャリティーTシャツ」を製作しました。

予約期間は2022年2月28日から3月14日までとなっています。売上は全額寄付され、ウクライナの人々の水や衣料、生活必需品の購入などの支援に充てられる予定です。

寄付金は合計28億3,771万5,060円に達しました。

ウクライナ人道支援チャリティーTシャツ:株式会社ZOZOプレスリリース
▲ウクライナ人道支援チャリティーTシャツ:株式会社ZOZOプレスリリース

一般ユーザーの動き

世界中でロシアに対する非難の声が高まる中、ロシア料理店の口コミなどを利用し、ウクライナ侵攻についての書き込みをする一般ユーザーが増え、問題になっています。

日本のロシア料理店に誹謗中傷

Googleマップの口コミ機能を用いてロシア料理店に嫌がらせや誹謗中傷が書き込まれる例が世界中で相次いでおり、日本国内のロシア料理店も同じく被害を受けています。

Googleは、実際の体験や情報に基づかない投稿ポリシー違反としており、削除するなどの措置をとることで対応しています。

関連記事:ロシア料理店に口コミで嫌がらせ 広がる中傷にGoogleの対応は

ロシア国内の口コミに政治的な書き込みが殺到

ロシア国内の人気レストランにも、ウクライナ侵攻に関する政治的な口コミ投稿が殺到しています。

ロイターの報道によると、人気のあるレストランのレビューにウクライナの写真を掲載することを計画しているユーザーもいるとのことです。

この動きを受け、Googleマップはロシア・ウクライナ・ベラルーシにある店や施設のレビューが表示されないように一時的なブロック措置を行いました。また、Googleの広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対して、該当する地域からの新しい画像や映像の公開を停止したと述べています。

また、旅行口コミサイトの「トリップアドバイザー」にもウクライナ侵攻批判の書き込みが投稿されています。

トリップアドバイザーの広報担当者は、政治的な内容の書き込みを一時的に停止し、そのような投稿をしたユーザーをウクライナ侵攻について語るフォーラムに誘導する方針を明らかにしています。


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<参考>

TechCrunch Japan:グーグル、ウクライナでGoogleマップのリアルタイム交通状況ツールを無効に
INTERNET Watch:ウクライナ情勢をめぐるIT業界の動き ほか
Gigazine:Appleの公式マップがクリミアをウクライナの一部として表記、Googleやロシアの地図サービスでは?
ケータイWatch:アップル、ロシア版サイトで「Apple Store」休業を案内
CNN.co.jp:グーグル、ロシア国営メディアの広告収入断つ措置を発表 ユーチューブに続き
Gigazine:ロシアの国営メディアがYouTube広告の使用を禁じられてウクライナ国内からの視聴も規制される
TechCrunch Japan:ツイッターがロシア国営メディアにリンクするツイートを特別にマーク、リーチの制限狙い
経済産業省:サイバーセキュリティ対策の強化について注意喚起を行います
ケータイWatch:楽天、ウクライナなど34カ国で「Viber」無料通話プログラム
ケータイWatch:ソフトバンク、ウクライナ渡航中の「海外パケットし放題」無償に
株式会社ZOZOプレスリリースZOZOがウクライナの人々への支援としてチャリティーTシャツを製作
Gigazine:ロシアに反対するユーザーたちがGoogleマップなどのクチコミレビューでプーチンのウクライナ侵攻を非難するレビュー爆撃を行いアクセス制限に

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この記事の筆者

口コミラボ編集部

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