ポジショニングマップとは?作成方法や注意点、作成事例を解説

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ポジショニングマップとは、ターゲット層の購買要因を念頭に、市場における自社の立ち位置を見極めるための図表です。現在では、特に競争率の高い飲食店やアパレルなどの小売業界では、戦略的なマーケティングが求められる時代となっています。ポジショニングマップを活用することで、競合他社に対する差別化や自社の優位性が確認できれば、効率的な収益化につながります。

本記事では、ポジショニングマップの概要とマップ作成に必要な要素や注意点を解説します。また自動車とファッション業界の成功事例をもとに、ポジショニングマップの有効性を確かめましょう。

ポジショニングマップとは?

ポジショニングマップとは、ターゲットに設定した顧客層の購買要因をもとに、自社の立ち位置を示す座標軸です。

ポジショニングマップで、自社商品サービスの強みが明らかになり、競合他社との差別化を図れます。

また、代表的なマーケティング戦略であるSTP分析における最終段階にあたります。設定したターゲットが自社商品サービスに合っているか、差別化による収益化は見込めるのか判断するのに必要なものです。

ポジショニングマップの重要性

ポジショニングマップは、自社商品・サービスのマーケティング戦略を成功させる重要な指標となります。ポジショニングマップの作成によって、次の効果が得られます。

  • ターゲットが本当に求める商品サービスを確認・評価できる

  • 自社の立ち位置を確かめ競合他社との差別化を図れる

  • ターゲットと商品サービスの適合性を判断し改善できる


たとえばファッションも、ターゲットによって提供するものが変わります。自社商品に強みがあるとはいえ、ターゲットの求めるファッションと合わなければ収益化は達成できません。

また、ターゲットの購買要因と商品の強みが合っていても、他社との差別化ができなければマーケティングは苦戦します。

ポジショニングマップを正しく作成することで、ターゲット設定の成否やマーケティング戦略の方向性を判断でき、効率的な収益化につなげられます。

ポジショニングマップはSTP分析の到達点であり出発点

ポジショニングマップは、STP分析の最後にあたるポジショニングの段階で用いられ、重要な役割を果たします。

STP分析とは、3つのステップに分かれており、まずはセグメンテーション(Segmentation)で顧客を細かく分類します。次に、ターゲティング(Targeting)で分類した顧客属性からターゲットを決定します。

最後にポジショニング(Positioning)でターゲットの求める自社商品サービスの立ち位置を見極めるという流れのマーケティング方法です。

ポジショニングマップを作成することで他社との差別化ポイントが一目で分かります。そのため最終段階のポジショニングで、それまでの方法が合っていたかどうか、つまり。自社商品サービスがターゲットの求めるものか、競合他社との差別化を図れるのか確認できます。

またポジショニングマップは、マップ作成後の分析によりターゲット設定を見直したり、本格的なマーケティング活動の起点となったりと出発点にもなります。

ポジショニングマップの作成方法と手順

ポジショニングマップは、縦軸と横軸の2つの軸を使って4つの象限を作り、自社と競合他社の商品・サービスを位置づけます。

ポジショニングマップを作成する際の重要なポイントは、縦軸と横軸の2軸の決め方です。次の4つの作成手順とともに、重要なポイントもあわせて解説します。

  1. ターゲットの購買決定要因(KBF)を洗い出す

  2. 購買決定要因(KBF)の優先順位を決める
  3. 自社と競合他社の商品サービスと比較する

  4. 2つの軸でマトリクスを組みマップを作成する

今回は、「子育てや家事、仕事との両立を図る女性。とくに毎日公私ともに忙しくファッションに充分な時間とお金をかけられないが、今後に向けて大人のファッションセンスを身につけたいと思っている30代後半女性」をターゲットとしたN社のケースを事例として解説します。

    1. ターゲットの購買決定要因(KBF)を洗い出す

    ターゲットの購買決定要因(KBF=Key Buying Factor)は、顧客が商品を選ぶ決め手となるものです。

    例示したファッションターゲットの30代後半女性の購買決定要因は、品質・機能性・素材・デザイン・カラー・価格などになります。

    大人の女性を目指すためには品質は外せませんし、忙しい女性のフットワークに合う機能性やデザインも要因に入ります。節約志向もあるので価格帯も重視したいはずです。オンオフ問わずアレンジしやすいシンプルなデザインやカラーも決定要因となります。

    このようにポジショニングマップの2つの軸を決める際に重要なポイントとなるため、顧客はなぜ自社商品サービスを購入、利用するのか」と顧客目線で問いかけます。ほかにもアンケートや口コミから情報を得る方法があります。

    2. 購買決定要因(KBF)の優先度を決める

    購買決定要因を洗い出したら、各要因のうち何を重視するのか決めます。

    ファッションターゲット30代後半女性の優先度は、たとえば品質や機能性を「高」、価格やデザインを「中」、素材やカラーについては「低」とします。

    優先度を明らかにすると、ターゲットの姿がより具体的になります。「品質はいいものがいいけどできるだけ安く手に入れたい」「高級感が漂うものより自然に着こなせるものがいい」などです。

    はじめは素材の優先度を「低」にしたものの、実は綿100%素材で高品質を追求できれば、価格はお手頃になるかもしれません。そう考えれば、素材の優先度を「中」、価格を「低」にすることが考えられます。

    購買決定要因の優先度の決定は、ターゲットが自社商品サービスを選ぶ決め手を明らかにし、ポジショニングマップの座標軸を決定づける重要なプロセスです。

    3. 自社と競合他社の商品・サービスと比較する

    購買決定要因の優先度を決めたところで、自社と他社の商品・サービスを比較します。

    ターゲット(30代後半女性)が現在よく利用する「低価格でカジュアルなファッション中心のA社」と「やや高めで都会的ファッションのB社」のように競合他社を選択します。

    購買決定要因と優先度の設定だけでポジショニングマップを作成するよりも、自社が最も優位に立てる要素が明確になります。つまり強みの発見です。

    今回は子育てや家事、仕事に忙しい30代後半女性をターゲットにし、購買決定要因の優先度を品質と機能性にしました。ただ、前述したように素材や価格に関しても捉え方によっては優先度「高」に入る可能性もあります。

    そこで各要因に関して自社と競合他社と比較します。他社と比較することで、自社内で決めた優先度だけで次のポジショニングマップの2軸を設定するより、自社の強みを明らかにできます。

    「低価格でカジュアルなファッション中心のA社」と「やや高めで都会的ファッションのB社」と比べた結果「高めだけど手を伸ばしやすい価格帯」「洗濯してもへたれずかつ動きやすい機能性」が自社の強みになると分かりました。

    比較すると、購買決定要因と優先度の設定だけでポジショニングマップを作成するより、自社が最も優位に立てる要素(この場合「機能性」「素材」)が明確になるのです。

    4. 2つの軸でマトリクスを組みマップを作成する

    「高めだけど手を伸ばしやすい価格帯」「洗濯してもへたれず、かつ動きやすい機能性」を意識して2軸を決めます。前段階の競合他社との比較までしっかり行っていればおのずと2軸は決まります。

    今回は2軸を「品質高いー品質低い」と「機能性重視ーファッション性重視」とします。マトリクス上では、競合他社の「低価格でカジュアルなファッション中心のA社」は右下「やや高めで都会的ファッションのB社」は左上に位置し、自社は右上のポジションとなります。

    ポジショニングマップ作成後、自社商品は他社と比べて「シンプルで機能性抜群」「高めだけど手を伸ばしやすい」点が優位だと分かれば、効率的で有益なマーケティング展開できます。

    もしも「高め」の理由に高品質の天然素材を意識すれば、より具体的な商品開発に繋げられるでしょう。

    ポジショニングマップ作成時の注意点

    ポジショニングマップを作成する際に気をつけたい注意点を解説します。購買決定要因(KBF)や軸の設定はポジショニングマップ作成する上で非常に重要になります。

    次の注意点を押さえて、有意義なポジショニングマップを作成しましょう。

    重要度の高い購買決定要因(KBF)を設定する

    重要度の高い購買決定要因とは、ターゲットにとって優先度が高い要因という意味です。意識していても自分目線になっている場合があります。常に顧客目線であるか確認しましょう。

    重要度の低い購買決定要因を設定してしまうと、ポジショニングマップの質が低下します。質が低くなると、ポジショニングマップの作成意義が薄れてしまい、自社の優位性や他社との差別化を見いだせなくなります。

    回避するには、作成プロセスの初期段階で重要度の高い購買決定要因を設定するようにしましょう。

    相関性の低い要素で2つの軸を設定する

    相関性の低い要素というのは、たとえば「デザイン」と「着心地」などをさします。逆に相関性の高い要素は「品質」と「価格」です。

    「品質がよいー価格は高い」「品質が低いー価格は安い」のように相関性が高いとポジショニングマップでは、右肩上がりの直線周囲にポジションが集まるだけになります。

    相関性の低い要素で2つの軸を設定できるかどうかは、購買決定要因・優先度・比較の結果次第です。うまくいかない場合は事前のプロセスに戻りましょう。

    ターゲット層に合ったポジショニング軸を活用する

    ターゲット層に合ったポジショニング軸とは、優先度の高い2軸であると同時に、自社の優位性が明らかになる軸をさします。

    たとえば購買決定要因の優先度をもとに「機能性」「素材」を2軸にしたファッション商品ポジショニングマップを作成するとします。結果、自社と1社の重なりが判明しました。これでは独自のポジションを確保できません。

    ただ、ポジショニングマップに空白部分があればどうでしょう。その場合、自社の収益化に活かせる視点と捉え、新たな商品開発につなげられます。ターゲット層に合い、かつターゲット層に提案的な戦略をうてるチャンスとなります。

    ポジショニングマップの作成事例

    ポジショニングマップ作成事例を解説します。ポジショニングマップの有効性がはっきりと分かる「レスサス」と「しまむら」の2例です。

    レクサスのポジショニングマップ

    レクサスの成功は、ターゲットの選定に加え”新”高所得者層の購買要因に着眼したことにあります。既存の高所得者層が求める要素と”新”高所得者との違いに気づき、未知のポジションを開拓したのです。

    まずセグメンテーションで所得・年齢層などを分類し、ターゲティングで顧客層の年代や価値観の特性に着目します。そして既存の高級車に重厚さを求める顧客層でなく、機能性やカジュアルさを求める新高所得者層にターゲットを絞りました。

    ポジショニングマップは「伝統的・先進的」「高品質・低品質」という2軸で作成し、リンカーンやベンツなどの高級車との差別化を図りました。つまり「先進的で高品質」という強みでアメリカ市場に勝負をかけ成功したのです。

    参考:【STP理論】で考えるレクサスのマーケティング戦略

    しまむらのポジショニングマップ

    しまむらの成功要因は、ターゲット選定と購買決定要因、そしてポジショニングマップの2軸の選定にあります。

    しまむらの強みは、ファミリー・主婦層をターゲットに絞っている点、購買決定要因(とくに品質と価格のバランス)がぶれない点です。

    ポジショニングマップの2軸は「手軽さ・品質重視」と「コンサバティブ・トレンド重視」。マップにおけるしまむらのポジションは、「手軽でコンサバティブ」となります。1つの象限にぴたりと収まっているのがしまむらです。

    しまむらの強みを生かした戦略は、公式アプリやSNSを活用したユーザー目線の事業展開につながっています。

    ポジショニングマップで自社の強みを見極めて効果的な収益化を

    ポジショニングマップの作成によって自社の強みが明確になれば、効果的な収益化につながります。マップ作成手順や注意点を確かめ、ターゲットの優先度から厳選した2軸マップを作成しましょう。いい位置につけば事後の事業展開がしやすくなります。

    また、マトリクスに空白や未開拓分野の領域が見つかれば、新たな商品サービスの開発にもつながるでしょう。

    いかに戦略的なマーケティングができるかが他社との差別化にもつながります。なかなか思うような結果が出ていない方は、ポジショニングマップを活用して既存の商品サービスを見直してみてください。

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      口コミラボ編集部

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